査定と勧告 〜王族はサバイバル〜
「あ、こんにちはー」
執務室の玉座に悠々と座っている私に、緊張が走る。王を護るようにさっと近衛騎士たちが王を取り囲んだ。
「何者だ?」
王の問いに、明るく答えた。
「世界研究会から来たマリンでーす」
世界研究会は、魔女や魔法師などで結成された組織だ。元々は研究好きが集まって、お互い意見交換などをしていたのだが、紛争や戦争が起こると、好きな研究もしていられないとのことで、世界の安定のために各国の王の査定を自主的に行っている。
内政干渉といわれようが、知ったこっちゃない。王でありながら、王に相応しくない奴らが悪い。
私はその査定をバイトとして引き受けている魔女だ。私の研究は、なにかと物入りなのだ。
私が世界研究会の証紋を宙に浮かび上がらせると、入室したときとは違う緊張が、部屋に走った。
「早速ですが、貴国の第一王子の査定結果をお伝えしまーす。Dマイナスでーす」
沈黙が部屋を支配した。
うめくように王が言葉を絞り出した。
「そこまでか」
「そうですねー。顔も知らない転んだ男爵令嬢に手を差し出すとかー、手作りだって言ってるのに毒味もなしに食べるとかー、婚約者に断りも入れず男爵令嬢に入れ上げるとかー、そのくせ公務も大半はその婚約者に押し付けるとかー」
「王族の自覚もなけりゃ、死にたいのかな、こいつ、の行動のオンパレードで。王太子になったところで、使いものにならない未来しか見えませーん」
額に手をやる王に、さらに告げる。
「再教育か、いっそ第二王子を王太子に据えることをお勧めします」
「これは勧告であって強制ではありません。が。彼が学院を終えるまでに変わらない場合、卒業はできないと思ってくださーい」
死刑宣告に等しい言葉に、王が焦って言う。
「マリン殿。よければ、第一王子の教育係に」
「あ、そういうことはお断りしてるんで。基準に達しない場合は、消えてもらうだけです」
「では、そういうことで」
転移のスクロールを起動して、私は王都の路地へと移動した。
「ぼんくらが二代続くと、さすがにきっついわー」
あの王も王太子時代にやらかしている。その父王がまともだったからなんとかなったが、この国は要注意案件だ。
「このままだと、きっと消すまでいくよね。給金はずんでくれるといいなー」
私は胸の中で、まだ見ぬ金貨を数えた。




