少女
勢いをつけた棍棒は俺の頭にブンと音を出して向かう。しかし、俺の髪を少し掠っただけで当たりはしなかった。またそれを見て他の2人が笑い囃し立てる。人の命を弄んでいるようだ。こいつらには慈悲というものがないのか。無いのだろう。だからこんなことができる。
本当に俺の人生とは一体なんだったんだろうか。これでは俺はこいつらのおもちゃだ。この世は無慈悲だ神様も仏様も稲尾様ももういないんだ悲しい事だ。そんな事を考えていたら今度は金的を食らったどうやらこの世に悪魔は存在するようだ。男にしか感じられない痛みで身が震える。
激しい痛みの中今度は強烈な光が空から降り出した。一体なにが起こったのかわからない。何かが光の中にいる。光の中から現れたのはセーラー服を着た少女だった。空からゆっくりとこちらに降りているのでパンツが影となって見えない。畜生。3人組はそれを見て慌てて逃げ出した。もう、これが悪夢なのか現実のものなのかわからない。ただ、痛みが現実なんだろうと告げている。今度こそ救いなのか?俺はまた、淡い期待を胸に抱いてしまった。
降り立った少女は俺の傷口にそっと触れた。もうなんでも好きにしてくれあんな奴らに殺されるぐらいなら、この少女に殺された方がまだマシだ。なんと、傷口が塞がっていくさっきまであらぬ方向に曲がっていたはずの腕や足も元の方向に戻っていく。どうやら、この世には天使も存在したようだ。俺はこの天使に感謝を伝えようと起き上がろうとした。
天使はただ一言
「まだ、動いてはいけない。」
と俺を静止させた。身体は治っても体力は衰弱しているようだ確かに彼女の言うことに一理ある。俺はだんだん朦朧としてきて意識が失うように再び眠りに落ちた。