第二章 彼女がいる日常(12)
「すまん、待たせた」
「本当ですよ」
店を出ると鈴木の奴が不機嫌に待っていた。
「じゃ、いきますよ」
「あぁ」
こいつの家はお店からあまり離れておらず、歩いて五分というところだ。
まぁ、俺の家とは反対方向なので大して変わらないのだが。というか、自転車でくればもっと早くつけるのにどうしてそうしないのだろうか。
「なぁ、どうして自転車にしないんだ?」
俺は左隣にいる鈴木に尋ねる。
「はぁ? わからないんですか」
「あぁ、まったく」
えっ。てか、どこにわかるポイントがあった?
「そんなの自分で考えてください」
「はぁ、それとなんでいつも手を繋ぐんだ?」
そうなのだ、なぜかいつも手を繋いで帰るのだ。まぁ、妹ができたみたいでべつに構わないんだが。
「そ、それは前に言いましたよね! 危なくないようにです」
「あ、そうだっけ?」
「そうですよ。まったく」
やっぱり妹がいたら大変そうだな。いなくてよかった。
「てか、先輩今日歩くの早くないですか?」
「そうか?」
「はい」
みのりのことを考えて急ごうとは思っていたが、行動に表れていたのか。
「そんなに早く家に帰りたいんですか?」
「いや、まぁ」
「ふーん」
「なんだよ」
「べつに何でもないです」
その後は特に会話もなくッ鈴木の家に着く。
「じゃ、じゃーな」
「はい。またよろしくお願いしますね」
「わかってるよ」
「そしたら大学の勉強教えてあげますよ」
「さすがにそれはいいわ」
そんなことされて、なおかついい成績取ったらマジで泣きたくなる。
そして、鈴木が家に入るのを確認してから俺も家への帰路についた。
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「ただいまー」
俺は玄関を開け中に入る。
「おかえりなさい、哲人さん…」
すると奥から眠たそうな目をしながらみのりがやってきた。
「大丈夫ですか」
俺は靴を脱いでみのりに近づく。
「哲人さん、私、もうダメです…」
「えっ?」
俺が言葉の意味を考えていると、みのりはそのうちにどんどん俺に近ずいてきて
「ちょ、みのり!」
ドサッ
みのりが俺のことを押し倒してきたのだ。
「み、みのり?」
「てつ、と、さん」
俺は急なことに驚いていた、のだったが。
「zzz」
「みのり?」
「zzz」
どうやらもう眠気の限界だったらしく枕(俺)が早くほしかったらしい。
しかし困ったことになってしまった。
「動けん」
そう、今の状況は仰向けに倒れている俺にみのりが覆いかぶさるような形で寝ているので動こうにも動けない。というか、枕が変わると寝れないというのは値付けないだけなのだろうか、それとも枕を抜いたら起きてしまうのだろうか。
「んー、試したい」
と思ったが、さすがにかわいそうなのでまた今度にしていくことにした。
だが、困った問題はもう一つ。
「てか、これいろいろとまずくね」
最大の問題はこれである。体勢が体勢なので、みのりのいろいろな部分があたってて、やばい。
そして、そのみのりはというと俺の胸に頭を預けてぐっすりである。
「俺の苦労も知らずに、のんきな奴だな」
でも俺も頑張っているほうだと思う。初日の時はどうなるかと思ったが、まぁ、寝顔に免じて許してやろう。
そう思いながら目を閉じると、昨日寝ていないからか状況に反して眠りにつくのであった。
初めての作品なので読んでいただけるだけで感謝です。




