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星と帝と少年  作者: 白蓮
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プロローグ3

 移住計画を完遂することに成功した人類は地球と同じように複数の人間が国の建国を宣言し統治を始めた。



 国を建国することによって地球で生活していた時と同じように領土問題が起きてしまったり、惑星内の資源関係での領土の奪い合いが発生するのではと懸念されたが国の建国を宣言した者達はもともと地球で国を治めていた優秀な者ばかり。さらにその者たちの側近達も代表者と一緒に移住し協力体制をすでに整え終わっているところが多かったため多少の小さな争いはあったもののすぐに国の境界線が定められ地球で暮らしていた時と同じような国家が続々と成立していった。


 環境改造計画テラフォーミングから30年の月日が経過する頃には8つの惑星の生活水準・経済情勢は地球とほぼ同じ水準にまで到達していた。



 そして惑星同士での交流もこの時期から始まった。


 惑星同士での貿易が盛んに行われ他の惑星で生産された商品などが大量に輸入されてきた。

 インターネット回線、電話回線などもすべての惑星とリンクすることに成功し惑星同士でのテレビ電話、チャットもできるようになりこれまでよりさらにいろいろな情報が入ってくるようになった。

 旅行も自分たちの惑星の中での旅行のみという制約が存在したが、その制約が緩和され他惑星の旅行プランも続々登場し始めた、するとほかの惑星はいったいどうなっているのかと見てみたいと思う人々が続々と旅行プランに応募、空前の他惑星長期旅行ブームが起きた。

 スポーツの方面でも惑星同士の親善試合など多く開催された。さらに地球のみでの開催だったオリンピックは9つの惑星を巻き込んだ超一大イベントに変貌。4年に1度の祭典に人類は今まで以上に熱狂した。


 惑星同士での交流が始まることで人類の生活はさらに変化していった。






 ところが、この平和な生活が突如として終わりを迎えたのである。


 きっかけは、全惑星の国々が集まり今後の人類の方針を決める会議でのことだった。

 この会議で初めて太陽系の惑星に存在する全ての国々の代表が一堂に会するということで注目されていた。


 この会議の冒頭で誰かがこのような発言したことがすべての始まりだった。


 「人類の今後の方針を決める前にどの惑星が主体となってこの会議を進めていくべきか決めるべきではないか?」


 この発言をきっかけにどの惑星が人類の主体となるべきかの大論争に発展。論争は次第に過熱しついには激しい言葉の応酬が始まってしまった。もちろん会議は中止になりこの様子をテレビ・インターネットで見ていた人々の間でも大論争になってしまった。


 この大論争始まった初期の頃は話し合いによる解決を人類は目指していた。しかし、全く進展が見られないまま長い月日が流れてしまった。そして次第に惑星間の間で険悪なムードが流れ始めた。

 


 そして西暦3259年2月……後の歴史に残る記念日のきっかけになったと言われている出来事が起きた。


 

 水星、地球、火星、海王星で主体惑星を決める会議に出席する予定だった者たちが同じ時刻帯に同時に襲撃される事件が起きた。火星で襲撃された者は襲撃者の魔法に対して応戦したため右腕を軽く火傷する程度の被害だったが、水星、地球、海王星で襲撃された者は不意を突かれたらしく死亡してしまった。突然の出来事だったため犯人を捕らえることがどの惑星でもできなかった。


 各惑星の警察は同じ時刻に同時に襲撃されたことから過激派組織による犯行であると発表した。

 


 この事件により惑星同士の関係が悪化。あらゆる交流イベントや旅行プランが中止に追い込まれた。



 さらに追い打ちをかける出来事が起きた。



 冥王星の国々が協力し、武器の大量生産を行い戦力増強を水面下で行っていたのだ。

 これにはほかの惑星の国々が激怒した。金星、木星、天王星、海王星の国々もすぐに行動を起こした。彼らも戦力増強に取り掛かったのだ。水星、地球、火星、土星の国々は周りの国に自重するように求めすぐには戦力増強は行わなかったが、彼らが聞く耳を持たないことが分かると戦力増強を行った。



 世界はいつ戦争が起きてもおかしくない情勢になってしまった。

 しかし、各惑星の国々は一つの不安を抱えていた。それはもし戦争状態に突入してしまったときどの国が指揮を執り戦争からの勝利を導いていくのかということである。指揮を執る国、それに従う国がきちんと明白にしておかないと待っているのは自滅の道だ。無抵抗のまま敵に自分たちの惑星への侵略を許してしまう。


 そんな中、最初に行動を起こしたのは土星だった。西暦3259年9月・・・土星で皇帝制度が制定されたのだ。


 この皇帝制度は惑星内に存在する国々の代表者をまとめる存在を作り惑星内の国々との連携を円滑にするために制定された。それと同時にこの皇帝制度はその惑星の軍事力の象徴になる役割にもなった。何故なら帝に選ばれた者が圧倒的な力を持っていたのだ。土星にいる国民全員を相手にしても対等に戦うことのできるほどの恐ろしい力の持ち主だった。この者は土帝と呼ばれ土星の様々な国の国民から崇拝され土星の象徴となった。



