棍棒
ふと、目が覚めるとそこは暗闇だった。起き上がろうにも身体は思うように動かない。金縛りか?いや違う。そうか、さっきトラックで轢かれたと言うことは夢ではなかったのだ。一体ここはどこなんだ。病院ではないみたいだひんやりとした大理石か何か石畳みのようなところの上に俺は放置されている。だから、一体ここはどこなんだ。段々と意識がはっきりとして来て痛みが疼き出す。誰か俺を助けてくれと叫ぼうにも声が出ない。俺が出来ることはただたださめざめと泣くことだけだ。
一体どれくらいの時間が経ったのか時間の感覚があやふやでまるではっきりしないが俺は涙を流し続けた。痛みも勿論ながらこれからどうなるのだろうか涙はまだ止まらない。
ふと、コツコツと言う音がした段々とこちらに近づいているのだろう石伝いの振動もはっきりと身体に伝わる。誰か助けが来てくれたのか?音のなる方向に力を振り絞り方向転換する。灯だ!誰でもいい俺をだれか助けてくれ!
段々と音が近づくコツコツコツコツ振動もどんどんと強くなりはっきりとこちらに近づいているのが感じ取れる。朧げながら3人ほどの人影が見える。身体もガッチリしてそうだしこの人達なら俺を担いで行けるだろう。
ついに来てくれた。やはり3人組のようだ顔は灯りが薄暗くて見えない。「助けてください」俺は声を振り絞り話しかけた。助かったそんな淡い期待を抱いたのもつかの間ボフッと言うなんとも言えない音がなったと思えば突然腹部が抉られるような痛みが走った。
3人組のうちの1人が突然俺の腹を持っていた棍棒のようなものを使いゴルフスイングの要領で俺をふっ飛ばしたようだまた俺は宙を舞う。しかし、今度は地面に這いつくばった。顔から落ちたせいで口の中は血の味がする。他の2人がそれを見て手を叩いて囃し立て笑っている。
そうか、俺は運転手に連れ出されたんだ。なにを甘い勘違いをしていたんだ。救急車などで助けられたならすぐさま病院で治療を受けられるはずなのにこんなところにいると言うことは運転手が俺を攫ってここに置いたに違いない。
俺は証拠隠滅のために殺されるんだ。そう頭によぎった。ヤクザ映画のようにコンクリート詰めにされて東京湾にでも沈められるのだろうか。3月とは言え東京湾はまだ冷たそうだ。
そんな事を考えてたら今度は頭を踏まれた。これにはせっかくのジャニーズ系のイケメンもこれでは台無しだ。畜生。中学時代は200回もの喧嘩に明け暮れた俺でもこれでは手も足も出ない。
次は棍棒が頰に触れる。ここから照準をつけた後勢いをつけて頭をかち割る気なんだろうか。最早俺は自分が殺される事を実況することしか出来ない。勢いをつけた棍棒が俺の頭に向かう。