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居候彼女は泥棒猫  作者: こうたろう
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第三章 歪み(1)


 家に着くともういい時間だったので、またいつも通りにご飯の準備やお風呂の用意をする。そして、夜は腕枕をして眠り朝起きたら大学へ向かい、みのりは家事をこなす。そんな生活が三週間が過ぎたある朝、俺は眼を覚ますと頭が朦朧としてしまっていた。


「ごほっ、ごほっ」


咳がでて、体も重い、頭はズキズキとし寒気がする。

これはあれだな、風邪だな。


「おはようございます。哲人さん」


声の聞こえる方に目線だけを向ける。そこには心配そうに俺のことを見つめるみのりがいた。


「あぁ、おはyごほっ」


挨拶をしながら体を起こそうとすると、まるで体がそれを拒否するかのように症状が悪化したように感じた。


「ダメですよねてなきゃ」


それを見たみのりは俺をふとんへと押し戻す。


「でも今日はバイトが」


そう、今日はバイトが入っている。今日は土曜日で前までは土曜日にはサークルが入っていたためバイト入れていなかったが、この間二人分の生活費を稼ぐためにシフトを増やしてもらったのだ。


「ダメです。そんなことしたら治るもんも治りません。それに、今の状態でお店に行っても迷惑をかけるのは目に見えています。バイト先には私から電話しときますんで寝ていてください」


それだけ言うとみのりは部屋を出て行ってしまった。


あれ、でもみのりはバイト先になんて連絡入れるのだろうか。もし店長がでたりしたら面倒臭いことになりそうだな。


俺はそんなことを考えているといつのまにか意識を手放していた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



目がさめると既に窓からは日が落ちかけているのが確認できた。


「今何時だ?」


何時間寝ていたのだろうか。そう思い時計に目をやると六時半となっていた。


やっぱり毎週週五をいきなりやるのはキツかったか。それに最近はテストが近いから遅寝早起き状態だったしな、相当免疫力が下がっていてもおかしくないしな。


とりあえず目が覚めたので体を起こしてみる。


「うっ」


まだ身体が重くゆっくり起き上がる。すると目の前に何かが落ちる。


「タオルか」


横を見ると洗面器に水が貯めてありずっと交換し続けていてくれたようだ。

俺はなんとか布団から体を起こしてリビングへと向かった。

リビングに入ると台所の方から物音がするのでのぞいて見ると、みのりが何かを作っているようだった。


「おはよう」


「て、哲人さん! 起きられたんですね、でもまだ寝ていないとダメですよ」


「すみません、ずっとせわしてくれていたようで」


「当たり前のことですよ、いつもお世話になっているんですから」


そう言いながらみのりはガスの火を止める。


「ほら、そこの椅子に座ってください」


意識がまだはっきりとしていなかった俺はされるがままに椅子に座る。


 みのりは俺を座らせるともう一度台所へと戻り、先ほどまで作っていたものをおわんに入れて持ってきた。


「おかゆ?」


 お椀の中を見ると、ご飯のほかに溶き卵、ネギが入って、煮られていた。


「それだと確かに体にはいいですが味気ないので雑炊にしてみました」


 なるほど、これならお腹にも優しいし、おいしく食べれるというわけだな。

 まぁ、おかゆは嫌いだったから助かった。


「ありがとうございます。では、いただきます」


「あっ」


 だが、さっそく食べようと用意してくれたスプーンを掴もうとしたのだがずっと寝ていたせいか、風邪

のせいかわからないがすべって掴み損ねてしまう。


「大丈夫ですか?」


「あ、はい」


 そしてもう一度スプーンをつかもうとすると


「やっぱり私に任せてください」


 そういってスプーンを先に取られてしまう。


「はい?」


「私が食べさせてあげます!」


「いや、いいですって」


「何言っているんですか、病人は病人なんですから。ちゃんと看病されてください」


「看病されてって」


「ほら、あーん」


 するとスプーンでお椀から少し雑炊をすくって、それを俺の前に差し出してくる。


「でも…」


「あーーん」


「…」


「あーーーん」


 俺は恥ずかしさをこらえて口に含む。と思ったのだが。


「あちっ」


 熱くて身を引いてしまった。


「あ、すみません。ふぅ、ふぅ」


「はい、どうぞ」


 そしてもう一度、俺は倍増した恥ずかしさを押し殺して口にする。


「おいしい、です」


「ほんとですか。じゃ、もう一回。あーん」


 そうやって結局全部食べさせてもらってしまった。

 なので、今はご飯も食べ終わってしまったので起きていようと思ったのだが


「まだ寝てないとダメです」


と、言われてしまったのでまたお布団と合体しているのだ。


「寝れない…」


 それも当然である。もう合わせて十時間以上は寝ている。


 ぼぉ~っとしたまま天井を見つめたまま時間が過ぎるのを待っていた。すると突然、ある音が耳に届

く。


「ピンポーン」


 聞こえてきたのは家のインターフォンの音である。そして、玄関にかけていくみのりの足音だ。

 宅配だろうか、でもそんな予定はって、なんかこんな感じなの前になかったっけ…。


 次の瞬間、聞こえてきたのは誰かの叫び声だった。


「つつつつつままままぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


初めての作品なので読んでいただけるだけで感謝です。

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