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居候彼女は泥棒猫  作者: こうたろう
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第五章 デジャブ(3)


「「「ありがとうございました」」」


 試合は四対二で俺たちの勝ちとなった。結局、俺のヒットが決勝打となり、その後を〇点に抑えて無事勝利を抑えた。


「哲、良く打ったなぁ」


 ベンチを出て荷物をまとめている俺の背中をたたきながらそう言ってきたのは一である。


「体が勝手に動いたからな」


「お、今日のヒーローはやっぱり違うねぇ」


 そういって茶化してくる一。


「うっせ」


「ほら、お前の奥さんが待ってんぞ」


 そういわれて前を見るとみのりと麻衣がたっていた。


「おめでとうございます。哲人さん、とてもかっこよかったです」


「あ、ありがとう」


 満面の笑みで激励の言葉をかけてくれるみのりに少し気恥ずかしくなってしまう。


「まぁ、良く打ったとだけ言ってあげるわ」


 すると、その気恥ずかしさを飛ばしてくれるように麻衣の激励が飛んでくる。


「お前は何様なんだよ」


その後、俺は試合の後の片付けやらなんやらやって。その間、みのりたちはうちのサークルのマネージャーの女子二人とガールズトークをしていた。

そして、時折その二人が俺の方をごみでも見るかのような視線を向けてきていたがあれは多分気のせいだ

ろう。


 うん、そうに違いない。


 そして今、サークルのみんなとお別れした俺たちは三人そろって家への帰路へと着いていた。


「麻衣、何ならお前もうちで食べていくか」


「別に構わないわ、そんなに私と食べたいって言うならね」


「じゃ、いいや」


「うそうそ、いく、行きます! 食べさせてください~」


「うふふ、それならスーパーによってから帰りましょうか」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 そういうことで俺たちはスーパーへと買い出しに向かう。

 祭りの後、麻衣が家に来たり、三人で会うことがあってもあんまり麻衣とみのりが話しているように見えなかったので心配していたが大丈夫そうだ。


 多分、俺の気のせいだったんだろう。


 そう思いながら、俺の前を歩く二人に目をやる。

 買い出しも終わり無事家の玄関に到着した俺は鍵穴にカギを刺す。そして、鍵を回そうとした時俺はある異変に気が付く。


「どうかしましたか、哲人さん」


 異変に驚き固まっていた俺に、みのりが声をかける。



「鍵が、開いてる…」



 そう、異変とは、俺がカギを回しても全く抵抗がなく鍵が空回りしたのだ。


「えっ! でも、私ちゃんと出る時、鍵しましたよ」


 俺の言葉に驚いたみのりは慌てて自分の行動を思い起こす。


「うーん。じゃあ、なんで」



 そこで、後ろで袋を持って立ったままの麻衣があることを口にする。


「もしかして、泥棒?」


 泥棒。確かにありえなくない。というか、鍵もちゃんと閉めたのに空いているなんてそれ以外に考えられない。

 実質、以前に入られているからな。天然おバカでも忍び込める俺の家なんだから入られてもおかしくない。

 というか、俺の家セキュリティー甘すぎだろ。


「とりあえず、中にどんな危険があるかわからないから二人は外で待っててくれ。それと、もし泥棒が逃

げてきても絶対捕まえようとか思うなよ」


「でも、哲人さん」「哲」


「絶対だ」


「「はい」」


 俺は二人にそう念を押すと単身で、いつもとは雰囲気の違うわが家へ足を踏み入れた。

 玄関をくぐり廊下に目をやるが誰もおらず、電気もついていなかったが、まだ夕日が差し込んでくれているおかげで明るさはあった。


 そして、俺は奥へと足を進める。


 リビングへと続く扉が開いていたので、俺は一番近い和室より先にそちらに向かうことにした。

 俺はそぉっと廊下からリビングをのぞき込む。

 

 だが、人の気配はない。そして、併設している台所も確認したが誰も見当たらなかった。

 残るは和室、トイレ、ふろ場、二階だ。


 トイレと風呂場は可能性が低そうなので俺は和室の様子を見ることにする。

 俺はそっと和室へと続くドアに手をかける。


 あれ、こんなこと前にもあったような…。


 そんなことを考えつつだあを開ける。 


 すると…。



「…」



 今、俺の目の前には白いワンピースに身を包み、女の子座りしている銀髪の長い髪をポニーテールでまとめた少女が、おそらく和室の本棚からとったと思われる本を読んでいた。


 そして、その少女はこちらを向き俺と目が合う。



「…」



「…」



「だだだだ、誰ですか」


 一瞬の沈黙の後、少女はまるで化け物でも見たかのように最初に座っていた部屋の真ん中あたりから部屋の端っこへと後ずさりながら俺との距離をとる。

 その少女の顔からは明らかに恐怖の色が読み取れた。


「いや、こっちのセリフなんだが…」


 俺が、話をしようと部屋の中に足を踏み入れる。


 あれ、でもこの顔どこかでみたような…。


 そんなことを思いながら少女の前にある程度の距離をとって腰を下ろす。

 すると、盾のように構えている本の横からこちらの様子をうかがっていた少女は「はっっ」と何かに気付いたようにこちらへと近づいて。


「て、てつとお兄ちゃん」


 そういってきた。



初めての作品なので読んでいただけるだけで感謝です。

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