 

 土帝の出現により他の惑星でも皇帝制度を導入する動きが出始めた。

 火星の炎帝、木星の風帝、冥王星の冥帝、海王星の氷帝、金星の雷帝、水星の水帝、天王星の天帝……



 各惑星で惑星の象徴となりえる者が帝位についた。この者たちも圧倒的な強さを持ち、星々間で一層の緊張感を生むことになってしまった。



 ところが、8つの惑星で皇帝による惑星の改革が行われている中、地球だけ皇帝制度の導入が遅れていた。

 地球以外の惑星はその原因を探ろうと様々な手段を講じるが何故か全く情報を得ることが出来なかった。



 帝達が地球からの情報収集を諦め、自惑星の戦力増強を始めていた頃・・・

 他の惑星から遅れること数か月……西暦3260年6月―謎に包まれていた地球にも皇帝制度が制定された。


 地球以外の帝達は政治の表舞台で活躍し、その活躍と強さを認められた者が帝位し惑星の象徴となっていたが、地球の皇帝――初代地帝は違った。


 全く表舞台に立ったことのなく強さも未知数な者が帝位についたのである。これにはほかの帝も拍子抜けだった。

 地球は主体となることを諦めたのかとあざ笑うものもいた。



 そんな周囲から奇異の目で見られていた地帝は帝位直後に全惑星に向けて会見を行った。

 人々は帝位に至った経緯の説明を行うのだろうと思っていた。しかし、その会見の第一声は驚くべきものだった。


 「時間をかけるのは好きではないので簡潔に言わせてもらう。これ以上惑星同士で軍事力生産競走を行っていけば確実に戦争が起きる。我々は地球にいた頃に自滅の道を歩んだという事実を忘れたのか?地球の世界終末時計は今や2分前を示している。次に世界大戦が起きれば人類の絶滅は確定するだろう。人類が滅亡せず、戦争せず、そして主体となる惑星を決めことができる画期的な方法を私は考えついた。今回の会見はその方法を皆に知ってもらうための会見だ。」

 

 地帝は一度そこで言葉を切り、持参したペットボトルに入った水を少し口に含み、ゆっくり飲み込んだ。


 「私が帝位につく前、すでに8つの惑星で国の代表となる者が帝位につき活動していた。その者たちは圧倒的強さを持つということでその惑星の象徴となっている。まあ……要するにその惑星の最終兵器ということだ。その最終兵器が他の惑星に従う姿勢を見せればそれはその惑星の民意になるということにならないだろうか?」


 地帝の言葉に会見場にいた人々の間にどよめきが起きた。しかし、そんなどよめきも気にもとめず地帝は発言を続ける。


 「なら話は簡単だ。帝同士で力のぶつけ合いをすればいい。他の惑星の帝を打ち負かし従わせればいい。自分以外の帝をすべて打ち負かすことが出来るほどの者がいる惑星が主体となるなら誰も文句は出ないはずだ。他の惑星での帝選定の時、帝としての器に人類が求めたのは圧倒的な強さだったはずだ。9つの惑星の中の真の帝を決める。この方法こそが戦争せず、人類も滅亡せず、誰からも文句が出ない唯一の方法だ。」


 

 地帝の発言を聞いた報道関係者数人がが勢いよく会場を飛び出していく、地帝の発言を自分のテレビ局に伝えるためだろう。そして最後に地帝は強めの口調でこのように締め括った。


 「さあ! この会見を見ている帝達よ返答を聞かせてもらおうか! 私はお前たちすべての帝を超越する力を持っていると自負している。この戦いに勝利し世界を導いていく覚悟がある!! その覚悟がない帝は私に従え。必ずや世界を平和にして見せる! 覚悟がある者は出てこい!! ……私が相手になってやる。」



 地帝の発言は他の帝達を激昂させるには充分の威力があった。

 この会見の後、ほかの帝達も次々と会見を開き地帝の提案する方法に賛同。どのような結果になっても異議を唱えないことを誓った。報道機関は地帝の提案した方法を最終決戦ラグナロクと命名し一斉に報じた。

 決戦は2か月後――地球が以前から整備してきた月面で行われることになった。月以外の惑星では彼らの力の衝突に耐えることが出来るのか分からなかったためである。それほど彼らの力は強大なのだ。……しかし、地帝の力は最終決戦ラグナロクの時まで一度も披露されることがなく未知数のままだった。



