【間話】マリー x 下着
あかりが剣聖として転移させられて直ぐ。
王様との晩餐が終わり、疲れ果ててお風呂に入った日の話し。
「はぁー、疲れたぁ」
日本のお風呂とは違うけれど、こんなのもいいよね。
そう言えば、マリーはいつもお風呂の時に私の着替えをジッと凝視してるけど、初日に間違えて出したBL本も凝視してたし、単純に「見たことないもの」への興味なのかな。
でも、異世界の文化を自分の基準で測ってる自分が、少し上から目線かもと思う。
今日も、案の定凝視されている。
「あ、あの、マリーさん? さっきからジッと見てるようだけど、私の体に何か付いてるかしら?」
言われて気が付いたのか、顔を赤らめてサッと目を逸らした。
「あ……いえ、申し訳ございません……無遠慮でした。
ですが、剣聖様の下着が……その、あまりにも美しくて可愛らしかったので思わず見入っておりました」
下着……あぁ! 確かに! 彼女達の下着は、上は無しかサラシで、下は紐パンだものね。
紐パンを最初見た時は驚いたけれど、ゴムがない世界なら紐が普通なんだよね。
目を逸らしながらも、やっぱりチラチラと私の下着が気になってるマリー。
「マリーも、こんなの着けてみたい?」
チラッと私が着けていたブラを見せる。
マリーは顔を真っ赤にしながらも、控えめに首を縦に振って肯定、そんな控えめなマリーを好ましく思いながら――ふと思う、本当に欲しいのかそれとも遠慮してるだけか。
押しつけるのは違うよね。
私は彼女のために下着を出してあげる事にした。
でも、まずはちゃんと確認。
「本当に着けてみたい? 無理にとは言わないよ。この世界の紐パンも、動きやすくて合理的だと思うし」
マリーが少し考えてから、「……はい、興味はあります。でも、剣聖様の大切なものをいただくのは……」と遠慮がちに。
「良いのよ、貰ってくれたら私も嬉しいから。でも、サイズが合わなかったらごめんね」
と言っても『ガマぐちポシェットくん』から出せるのは私が買ったことある商品のみ。
それでも高校時代から社会人までを含めると二十年数分はある訳だから選択肢は山ほどある。
先ずはブラジャーからとサイズを確認……。
薄々感じてはいたけれど、マリーさんには私のサイズでは合わない事が判明致しました。
ガッカリと肩を落として悲しそうな顔をするマリーさん。
ごめん、ショック大きいのは私の方。
マリーさんは確か十六歳だったよね? それなのに高校時代の私より大きいなんて……でも、身体の違いを比べて落ち込むのは、ボディイメージ的に良くないよね。
それでも、パンツの方は何とかなりそうなので。
ここは一発メチャクチャ可愛い奴をセレクトしてあげましょう。でも、押しつけじゃなく選択肢を。
「はい! コレなんてどう? マリーに凄く似合いそうだけど」
ジャーンと広げたパンツ。
白地に薄いピンク花の模様がレースで施されて柔らかなフリルが沢山ついた可愛いいやつ。
確か大学生時代に買ったやつかな。
不思議な事にマジックバッグから取り出した物は全部新品になる。
今のところスマホ以外は全部そうだ。
パンツをジッと見つめて、恐る恐る手を伸ばすマリー。
触れた手触りも、この世界の布とは違うからスベスベで気持ちいいでしょ?
優しくレース部分に触れながら、「こんな、こんなに豪華で高価な物を頂いてもよろしいのですか?」と頬をピンクに染めて嬉しそうにパンツを見てる。
これからマリーには色々お世話になりそうだからね。
「良いのよ、貰ってくれたら私も嬉しいから」
追加で実用的なパンツも、今日のマジックバッグの残り回数分までいくつか種類を出して、選んでもらった。
「今度、お風呂の時に見せてね」
そう言うとマリーから何度も手を振って否定されたけど、翌朝には今までに無いご機嫌で、笑顔なマリーを見られたから良しとするか。
無理強いじゃなく、本人が喜んでくれたならいいよね。
ちなみに、その数日後には下着の話しが王妃様の耳まで届き。それから数日間は『ガマぐちポシェットくん』から取り出す品は下着優先になってしまいました。
そして、王妃様から広がった私のパンツは、そのデザインに目を付けたメイド達がこぞって自分の下着に刺繍でデザインを真似し始め。
その流行は次第に市井の若い女性達にまで広がりました。
また、僅かながらブラジャーも出回っていたので、それを自分のサイズに加工、またその仕組みを理解して自作する強者まで現れたと聞きます。
そして、遂にはお針子さんの中でも特に腕が良くデザイン性に優れ、商売に成功した者が独自の下着ブランドを立ち上げました。
「剣聖の誘惑」、「剣聖の魅了」
もちろん、私には一切関係ありません。
私も履いたことの無いパンツが、剣聖の名でブランド化されて王国中で売られたのです。
それは王都だけでなく、他国にまで広がりました。
女性用下着の最新デザインの地として他国の女性達からも注目され。
後にこの国が、アンダーウェアの聖地として世界中の女性が「一度は訪れたい憧れの国」と言われる程になったと言うのは、また別の機会にお話ししましょう。
――でも、下着の選択肢が増えたのはいいことだけど、私の名前が勝手に使われて、ちょっと複雑。
異世界の女性たちが、自分の身体を自分で選べるようになったなら、それでいいのかな。
読んで頂きありがとうございます。
間話回、マリーさんと親交を深めるお話しでした。




