第二章 彼女がいる日常(8)
結局その夜、俺は眠りにつくことができず外が明るくなるのを感じていた。
「んんっ」
しばらくすると目を覚ました者がいた。みのりである。
「おはよう」
「ん? おはようございます。今日は早いんですね」
「あ、あぁ」
俺は寝てないことがばれて変に気を遣わせるのも嫌だったのでそのことについてはごまかす。
しかし、こいつらよく男が隣にいてもぐっすり眠れるな。てか、麻衣の奴は監視と言っておきながらすぐに寝ちまったし。止まった意味なんだが…。
「あれ? 麻衣さんはもう起きたんですか」
「えっ」
みのりのその質問に少し驚きながら右を見るとそこに麻衣の姿はなかった。が、以外にも早く見つけることができた。なぜなら
「あれじゃね」
「あら~」
俺とみのりの視線の先には、和室の壁にぶつかって止まっている芋虫がいた。
寝相悪すぎだろ。なんで上下も反対になってんだよ、てか気付かない俺も俺だな。
「じゃ、私は朝ご飯作ってきますね」
「おう」
そういってみのりは和室を後にした。かくいう俺は部屋の端の芋虫に掛布団をかけ、みのりの後を追った。
リビングへ入り、台所を覗くと既にみのりが何やら作業を始めていた。
俺はやることもないので席に着き、テレビをつける。テレビにはニュースが映り、雲のイラストの時計は六時を示していた。
みのりの奴、こんな早くに起きていてくれたのか。昨日は申し訳ないことしたな。
というのも、大学生の朝は遅いのだ。電車組はどうだか知らんないが、俺の場合は八時か七時半に起きれば十分である。まぁ、最悪八時半でも間に合わないことはないが。
「てつ~」
しばらくすると麻衣が和室から出てきた。
「おはy…」
俺は挨拶をしながら振り返ったのだが、その挨拶は途中で止まってしまった。なぜなら…。
「ま、麻衣! 早くそれをどうにかしろ」
「へっ」
麻衣は俺の反応にきょとんとしたような反応を示し、自分の姿を確認する。
麻衣の服装は寝相のせいか、上着が少しはだけ、下着が少し顔をのぞかせてしまっている。
「っっっっっ! きゃっ! 何見てんのよこの変態、バカ、鉄くず!」
麻衣は顔を真っ赤にしながら腕全体で胸を隠しながら俺をにらみつけている。
「す、すまん」
「どうしたんですか」
すると、異変に気が付いたみのりが台所からこちらへやってきた。
「いや、ちょっと麻衣が、って、お前も何してんだ!」
俺がみのりの方に視線をやるとそこにはエプロンだけを身に着けたみのりの姿があった。俗にいう裸エプロンである。
「みちゃだめーーーーーーーーーーーーーーー!」
俺がみのりの姿に驚いていると、隣から麻衣がそう叫びながら俺へ平手打ちを食らわせてきた。みのりに気を取られていた俺はもちろん気づくことなどなく、それはもう見事に吹っ飛んだのだった。
「安心してください麻衣さん。ちゃんと下着は履いていますから」
「それをもっとはやくい、って、く、れ」
俺はそう言い残すと意識を失った。
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目を覚ますと俺は横になっていた。だが、頭の下はなぜか柔らかかった。
「やっとお目覚めですか」
上の方からみのりの声がしたのでそちらを向くと、すぐ近くに彼女の顔があった。そしてようやく自分の現状を理解した。
これは、膝枕!
「すみません」
そういって慌てて頭を起こす。
「いいんですよ」
そういうみのりの顔は少し残念そうな顔をしていた。
「麻衣は?」
「麻衣さんは学校の支度があるからともう出ていかれましたよ」
「そっか」
「あと、ごめんなさいと」
「あぁ」
もうちょっと早く起きれたらよかったんだけどな、学校で気まずいな。学校…。はっ!
「今何時?」
「そうね大体ね~」♪
「いや、真面目な方で」
「七時半ですよ」
「そうですか」
「じゃ、朝ご飯にしましょう」
「はい」
台所のほうを見ると、ひとり分のお皿が既に片付けてある。おそらくまいのものだろう。つまり、みの
りは俺が起きるまで朝ご飯を待っていてくれたことになる。
なんか申し訳なかったな。そういえば、服は着たんだな。
「着ないほうがよかったですか?」
「なっ」
心を読まれた。
その後、みのりが作ってくれたご飯を食べ大学へと向かう
「じゃ、いってきます」
「はい! いってらっしゃい」
初めての作品なので読んでいただけるだけで感謝です。




