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ep.9 能力解放

ザラゴスは魔族の力を手に入れた翔にじっと目を向け、言葉を発した。


「お前はもう、ただの人間ではない。」

ザラゴスの声は低く、厳かでありながらもどこか温かみを含んでいた。


「その証として、私はお前に名前を与えよう。」

翔はその言葉に驚き、顔を上げた。


名前という言葉に、何か重大な意味が込められているのだろうと感じたからだ。

ザラゴスが名前を与えるということは、魔族としての新しい存在を象徴する行為だと、直感的に理解した。


「名前は、お前の力を象徴するものであり、潜在的な力を呼び覚ますことができる。」

ザラゴスはゆっくりと言いながら、翔に向かって歩み寄った。


「魔族にとって、名前は単なる呼び名ではない。名前には、その者の宿命が込められている。」

翔はしばらく黙ってその言葉を受け止め、そしてようやく口を開いた。


「俺に、名前を…?」


ザラゴスは頷くと、短く静かな間を置いてから、翔に新たな名前を告げた。


「お前の名前は『エルノス』だ。」

ザラゴスの声は力強く、確かな響きがあった。


「この名前には、『信念』という意味が込められている。お前がこれから進むべき道を示すため、私はこの名を選んだ。」


「エルノス…」翔はその名前を口にしてみた。

その響きは、何か重みを感じさせ、確かに何かを背負ったような感覚があった。

それは恐れや不安のようなものではなく、むしろ新しい力が湧き上がるような感覚だった。


「エルノス、覚えておけ。」ザラゴスは続けた。


「お前の名前は、これからの力の源となる。名は力を呼び起こすものだからな。」


その言葉を聞いた瞬間、翔の体に変化が訪れた。

胸のあたりが熱く感じ、体の隅々に不思議な力が宿ったような感覚が広がっていく。


魔族の力が、名前を与えられたことによって強化されたのだ。

翔はその感覚に驚きながらも、心の中で次第にそれを受け入れていった。


「力が…増していく。」翔は小さくつぶやいた。


その言葉通り、彼の体は一瞬で充実感に包まれ、何かが目覚めたように感じた。

体力や反応速度が向上し、感覚が鋭くなる。


それだけでなく、心の中にも新たな決意が湧き上がるようだった。


「そうだ。」ザラゴスはその変化を静かに見守っていた。


「お前の基礎能力は、名が与えられたことで一気に上昇した。だが、これからの修行でその力を完全に制御し、使いこなせるようになることが必要だ。」


翔はその言葉にしっかりと頷いた。


彼の体に宿った新たな力を感じつつ、その力を使いこなせるようになるために、これから何が必要なのかを考えた。


「これから何をすれば?」翔はザラゴスに尋ねた。


ザラゴスは少し考えた後、ゆっくりと答えた。


「まずは、お前の感覚を鋭くし、魔力を自在に操る訓練を積むことが最優先だ。そのためには、まず自分の体の中に流れる魔力を感じ取ることから始めなければならない。」


翔はその言葉を胸に刻み込んだ。


自分の中に宿った力をどれだけ早く感じ取り、それをどう使いこなしていくのか。

それが、魔族としての生き方を決定づける重要な課題となるだろう。


「それから、魔族の本質を学ぶことが重要だ。」ザラゴスは続けた。


「魔族には様々な種族や能力がある。お前がどのような魔族になるのか、それはお前自身の成長と選択次第だ。」


翔はその言葉に静かに頷き、さらに意識を集中した。


新しい名前を与えられたことで、彼はただの追放者から、魔族エルノスとして生きる道を歩み始めたのだ。

そして、魔族としての力を完全に手に入れるためには、まだ数多くの試練が待ち受けていることを彼は理解していた。


ザラゴスは冷静に言った。

「油断するな。お前の力を試す者はすぐに現れる。それに対抗できるよう、今から準備を始めるんだ。」


