第六章 真実(1)
目を開けると、そこに写ったのは見知らぬ天井だった。
「ここは…」
そこで倒れるまでの光景がフラッシュバックする。
「みのりは」
俺は慌てて上体を起こす。腹部に痛みが走るが、それを無視する。
そして、周りを見まわし状況を理解する。
(ここは病院か)
「んっ」
そう思い人を呼ぼうと思ったら下の方から声がする。視線をそちらへ向けると、俺のべとに腕で枕を作り眠っているみのりがいた。
俺はその姿を見て一安心する。それと同時に一図の不安も湧き上がる、舞のことだ。
だが、今は一番心配をかけたであろうみのりのことを見る。そして、頭を撫でてやる。
「ん…」
すると、むくっと体を起こし寝ぼけ眼のままこちらを見る。
「わりぃ、起こしちまったな」
俺がそういうと、パッと目を見開きそのままものすごい勢いで胸の中に飛び込んでくる。
「哲人さぁぁぁーーーーーーん」
飛び込んできたみのりの勢いで傷んだお腹らへんの刺激を我慢しながら、そっとみのりの背中に腕を回
す。
「し、しんぱ、い、し、したんです、からぁぁぁ」
そういいながら俺の胸を濡らす。
「ごめん」
「でも、よ、がっだですぅぅぅーーーーーー!」
俺はみのりが落ち着くまでしばらくの間そうしていた。
しばらくすると、俺が起きたことで一安心したのか、それともただ泣き疲れたからか頭をそのまま俺の胸に預けたまま寝息を立て始めてしまった。
その後、俺の親が部屋に入ってきて一瞬俺は焦ったが、弁解しようとする前に先生をよび行ってしまった。
まぁ、ここにみのりがいるってことはこれまでの経緯は説明しているだろから別にいいか。
そんなことを考えていると先生たちが来たので、みのりを起こしいくらか検査や診察をした後ようやく一息つくことができた。
先生の話だとあと数日もすれば退院できるらしい。ちなみに俺は三日間眠り続けていたらしい。
そして、今。俺の部屋には六人の男女が集まっていた。
この部屋には四つにベットが置いてあるが運がよく、この部屋の患者は俺だけだ。
俺のベットはというと一番窓際の西側だ。そのベットの右側、俺のすぐ近くにみのりがいて、病院の廊下側、左側に俺の両親とみのりの両親がいる。
「…」
「…」
沈黙が流れる。
そこでまず、俺は気になっていたことをみのりに尋ねる。
「そうだ、みのり。舞のことなんだけど…。」
「えっと、舞さんは私たちの家にいて、今はひかりちゃんにみてもらっています」
「そうか…」
「はい。病院の方が警察に連絡しようとなさっていたのですが、黙認していただくようお願いしときました」
「それは助かった」
(よかった。もし警察に連絡がいってたら、麻衣を犯罪者にしてしまうところだったからな)
そこで、俺はみのりの両親にあいさつをするのを忘れていたことを思い出す。
(てか、俺ってこれいろいろとまずくね? なんでここにいるかは知らないけど、来てみたら娘がどこの馬の骨とも知らない男と同棲してましたとか)
そんなことを思い、びくびくしながらみのりの両親へ顔を向け自己紹介をする。
「は、初めまして。高島哲人といいます。みのりさんとはいろいろありまして一応一緒に暮らしてます」
すると、まず母親のほうが声を上げた。
髪を肩のところで髪を切りそろえていて、顔だちもとても整っている。みのりは言わずもがなだが、彼女を見れば納得がいく。
「こんにちは。みのりの母の大友香織といいます。そして隣にいるのが主人の雅人です」
俺は軽く会釈する。
父親もそれに続く。父親の方は白髪が目立ち始めており、眉間にしわが寄った中年の人。
簡単に言えばおっさんだ。言わないけど。
そこで、またしばし沈黙の時間が流れる。
初めての作品なので読んでいただけるだけで感謝です。




