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詩のようなものたち

喫茶

作者: 暮 勇

 椅子も机もカウンターも

 みんな腰が斜めになった

 あのママの為の設えなのか


 来客を知らせるベルもなく

 思わず「すいません」と声かけた

 ママは不思議な顔をした

 何で座らないのといった風に


 水と熱すぎるおしぼり貰い

 メニューが無いかと首を回す

 どこにも無いなと悩んでいると

 机の上にはブレンドコーヒー

 私が入店した時既に

 どうやらメニューは決まっていたらしい


 腰を曲げてカップを手に取り

 タバコをぼけっと吸っていた

 明かりは点いておらず

 壁は暗い色の木で出来ていた

 大きな窓から西日が差し込み

 小さな店内を明るく照らす


 ふと窓の外に目をやると

 子供達が散歩をしていた

 保育士さんに手を引かれ

 てとてと足取り覚束ない


「あらあら可愛らしいわね」

 ママが目を細め窓辺に寄る

「散歩ですかね」と私が言うと

 ふふと笑ってカウンターへ

「あの年頃は大変よね」と

 ぽつりと前に向けて呟いた


 遠い昔を思い出すような

 優しい微笑みを湛えながら

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