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居候彼女は泥棒猫  作者: こうたろう
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第六章 崩壊(2)


「じゃあ、今日はここまでで解散」


 予想道理というか、今日の活動は十一時半には終わってしまった。

 さて、お昼どうするかな。今からみのりに連絡するのも悪いしなぁ。


 すると、麻衣に肩をたたかれる。


「哲、この空いてる」


「ん? どうしたんだ」


「えっと、ご飯でもどうかなと思って…。あ、みのりちゃんがいるからお昼は家で食べるのか」


 あはは、と苦笑するみのり。


「いや、今日は長くなると思っていらないって言ってきちゃったんだ」


 すると、少し嬉しそうに微笑みながら提案してくる。


「じゃあ、一緒にお昼ね」


 確定事項だった…。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 そんなわけで、俺たちは今ファミレスにいる。大学生の昼なんてこんなものだ。


 まぁ、こんな田舎だしな。We are ださいたま! オシャンティーなカフェなんぞ存在もしないし、金をそんなところに使う気もない。

 ここで余談だが、埼玉県民は自分達でださいたまと言うのは気にしないが、他県民に言われるとイラっと来るのでやめておきましょう。(持論)


「私はミラノ風ドリアとイタリアンハンバーグ、ライス。あ、ドリンクバーは二つで」


 あんたの番よと目で合図してくる麻衣。


「俺はミラノ風ドリアとカルボナーラ、ほうれん草のソテーで」


 俺が言い終わると「かしこまりました」と店員さんが席を離れる。

 ドリンクバーを取りに行くために席を立つ。


「あ、あたしカルピスね」


「いや、自分で行けよ」


 俺はそういいながらもしっかり麻衣の分もとってきてやる。


 ちょっとドリンクにいたずらでもしてやろうかと思ったが、飲み物を粗末にするわけにはいかないので

やめた。


 席に戻ると麻衣は携帯をいじっていた。俺はコップをテーブルに置き席に着く。


「ねぇ」


 しばらくしてから唐突に麻衣が口を開く。


「哲って最近変わったわよね」


 麻衣のその言葉にハテナマークを浮かべる俺にそのまま続ける。


「再開してすぐの時は、なんか無理してるって感じだった。疲れというかなんかを隠して、表ではなんか

取り繕ってる感じ」


 俺はそれを聞き、少しばかし思考する。

 確かにあのころは学校も新しく始まったばかりだったし、疲れてはいたけど…。わからん。


「でも、みのりちゃんが来たあたりから素直になったていうか。楽しそう」


「楽しそう?」


「うん…」


 んー。よくわからんな。


 俺は麻衣の言いたいことがよくわからなかったが思ったことをそのまま口にする。


「でも、俺は麻衣と一緒にいるときも楽しいぞ」


「なっ。そ、そう」


 俺の言葉に頬を紅くする麻衣。


「どうした? そんなに頬を紅くして」


「な、何でもないわよ」


 その後、料理が来たのでそれを口に運びつつたわいもない話をする。




「ふぅ。ごちそうさま」


 俺は食べるものは食べたので伝票を持ち席を立つ。麻衣もそのまま後ろをついてくる。

 すると、レジの直前で麻衣が


「あ、哲会計お願いね」


「はっ?」


「私、今日財布持ってきてないから」


 くっ、なんてやつ。


 俺はいやいや会計をして店を出る。


「ごちぃ~」

 

「ひとつ貸だかんな」


 ニコニコしながら先に店を出ていた麻衣に文句を言う。


「まぁまぁ、入学祝いってことで」


「遅すぎだろ。てか、なんで俺がお前を祝うんだよ」


 そう悪態をつく俺に、麻衣は「そんでさぁ」と話を変えてくる。


「哲はこの後どうするの?」


 俺は自転車のかぎを外しながら答える。


「ん? あぁ。どうするかなぁ、まだ夕飯まで時間あるしな」


 すると麻衣は「じゃあさ」と続ける。


「こ、このあと一緒にどこかいかない?」


「えっ」


 俺が少し驚いて舞の方に顔を向けると、「あ、別にでーととかそんなんじゃないから。勘違いするんじゃないわよ」と、なにやらあたふたしながら一言。


「いや、そんなこと思ってないけど」


 そういうと、「なんで思わないのよっ」と急に切れだす。


(うーん。表情がころころ変わるな)


 それをうるさいと思いながらも、ちょっとかわいいと思っていることは秘密である。


「えっと、じゃあ、どっかいくか」


「ま、まぁ。しょうがないから付き合ってあげる」


 そういいながら、すでに麻衣は自転車に乗り準備万端である。


(うん。どこに行くか決めてからにしようね)



初めての作品なので読んでいただけるだけで感謝です。

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