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思わぬ助け

一体何が起こっているのだろう。

ぼんやりとした頭でそう考える。護衛の依頼を受けて来たら全員紫の不気味な組織に襲われて、自分を庇って春が倒れたと思ったら今度は何故かあの不思議な少女が現れた。しかも相馬は彼女だけでなくあの不思議な少年までも知っているらしい。自分が彼女に助けられたということは相馬たちの味方ではなさそうだが、どういう関係なのだろうか。


「そろそろ来ると思っていました。だってわざわざあなたのためにこの会合の情報を漏らしたんですから」


とても楽しそうに笑いながら相馬が立ち上がる。そして両腕を広げて演説をしているかのように話し始めた。


「あなた〝たち〟は本当に魅力的で興味深い。是非とも実験体になってほしいとあの方もおっしゃっておられるのですよ」


「…きっも」


少女は顔を歪めながら一言だけ吐き捨てた。心の底から相馬が嫌いと表しているようだ。それにしても相馬が言う“あの方”とは彼らのボスなのだろうか。実験体という言葉からいかにもやばい事をやっている雰囲気が出ている。現実逃避のようにそう考えていると、半透明のあの少年がふわふわと漂ってきた。そして春の傷の様子を見るとそっと手をかざした。


「傷が消えてる…!?」


少年が手を戻すと、春の傷は綺麗に消えていた。もちろん服は破れたままだが、傷跡もなく元から怪我なんてしていないかのようだ。荒かった息も落ち着いていて、ただ眠っているだけのように見える。少年はにこりと笑うと、少女のもとに戻っていった。

その様子を見ていた相馬が不思議そうに問う。


「彼らはあなた方とどういったご関係で?怪我を治してあげるだなんて、優しいじゃないですか」


『ここで死なせるにはもったいないからね。それに、敵の敵は味方っていう言葉があるだろう?』


少年が微笑みながら答えた。そして次の瞬間、周囲に待機していた紫の集団が一斉に崩れ落ちた。全員が何かによって苦しみ悶えている。これは少女がやったのか、それとも少年がやったのか。もし少年だとしたら、微笑んだまま人を死に追いやろうとしている彼はだいぶやばいのではないか。春を助けてくれた彼にこんな事を思いたくはないが、彼は少女よりも得体のしれない何かがあるように思える。次々と動かなくなる紫の集団を呆れたように見た相馬は、


「やれやれ、まったく役立たずですね。あなた方とこのまま戦うのは分が悪いので今日は引き下がってあげましょうか。」


と言って指をパチンと鳴らす。すると彼も紫の集団も一瞬にして消え去った。


「え?消えた…?」


急過ぎる展開について行けない。彼らは何者なのだろうか、そして少女たちとどういう関係なのか。尋ねようとするとそこにはもう少女たちはいなかった。いつの間に消えたんだ。分からないことが多すぎて頭が痛い。


「…冬希。俺はもう何が何だか分からない」


「…同じく」


日頃から鍛えている春の体をひょろひょろな凛音と華奢な冬希が背負って帰れる訳もなく、3人はそのまま近くのビジネスホテルに泊まることにした。

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