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居候彼女は泥棒猫  作者: こうたろう
19/63

第二章 彼女がいる日常(7)



「嫌です」



 はっきりそう答えたのだ。


「なに我が儘言ってるのよ。さっきも言ったけどあまりこういうのはよくないのよ」


 麻衣はみのりを説得しようと試みる。しかし、


「いやったら嫌です」


「どうしてそんなに嫌がるのよ、そんなにこいつと一緒がいいの?」


 麻衣は少し怒気をはらんだ口調でそう尋ねる。そして、その質問に俺もドキッとしてしまう。まぁ、俺はみのりが嫌がる理由に心当たりがあるのであんまり心配はしていなのだが。その理由とは…。



ーーーーー 枕が変わると寝れないからです ーーーーー

 


 これである。


「ま、くら?」


 自分が思っていた回答と違ったのかとてもきょとんとした顔をしている麻衣。


「はい」


「枕ならなおさら問題ないじゃない、なら早く持ってきなさい」


 おい、麻衣。それはあかんぞ。


「いいんですか!」


 ダメに決まってるだろう、何を言っているんだこの子は。

 だが俺の心の叫びは届くわけもなく、みのりが俺の腕に抱きついてきた。


「じゃ、行きましょう」


 あ、終わった。


「て~つ~と~く~ん~」ニコ


 あぁ、なんて素晴らしい笑顔なんだ。こんなにも笑顔なのにものすごくどす黒いオーラが出ている。

 このあと、俺は一時間以上正座をさせられ長々と説教を食らわされたのは言うまでもないだろう。




 そして…。


「どうしてこうなった…」


 今、俺は布団を今日は和室に敷いて横になっている。そして、昨日と同様にみのりが俺の右腕を枕にして寝ている。だが、違う点が一点。


「すぅ…」


 俺の左の腕枕に麻衣がいることである。両腕に女の子を寝させてるなんて、「これなんてギャルゲー?」状態である。

 だが如何せん。昨日もみのりのせいで寝不足なのに今日は麻衣も加わっているのだ。まったく寝れる気がしない。

 では、なぜこのような事態になってしまったのか。それは麻衣の説教の最後のほうまで、大体一時間ほど遡る。



 一時間前…。



「だいたい、なんで拒否しなかったの? どんなにせがまれたとしても拒めばよかったでしょ」


「はい。」


「なんでそういうところまで考えられないのかなぁ、この馬鹿は」


「はい」


「さっきからはいはい、本当にわかってるの」


「それはもちろん」


 俺はこのようにもう小一時間ほど罵詈雑言を浴びせられている。だがなぜおれだけなんだ、肝心のみのりといえば向こうの方でテレビを見ているではないか。


「よそ見しない」


「はい」


 いつまで続くんだろうか。もう寝たい。

 永遠に続くかと思われたお説教タイムだがようやくその時は来たのだった。そのきっかけを作ってくれたのはさっきからテレビを見ていたみのりだった。


「ふわぁぁぁ」


 みのりは眠たそうにあくびを漏らしたのだ。


「ん? まぁ、もう夜も遅いしこれくらいにするわ」


 ほぉ、ようやく終わった。そう一安心した俺だったがその安心はすぐに吹き飛ぶ。


「じゃ、今日は私も泊まるから」


「はい?」


 はて、この子は今何と言ったのだろうか。


「今なんて」


「だから、あんたがみのりちゃんに変なことしないように私も今日一緒に寝るって言ってんのよ。本当に不本意だけどね」


「いや、さすがに俺たちみたいな付き合ってもいない男女が一つ屋根の下っていうのは」


「その言葉、今のあんたが言ってもまったく説得力ないわよ」

 ですよねー。うん、知ってた。

 



 その後、みのりと麻衣が一緒に風呂に入り、次に俺が入った。そして、風呂を上がるとリビングには誰もおらず、和室の方から声がしたのでのぞいてみた。するとやはり布団は一つしか敷かれたいなっかたので、急いで自分の部屋へ駈け込もうとしたのだが、いくら女子といえど二十歳直前の女子二人には勝てないのである。


「ねれるかぁぁぁぁぁぁ」


 俺は眠りについた二人から腕を抜こうとするが、無理やり縫うと起きられてしまうのであえなく断念することになった。


「はぁ」


 かくして、俺は今日も眠れない夜を過ごすことになったのだった。



初めての作品なので読んでいただけるだけで感謝です。

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