第五章 終末(5)
「どういうことですかっ!」
私は考える間もなく、反射的に声が出た。
(この人たちは本当に両親じゃない…)
(じゃ、哲人さんは…)
実の親がどうとか、今の私にはどうでもよかった。ただ、これでは哲人さんが助からない。どうしたら…。
私はそれだけを考えていた。
だが、ふと意識が施行していた頭から戻ると二人が私のことを凝視し、目を見開いていた。
「君は…」
私は頭の上に疑問符を浮かべる。すると、私のことを凝視していた父親の方が私に問いかけてくる。
「君は、もしかして大友みのりさんではないかね」
今度は私の目が見開いた。が、とりあえずうなずく。
「やはり…」
彼はそのまま少し思案顔のまま黙りこむ。そして。
「もしかしたら、哲人は助かるかもしれん」
その言葉を聞いた私は父親に詰め寄る。
「本当ですかっ! 本当に助かるんですか?」
父親は私が詰め寄ってきたことに驚き上体をそらしながらこたえる。
「あぁ。しかし、まず聞きたいんだが君と哲人との関係を聞いてもいいか」
「そんなこと今はどうでもいいじゃないですか! 早く、早く哲人さんを助けてくださいよ」
私は初対面の人にもかかわらず、失礼きまわりない態度をとりながら叫んだ。だが、今の私にそんなことを気にしている余裕などみじんもなかった。
私があまりにも大きな声を出したからだろうか、まるで時が止まったようにナースの人と二人が固まっていた。
そして、その止まった時間を動かしたのは父親だった。
「はっ、あぁ。すまない。哲人が助かる方法、それは…。」
――― 君の血だ ―――
一瞬私は思考が止まった。
(私の、血? それって…)
そこまで考えたところで思考を止めた。
(今、そんなことを考えても意味がない)
「分かりました。私の血を使えば助けられるんですね。ナースさん、お願いします」
「えっと、あのどういう」
混乱したナースさんに父親がいさめる。
「ナースさん、とにかく彼女の血を使ってください」
ナースさんはまだ状況がよくわからないという感じだったが、「分かりました」と一言いうと私のほう
を向く。
「では、こちらへ来てください」
私はナースさんの後を追った。哲人さんを救うために。
初めての作品なので読んでいただけるだけで感謝です。




