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居候彼女は泥棒猫  作者: こうたろう
29/63

第三章 歪み(3)

 

 昨日の夜。


「へぇ、哲人さんと同じ高校だったんですか」


哲人さんを部屋に寝かしつけた私は鈴木さんをリビングに案内し、てつとさんのことを聞いていた。


「はい。あの、さっきはうやむやにされちゃったんですけど、あなたはなぜ哲人さんといらっしゃるんですか」


またその質問ですか。う〜ん、やっぱりこう答えたほうがいいですね。


「妻だからですよ!」


「それはもう嘘だってさっきの哲人さんを見ればわかります」


「あらら」


もう、つまらないなぁ。


「で、どうなんですか」


これ以上なんか言っても面白そうなことは起きそうになかったと思った私は本当のことを話すことにしましょうか。


「拾われたんです」


「冗談はもういいですから」


「ホントですよ」


「同じのはつまらないですよ」


「いえいえ、これだけはホントですよ」


どうやらこっちの方が冗談に聞こえやすかったらしく、いつの間にか鈴木さんが豆鉄砲でもくらっったように口を開けてほうけていた。


これは面白そうです。


そう思った私はさらに追い討ちをかけるようにもう一度これをいう。


「拾われたんです」


だが、彼女が反応することはなかった。



その後、意識が戻った鈴木さんに私は哲人さんと出会い、どういうことがあったのかを説明してあげた。


こう哲人さんと出会いを振り返って見るとなんて私は幸せなんでしょう。今までの不幸が嘘のように感じます。


そんなことを考えていると、私の説明を聞いて再び意識がとんでいた彼女が正気を取り戻します。


「な、なんなんですか、それ!」


「どうしたのですか、いきなり」


「もう一度確認したいんですけど、お二人ってお付き合いとかされていないんですよね」


「はい」


「だけど、一緒の家に暮らしていて、役割を分担していて」


「はい」


「夜は一緒に寝ていると…」


「そうですよ」


「完全に夫婦じゃないですか‼」


「なっ」


 あれ、私たちって客観的な視線から見るとやっぱりふ、夫婦に見えるのかな。で、でも何だろう。今までは冗談で言ってたからあんまり気にしてなかったけど、他人から言われると、なんだか恥ずかしくなってきちゃった。うぅ…。


「えっ、気付かずにやっていたんですか。あんなに夫婦だって言ってきたのに」


「そ、それはその、冗談で…」


 私は先ほどとは打って変わって顔を真っ赤に染めながら質問に答える。


「というか、先輩は何にも言ってなかったんですか?」


「うーん、言っていたような言ってなかったような…」


 どうだったっけなぁ。


「はぁ、拾ってくれたのが先輩でよかったですね。もし、悪い人だったら大変なことになっていましたよ」 


 んー、麻衣さんもそんなこと言っていたような。


「まぁ、大丈夫ですよ」 


「なんだか哲人さんがかわいそうになってきました」


「ん?」


 どういうことでしょうか、なぜここで哲人さんが。

 そんなことを考えながらふと時計を見ると十時近くになってしまっていた。


「あら、もうこんな時間」


「えっ、本当ですか。やばっ、帰らないと」


 ここで、私はあることに気付く。


「でも、いつもはこのくらいの時間だと哲人さんに送ってもらっているんじゃないんですか」


「そうなんですけど…」


 あ、いいこと思いつきました。うふふ。

 いたずら心に火がついた私はそれを後輩ちゃんに伝える。


「じゃ、このまま泊まっていきましょう」


「えっ」


 私がそう提案すると、顔から指の先まで真っ赤にしてあわあわとしている。


「じゃ、まずお風呂入っちゃいましょう」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 現在。


「てな感じで泊りすることになりまして、私がいつも道理哲人さんの腕枕で寝ようとしたら… 「ななななな、なにしているんですか」って、なんか驚いていたので面倒くさくなったので一緒に寝させてあげました」


 俺はこの子が何を話していたのかあんまり記憶にない。というか頭に入ってこなかった。


「はぁ、何してくれてるんですか」


 そういいながら俺は隣にいる鈴木に声をかけて起こす。


「おい、起きろ」


「んん~。先輩…。ん? キャーーーーーー」


 次の瞬間、鈴木のこぶしが視界に入ってきた。そして、再び眠りにつく俺であった。


「な、んで、俺ばっかり、こん、な、めに…」




初めての作品なので読んでいただけるだけで感謝です。

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