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居候彼女は泥棒猫  作者: こうたろう
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第四章 夏の訪れ(7)

 

 みのりがいなくなってから二十分。もしも、みのりが何らかの理由で自分からいなくなっていたとしても、もし一人でいるならばみのりに何か起こってしまうかもしれない。

 そんな不安と、焦りを抱えながら「いてくれ」という願いとともにある場所を訪れる。もし、みのりが一人でいるとするならば人気は避けるはず。だとすると、ここらへんでまだ探していない人気の少ない場所というと、川沿いか、もしくはこの町の神社。

 川沿いは麻衣たちに探して行ってもらっているので俺は広島神社へと向かった。

 そして、切れた息を整えながら神社の表の鳥居をくぐる。


「みのり‼」


 するとそこには、神社の本堂の前の階段に腰を下ろし、膝を抱え込みそこに顔をうずめているみのりの姿があった。

 俺は叫びながらみのりのほうへ駆け寄る。


「哲人さん…」


 俺が名前を呼ぶと、それに気が付いたみのりは顔を上げる。

 だが、その顔はとても悲しそうな顔をしていた。


「どうしたんですか、急にいなくなったりして。探したんですよ。何かあったらどうするんですか、危ないじゃないですか」


 しかし、俺は心配していた反動のあまり口調が強くなってしまった。すると、みのりの目から涙が流れてしまう。


「す、す、すみま、せん」


 それを見た俺は、冷静になり慌てて声をかける。


「あ、い、いえ、その、急に怒鳴ってしまってすみませんでした。その、でも、無事でいてくれてよかったです」


 そういって、とりあえずみのりのことを落ち着かせる。


「それで、どうしたんですか」 


 俺は恐る恐る声をかける。


「私、なんか変なんです」


「変?」


「はい、実は哲人さん達と別れた後、鈴木さんと遊んでいたんです。それで、しばらくしてお二人の姿を

見つけたので合流しようと思ったんです」


「二人って、俺と麻衣のことですか」


「はい。でも、そしたら鈴木さんが二人を観察しようって言ったんです」


 くっ、あいつは何してんだ。


「ん? それで、変なことって」


「それは、観察していた時、最初は面白そうと思ってみていたんですけど…」


 おい、面白がるな。


「だんだん、なんかここら辺がチクチクして、頭がもやもやしてきちゃって、それで思わず」


 そういいながらみのりは胸に手を当てる。


「そうだったんですか」


「…」


「…」


 二人の間に微妙な雰囲気が漂う。そして、俺はみのりの今の言動からあることを考えていた。

 もしかしたら、みのりは… かもしれないと。 


 そして、俺は決心してみのりを見つめる。


「みのり、もしかしてみのりさんって…」






 一瞬の間空気が重力が倍にでもなったように重くなる。


「何か重い病気でもあるんですか」


「ズコーーー」 


 すると後ろの方で何か大きな音がしたので振り返ると、そこには木の陰から飛び出すように転んでいる

鈴木の姿があり、その近くに麻衣が立っていた。

 俺が後ろに気を取られていると、みのりが先ほどの俺の質問に答える。


「いえ、そういうのは何にもなかったと思います」


「そうですか、それはちょっと安心しました」


 そして、「じゃ、風邪でも引いたんですかね」「そうですね」と話をまとめようとすると、先ほどまで転がっていた鈴木が割り込んでくる。


「そうじゃないでしょ‼ いや、そうじゃないんじゃないんですか」


 何をそんな慌てているのか、それにこいつ一瞬ため口使いやがったな。


「どうした。てか、何してたんだよあそこで」


 そう俺が問い詰めると、鈴木は都合が悪そうに顔を横にそらす。


「いや、その。それより、大友先輩」


「はい?」


 あ、話そらしやがったこいつ。まぁ、後で説教だな。


「大友先輩は、先輩と大澤先輩が話しているのを見ると胸がチクチクして、頭がもやもやするんですよ

ね」 


「えっと、まぁ。多分」


「それがどうしたんだよ。たか、なんで麻衣限定なんだよ。たまたまかもしれないだろうが」


 俺がそう鈴木に言うと、鈴木はごみでも見るかのような目で俺を見るととても大きなため息を一つはく。 

 おい、なんだその反応は。俺がなんか変なこと言ったとでもいうのか。


「お二人とも大変そうですね」


「二人ってなんだよ」


「ねぇ、大沢先輩」


 すると、今までなぜか黙っていた麻衣に話を振る。


「えっ。な、なんで私」


 明らかに狼狽する麻衣。だが、俺にはなぜそんなに取り乱すのか理由がわからなかった。


「まぁ、良いですよ。先輩もあんまり鈍すぎるのもどうかと思いますし、さすがに今回のことは私もドン

引きです」


「鈍い? 俺はお前みたいにとろくなんかないぞ」


 それに、なぜそんな最低男ですよ見たいなことを言われなきゃならないんだ。


「それと、大友先輩。先輩はまだわからないかもしれませんがそれは病気ではなく、心の病というものです。でも、きっと心のままに動いていれば治ると思いますよ」


 そう、みのりに鈴木は告げるがみのりはきょとんとした顔で「はぁ」と答えるだけだった。



初めての作品なので読んでいただけるだけで感謝です。


今回、初めてシリアスパートを書いてみましたが、やっぱりうまくいきませんね。ここからはまたしばらくほのぼの?パートです。よろしくお願いします。

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