第二章 彼女がいる日常(6)
「「「ごちそうさまでした」」」
挨拶をすると俺はいつものように三人分のお皿をまとめて台所へと向かった。
そういえば会った時からあの二人は会話という会話をしていなかったが大丈夫だろうか。
ちょっと心配になったので、台所の方からチラッとリビングの方をのぞいてみることにした。
「…」
「…」
やはりというべきか二人の間に会話はなく、みのりはスーパーの広告に目を通し、麻衣の方はスマホをいじってしまっている。
「やっぱりだめかー」
そう思って一言二人に声をかけようとしたその時、その沈黙を破ったものがいた。それは麻衣の方であった。
「ねぇ」
「はい?」
「あなたってその、哲と、そういう関係だったりするの」
「ぶっ!」
思わず声が出そうになっちまったじゃねぇか。何聞いてんだよあいつは。
「そういう関係とは?」
みのりの奴察しが悪いな、さすが天然だ。
「そ、そういう関係はそういう関係よ。その、彼氏、彼女的な?」
「あぁ、そういうことですか。安心してください、私と哲人さんの間には同棲している以上の関係はありませんので」
「そ、そぉ。まぁ、別にあいつがどんな奴と付き合っていようがどうでもいいんだけどね」
うっ、俺って実は結構嫌われてたりするのかなぁ。ちょっと傷つくぞ。
はぁ。まぁ、この様子なら大丈夫そうだな。
そう思うと俺は先ほどの麻衣の言葉を思い返しつつ洗い物を再開することにした。
あれ、でもなんで俺はあいつにあんなことを言われて気にしているんだろうか。ん~、分からん。
洗い物を終え、リビングに戻るとあれから話が弾んだのか、二人で仲良くガールズトークをしているようだった。
「それでね」
「はい」
「いつの間に仲良くなったんだよお前ら」
「今さっきよ」
「そうです」
「ふーん。で、何話してたんだ?」
「それはですね、んぐk」
俺が内容について尋ねたので、みのりが答えようとするとその口を麻衣が覆った。
「なんだっていいでしょ。女の子には秘密が多いのよ」
「あ、あぁ」
麻衣の奴ずいぶんと焦っていたようだが、そんなに秘密にしたいことを話していたのだろうか。まぁ、
すぐに仲を深めるには秘密の共有するのが一番いいっていうしな。
そんなことを思いながらふと時計に目をやると九時を指していた。
「麻衣、もう帰ったほうがいいんじゃないのか」
「え、もうそんな時間?」
そういって急いで玄関のほうへかけていく。と、思いきやまたこちらへ戻ってきたと思ったらいきなりみのりの手をつかんで玄関のほうへ連れていく。
「あれぇぇぇ」
俺は急いで二人の後を追い、みのりのもう一方の腕をつかむ。
「おい、何してんだよ」
そう聞くと、麻衣は振り返る。
「みのりちゃん、今日からうちの部屋に泊まりなさい!」
「お前急に何言ってんだよ」
「何って。哲、男女が二人きりでおんなじ家に寝泊まりするなんてダメに決まってるじゃない」
「そりゃ、そうだけど」
「さぁ、行くわよ」
そういって麻衣は俺の緩んだ手を離させみのりを連れて行こうとする。
だがしかし、みのりは先ほどと違い全く動こうとしない。
「何してるの? みのりちゃん、行くわよ」
すると…
初めての作品なので読んでいただけるだけで感謝です。
そして、しばらくの間一日二回投稿をやってみようと思います。よろしくお願いします。




