第三章 歪み(2)
「どういうことですか先輩!」
どうやら先ほどの声の主は後輩の鈴木だったようだ。
「どうもこうも何にもない」
「じゃ、この人は何なんですか」
あれ、やっぱりこれ前にもあったよね。
「妻です」
「やっぱりそうなんですねぇぇぇ」
「みのりさん、面倒くさいことになるんで黙っててもらえますか」
はぁ、風邪も全然治っていないのに、なんでこういうことになるかなぁ。
「てか、おまえはなにしにきtごほっ」
「あ、大丈夫ですか?」
心配そうに鈴木が俺のことを見る。そして、みのりは水を持ってきてくれた。
「これをどうぞ」
そういいながらコップを近づけてくる。俺も少し苦しかったのでそのまま実りに飲ませてもらう。
「ななななにしてるんですか先輩」
すると、何やら顔を赤くした鈴木がこちらを見ている。
「うるさい、頭に響くだろうが」
正直頭がずきずきするのでやめてもらいたい。
「す、すみません」
ふぅ、まぁ少し落ち着いたところだし。
「で、何しに来たんだ。何も用がないなら帰ってくれよ」
「ありますよ! その、今日バイト送る人がいないから早く上がるように言われて、訳を聞いたら先輩が体を崩したって聞いたんで、それで…」
「心配してきてくれたと」
「そ、そうですよ。こんな可愛いい後輩に看病してもらえるんですから先輩は役得ですね」
「いや、それは間に合ってるからべつにいいよ」
「そんなぁ…」
あからさまに落ち込む鈴木に、いつもは見れない表情なので少し風邪をひいてよかったと思わないことも無くわなかった。
と、ここでまたみのりが余計なことを言い始めた。
「じゃ、このまま哲人さんを起こしておくのはよくないので、えっと、鈴木さんでしたっけ。少しお話で
もどうですか」
「は、はぁ」
鈴木はあからさまに気まずさが伝わってくるな。
そして、その後二人は俺の寝ている和室を出ていき、リビングの方へと向かった。
「はぁ、とりあえず寝るか」
二人がいなくなり静かになった和室で三回目の睡眠をとることにした。
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目を覚ますと、いつも通り右側に人の気配を感じた。だがなぜだろう、左側にも気配を感じるのは。
恐る恐る左を向くと
「…」
俺はついに風邪が悪化して幻覚でも見えるようになってしまったのだろうか。聴いて驚け、隣に寝ているのはみのりともう一人、鈴木がなぜか寝ているのだ。
とりあえず右腕を動かし話を聞こうとみのりを起こす。ちなみに二人ともしっかりマスクをつけている。
「あ、おはようございます」
「これはどういうことですか」
「どういうこととは」
「なんで鈴木がいるんですか」
「それはですねぇ」
そういって、昨夜のことについて語り始めた。
初めての作品なので読んでいただけるだけで感謝です。




