第二章 彼女がいる日常(13)
目を覚ますとみのりの顔が目の前にあった。 そして、なぜかちゃんと腕枕した状態になったいる。
寝返りを打ってこうなったんだろうか。すごくね、それ。
「みのり」
「zzz」
声をかけてみたが起きる様子がない。
「どうするかなぁ」
みのりを見つめながらそんなことを考えていると、ある感情が芽生えてしまう。
撫でたい。
べつに他意があるわけではなく、何となくみのりの頭を撫でたくなってしまったのだ。そういうことってたまにあるだろ?
「ちょっとだけなら、いい、よね」
俺はそういいながらそぉっとみのりが乗っていないほうの手を頭に近づけていく。そして、ついに手が
みのりの髪に触れる。
「んん」
「お、起きてないよな」
俺はそれを確認すると、撫で始める。
女の子の髪ってすごくさらさらしているんだなぁ。それに、すごくいいにおいがする。俺と同じシャンプー使っているはずなのに。
しかし、本人に黙って触っているのが何となく罪悪感がわいてきたためほどほどにしておくことにした。
「ふぅ」
「ん、もっと」
ん? これはもしや…。
「みのり」
「…」
「起きてるよな」
「…」
なかなか頑固なのではっぱをかけてみる。
「あぁ、今日土曜日で何もないからどこか行こうかと思ってたんだけど、みのりが起きないんじゃ無理か
n「おはようございます」」
俺はそう元気よく挨拶するみのりの頬をつまむ。
「ひゃ、にゃにふるんですか」
「いつからですか」
俺はつまんだ手を放してそう尋ねる。
「えっと、哲人さんが目を覚まして私の名前を呼ぶところからです」
「まさかの全部だった」
「はい、私が哲人さんより遅く起きるわけがないじゃないですか。先に起きといて、哲人さんが寝ている
私を見たらどうするんだろうと思いまして。まさか、頭を撫でてくださるとは思いませんでしたけど」
「うっ」
俺はさっきまでの言動を全部見られてたかと思うと急に恥ずかしくなってしまったので無理やりみのりの頭の下から腕を抜き、立ち上がる。
「もう、照れ屋さんなんですから。哲人さんならいつでも撫でていいんですよ」
「俺はシャワー浴びてきます。誰かさんのせいで昨日は入れなかったんで」
「じゃ、これでお相子ですね」
俺は少し頬を染めながらお風呂場へと向かった。
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シャワーを浴び終えリビングに入り、台所を除くと昨日、おととい同様に朝ご飯を作っているみのりの姿が目に入る。
「もうすぐできますよ」
「わかりました」
そして、しばらくリビングの椅子に座りザムサタを見ていると料理を持ったみのりがやってきた。
「できましたよ~」
そういって出してきたお皿にはフレンチトーストが載っていた。
「おぉ!」
俺は見ただけで食欲がわいてきて仕方がなかった。
「「いただきます」」
挨拶をすると俺は勢いよく食べ始める。
「うまっ」
しっかりパンの奥まで卵がしみていてとてもふわふわしている。これはさっきの短時間でできるもの
じゃないぞ。
「みのり、これ」
「はい、昨日のうちに漬けときました。どうですか」
「うまいとしかいいようがないですね」
「んふふ」
俺は無意識に二つ目へと手を伸ばした。
初めての作品なので読んでいただけるだけで感謝です。




