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腐女子剣聖、騎士団でBL推し活始めました。  作者: 三上折紙


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あかり x 戦争

 捕らえた貴族や奴隷商たちは他国との取引を白状した。主に隣国や帝国の貴族が買い手だと言う。

 

 王国では奴隷制度は厳しく制限されているが、地下で横行していた。

 私は全く知らなかったのだけれど、この国は五年前まで戦争をしていた。

 隣国と、その隣国にある帝国が相手だった。

 戦争が終わったのは、帝国が手を広げすぎて数カ国からまとめて反撃を食らったから。


 そのおかげで、帝国はこちらの国からは手を引いてくれて。

 ついでに隣国とは停戦協定を結んだのだそうだ。


 子供たちを王城に戻す途中、私は貧困の現実を知らされた。

 王都は栄えているが、田舎は戦争の傷跡が残り食料不足が深刻。

 男手が少なく畑が荒れている。

 食べられなくなった家は子を売りその場を凌いだ。


 奴隷商が蔓延っているのも、犯罪者が増えるのも貧困が原因だ。


 私は王城へ戻ると、その足で王と王妃に相談。


「奴隷制度を止めましょう!」


 しかし、王は難しいと言う。

 奴隷は犯罪者の罰として機能し、制限を緩めると犯罪が増える。

 

 食料不足が根本原因だ。


 それよりも、第一王子が帰ってくるので私にも歓迎の晩餐に参加して欲しいと言われた。


 隣国の王子も一緒だと言う。


 あの『王子 x 王子』が見られる! そう思う気持ちと、奴隷問題が頭によぎって素直に喜べない。


 あーもう!


 奴隷問題の根本は、戦争によって荒れた畑、人手の問題もあるけれど何より食糧が少なくなっているから。


 それなら――私は考えていたあの計画を本格的に進める事にした。


 ・

 ・

 ・


「おはようございます」


「これは剣聖様、おはようございます」


 裏庭には、庭師のガイルさんが居た。


「もう、私のことはあかりと呼んで下さいと言ってるのに」


「剣聖様は、剣聖様ですので……」

 

 王城の裏庭と言っても、ここは厨房に近く出入り業者も入って来れるような場所。

 そこに私は、王様にお願いして畑を作らせて貰った。


 畑作業は全くの素人な私だけれど、農作物を育てるための知識は豊富だと思う。

 現代知識を使った畑と従来の畑。

 

 そこに『ガマぐちポシェットくん』を使って三十六個のジャガイモを用意して植えてある。

 

「育ちましたね」


「剣聖様のおかげで、よう育っております」


 ガイルさんが、まるで我が子を見るかのような視線で育ったジャガイモを見ていた。

 青々とした葉がよく生えている畑と、細く伸び葉の数も少ない畑。


「ここまで差が出ますか……」


「本当に……こんなに違いがあるものかと驚きました。

 今年の畑の準備には間に合わないでしょうが、来年には他の作物でも良い知らせが出来るかと思います。

 それに、今の畑で育てても十分に育つ事も分かりましたので人手が足りない地域でも広まると思います」


 外の畑は広い、肥料になる材料を集めるだけでも随分と時間が掛かるだろうし、畑にまく時期もあるだろう。


 そっちは専門家に任せるとして、私はこっちを進める。


「あとはこの葉っぱが黄色くなるまで育てて、根元を掘ればジャガイモが育っている筈です」


「わずか四ヶ月程ですか」


「そうです。生育が早く痩せた土地でも育ち易くて、それに年に二回育てる事も可能です」


「それは――多くの者が助かります」


「注意する点は――」


「同じ畑で連作しない! 日に当たって緑になったイモは食べない! 芽が出たイモも食べない! ですね」


 私が何度も注意して教えた事をサラッと復唱してくれる。


 作物とお花が大好きで、王妃様もお気に入りの庭師さん。

 こう見えて王都の外では一番の畑を持つ地主さんで、今は息子さん達が後を継いでくれているけれど、この王城の庭師の仕事は「儂の生きがいですので」と言って誰にも譲らない頑固なおじいちゃん。


「時々、マーブル料理長さんも畑を見に来られるのですよ。剣聖様が育ててる作物だからと心配なさっているようです」


「いやいや、あのおじさんは単にジャガイモが食べたいだけだと思いますよー」


「そうかも知れませんな「あははははは!」」


 病院でも、こんな風にご年配のおじいちゃんおばあちゃんと何気ない話しをしたなーと思い出していた。


「なに楽しそうに話してるんだー?」


「あっ、料理長!?」


 突然会話の主が現れて挙動が変になってしまう。


「マーブル料理長が、畑の心配をしてよく見に来てくれてます、と剣聖様にお伝えしていた所ですよ」


「なっ!? それは――」


 今度はマーブル料理長が赤くなる。


「ありがとうございます。料理長!」


「ジャガイモが出来たら、またアレを食べさせてくれるんだろう? カレー」


 誤魔化す為か、態とらしい咳払いをして話題を変えてくる料理長。


「そうですね、今度はルーもたくさん用意して皆さんに食べて貰えるようにしましょうね!」


「アレが食べられるなら、ワシは芋の皮剥きでも何でもするぞ!」


 心地よい時間が流れる。


「あっ! 米を探すのもお願いしますね」


 私は、前回泣く泣く諦めたご飯という夢が諦め切れず、料理長さんにお願いして米を探して貰っている。

 ガイルさんも知人に尋ねてくれているそうだけれど、この辺では見つからないみたい。


 でも、お米は諦めないよ。


 そして、晩餐会では皆をあっと言わせる予定です。



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