後日談 その1 (1)
「たーらーしーせーんーぱーい」
「その呼び方辞めろ…」
俺はバイトの制服を着ながら生意気な後輩に言葉を返す。
「えぇー、なんでですかー? 彼女が三人もいるなんてほかの人から見たらくそのような存在ですよ」
「そ、そんなのわかってるよ」
鈴木は俺たちの関係について知っている。こっちから教えたわけじゃないが知っている。
なぜか…。
それは俺が千葉シーランドでプロポーズした時よりも数週間前にさかのぼる。
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「哲人さん、こういうのはどうですか」
「似合ってると思うぞ。いつもの清楚感とは真逆な感じが何というか、とにかくいいぞ」
「哲、私はど、どう」
「麻衣はやっぱり何を着ても似合うな」
「なんで私はそれだけなのよ」
「哲人お兄ちゃん、哲人お兄ちゃん。どぉお?」
「あぁ、いつもより大人っぽさがあって、かわいいぞ」
俺がひかりちゃんに試着している服の感想を言っている横で、未だぶぅぶぅ文句を言っているが無視する。
そんな俺たちは今どこにいるのかというと、前々からみのりが来たいと言っていた越谷のライクタウンへと来ている。
今はその中にある服屋で服を見ているさなかだ。
『ぐうぅぅぅ』
試着室から三人が出てくると、誰かのお腹から虫の声がした。
「そろそろいい時間だし、お昼にするか」
そういって俺たちはフードコートへと向かった。
フードコートの適当な席に着く。
「じゃあ、俺が最初に荷物見てるから買ってきていいぞ」
「あ、私も残りますよ」
「分かったわ、じゃあひかりちゃん行きましょ」
「うん」
そういって舞とひかりちゃんが人ごみの中に消えていく。
「変わったな…」
俺は自然とそうこぼしていた。
「何がですか」
「あ、あぁ。舞のやつ、前だったらみのりが残るって言った時、私も残るとか言いそうだなっと思って」
「そうですね。やっぱり哲人さんとの関係がはっきりしたことで安心したんじゃないでしょうか」
「そういうものか」
「そういうものです」
そんな会話をしていた時だった。
「先輩?」
俺は声のした方に顔を向けると、そこにはバイトの後輩鈴木が立っていた。
「沙紀知り合い?」
「あ、うん。バイトと高校の先輩なの」
その鈴木の後ろには数人の女子がおり、どうやら友達と一緒に遊びに来ていたようだ。
「鈴木か」
「こんにちは、沙紀さん」
「あ、こんにちはみのりさん」
軽く挨拶をかわす二人。
「てか、こんなところで何してるんですかー」
鈴木がそう質問してきたので、普通に出かけただけだと言おうとしたのだが…。
「ちょっと沙紀、デートなんじゃないのこの二人。そういうのは…」
後ろから鈴木の友達が余計なことを言い出してきた。
「あぁ、この二人はそんなんじゃないから大丈夫だよ。ねっ、先輩」
「お、おう。なっ、みのり」
俺は何とかごまかしたのだが。
「…」
「みのり?」
みのりの反応を不思議に思った鈴木が怪訝な顔をする。
「みのりさん?」
「―トです」
「えっ」
「デートですよ」
「またまたー。そういういつものやつはいいですって」
そういって笑う鈴木。
「そ、そうだぞみのり」
俺もそれに乗っかる。だが…。
「なんで隠すんですか哲人さん。また刺されますよ」
「うっ…」
みのりにそう言われ何も言えなくなってしまう俺。
「えっ…。先輩?」
いきなりのカミングアウトに困惑する鈴木。
「実はその、俺たち、付き合うことになってな」
俺は照れながらそう言う。
「…」
「鈴木?」
いきなり黙りこむ鈴木。
「そ、そうなんですか。よかったですねみのりさん」
そこまで言ったところでちょうど舞とひかりちゃんが戻ってきた。
ちょっと、書きたくなっちゃったので早々とですが書いてしまいました。
だけど、続きが未だかけてないのでこの後のことはいつ上げられるかわかんないです。