 2カ月後――ついに月面で9人の人類代表者が相対した。

 太陽系全域で人類が固唾を飲んでテレビ・パソコン越しで見守っていた。

 3260年8月20日午後13時00分—―最終決戦ラグナロクが勃発した。



 水帝の全長200mをも超える波を起こし敵を葬り去る水魔法

 雷帝の10億Vの雷撃を空から降り注ぎ敵を焼死させる雷魔法

 炎帝の1万度を超える炎で敵を蒸発させる炎魔法

 風帝の風速10キロを超える風を生み出し敵を切り刻む風魔法

 土帝の大規模な地殻変動を起こし敵を圧殺する土魔法

 天帝の聖なる力で作られた1万本の光の矢で敵を浄化する光魔法

 氷帝の絶対零度まで気温を下げ敵の生命活動を停止させる氷魔法

 冥帝の全てを飲み込む闇の力で敵のあらゆる攻撃を無力化する闇魔法


 規格外の力を持つ帝を知る者たちはこの戦いは1か月以上続くだろうと予想していた。





 しかしその予想は裏切られた。





 最終決戦ラグナロク開始から1時間—―8人の帝が一人の帝に敗れ去った。

 最後まで月面に立っていた帝—―実力未知数とされていた地帝であった。


 最終決戦ラグナロクを観戦していた人類は目を疑った。

 地帝が使った魔法はこの世界の基本的と言われているどの魔法にも当てはまらないものだったのだ。

 

 地帝はまず風帝を一瞬で戦闘不能にした。どのように戦闘不能にしたのか誰もわからなかった。得体のしれない力が働き風帝の意識を刈り取ったのだ。その光景を見た炎帝・雷帝が地帝を標的として魔法を行使した――しかし地帝は1万度の炎を受けても10億Vの雷撃を受けても全くダメージを受けなかった。そして地帝は二人の意識を風帝と同じように刈り取った。


 次に地帝は少し離れたところで闘っていた土帝と水帝を標的にした。土帝と水帝は地帝に魔法が効かないことが分かると協力して地帝を地中深くに幽閉し身動きを封じ、そこに水帝が大量の水を流し込み地帝を戦闘不能にする連携攻撃を行った。結果、地帝を地中に幽閉させることは成功した—―しかし、水を流し込もうとした瞬間……突如地中から謎の大爆発が起き土帝と水帝は吹き飛ばされた。20メートルぐらい吹き飛んだ二人は上手く受け身を取り体勢を立て直した。しかし、何が起きたのか状況を確認する前に何時の間にか背後にいた地帝に気絶させられた。


 その光景を見ていた氷帝が大魔法―絶対零度―を発動。地帝とその周辺数百メートルの空間を生物が活動停止する温度−273.15 ℃の世界に変えた。だが、それでも―地帝は止まらなかった。生物が活動することが出来ないはずの絶対零度の中で地帝はおもむろに指を鳴らした――次の瞬間、絶対零度に包まれていた世界が一瞬にして元に戻った。氷帝は自分の究極の魔法をいとも簡単に破った神にも等しい力を持つ地帝に近寄り、そして跪きその場で永遠の忠誠を誓った。


 残った天帝と冥帝は地帝にまともに勝負を挑んでも勝てないことを悟り、地帝にこのような提案をした。


 「「もし、私の切り札である究極魔法を完膚なきまでに打ち破ったら私もあなたに永遠の忠誠を誓おう」」


 

 その提案に乗った地帝は天帝の究極魔法―アルテミスの矢―を人差し指と中指との間で止めてみせ

 冥帝の究極魔法―ブラックホールーをこの世の法則を無視したとしか思えない謎の魔法で破壊した。





 こうして最終決戦ラグナロクはたった1時間で閉幕し、地球が主体となって人類を導いていくという結果に至った。闘いに負けた帝達は帝の位を地帝によって剥奪されるだろうと人々は考えていたが、地帝は他の帝の位を剥奪せず、そのまま自分の惑星の統治を指示した。さらに地帝は世界に……いや宇宙に永久の友好関係を築くべきだと訴えた。

 

 「惑星同士が交流していた時のことを思い出せ、あの時の人類は希望に満ち溢れていた。」



 この地帝の言葉そしてほかの帝達による平和を願っての活動によって最終決戦ラグナロクから半年後惑星同士での交流が再開された。



 西暦3261年2月……人類は宇宙大戦という危機的状況を完全に回避することに成功。

 地球にある終末時計の針は零時30分前に戻された。当分の間この針は零時に近づくこともないだろう。

 ようやく人類を導く主体となる惑星が決定。その地球を治める人物―地帝の存在が世界の平和への道を加速させた。



 地帝の不可思議な力は様々のところで利用された。人々は地帝を神の生まれ変わりだと囃し立て崇拝した。




 そして、人類は新たな平和な歴史を歩んでいくという願いを込めて西暦という表記を変えることにした。



 地帝が最終決戦ラグナロクで人類の救世主になった年を0年とし8月20日を全惑星共通で記念日とした。



 

 


 星暦0年……地帝が最終決戦ラグナロクの末、勝利を治め人類の救世主となる。





 




 

 


 



 

 



 

 

 

ようやくプロローグ終わりです……書き過ぎました

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