翔は再び深呼吸し、自分の力を信じて前に進む決意を固めた。

エルノスという名前が意味する「信念」として、彼はこれから試練を乗り越え、力を磨き、最終的には自分の運命を切り開くことを決意した。


エルノスとしての新たな道が始まった。

彼はこれから、魔族としての力を磨き、修行を積んでいかなければならなかった。


ザラゴスの言葉はそのすべての基盤となり、エルノスはその重みをしっかりと受け止めていた。


「まずは、魔力を感じ取ることから始めろ。」ザラゴスはエルノスに言った。


彼の目には冷徹さとともに、どこか親のような温かさも感じられた。


「魔族として、最も重要なのは魔力の使い方だ。お前は今、名を与えられたばかりだが、名には力が宿る。だが、その力を引き出すためには、魔力を感じ、理解しなければならない。」


エルノスは言われた通り、まずは自分の体に流れる感覚に集中した。

最初は全く何も感じなかったが、次第に心を落ち着け、内側に意識を集中させると、体の中に微かな波動があることに気づいた。


それはまるで静かな湖のように、じわりじわりと広がっていく感覚だった。


「それだ。」ザラゴスの声が響く。


「その感覚を研ぎ澄ませ、もっと強く感じろ。魔族の力は、無限ではない。だが、使い方次第ではどんな魔法にも匹敵する。」


エルノスは必死にその波動に意識を集中させ、より強く感じようとした。


体の中の魔力が少しずつ形を成していくのを感じる。

彼はそれを引き出す方法がわからなかったが、その感覚だけは確かに存在していた。


次第に、その波動は体全体を包み込むようになり、エルノスはそれを操ることができるようになり始めた。


「いいぞ。」


ザラゴスの声には、ほんの少しの満足感が含まれていた。


「その感覚を忘れるな。次は、魔力を意識的に操作する方法を覚えなければならない。」


エルノスは一度深呼吸をし、心を落ち着けてから再び自分の魔力を操ろうとした。


彼の手のひらに小さな魔力の塊を集めようとするが、最初は何も起こらなかった。

失敗したと感じた瞬間、再びザラゴスの声が響いた。


「お前の魔力は未熟だ。焦るな。」ザラゴスは冷静に言った。


「魔力は急には制御できない。少しずつ少しずつ、使い方を覚えていくんだ。今はその基礎を固めることが最優先だ。」


エルノスは再び手のひらに集中し、魔力の塊を作ろうと試みた。

今度は少しだけうまくいった。手のひらに微かな光が集まり、その光が少しずつ形を成していく。


彼はその光の感覚を手のひらから感じ取り、次第にそれをより強く、より明確に形作ることができるようになってきた。


「その調子だ。」ザラゴスはその様子を見守っていた。


「お前の感覚はかなり鋭くなってきている。しかし、魔力の使い方にはコツがいる。それに、力を使い過ぎれば体に負担がかかる。注意しろ。」


エルノスはその言葉を胸に刻みながら、さらに魔力を引き出す練習を続けた。

最初のうちは難しく、体力を消耗し、疲れも感じたが、次第にその感覚が心地よくなり、力が漲ってくるのを感じ始めた。


力を引き出すことができるようになったとき、エルノスは思わず顔を上げ、微かな笑みを浮かべた。


「やった…」エルノスはつぶやいた。


その時、ザラゴスが彼に向かって言った。


「お前は思った以上に覚えがいい。しかし、まだまだだ。お前の力を引き出せるようになっただけでなく、それをどう使いこなすかが問題だ。名が力を宿すと言ったが、その力を使うことで、お前の存在をより強く、確かなものにするのだ。」


エルノスはザラゴスの言葉を深く受け止め、これからの修行に対する覚悟を新たにした。

魔族としての力を完全に使いこなすためには、まだ多くの努力と訓練が必要だが、彼はその先にある未来を見据え、着実にその道を進む決意を固めた。


「お前の意気込みは感じる。だが、強さを求めるのはいいが、慢心するな。魔族としての力を使いこなすためには、知恵と冷徹さが必要だ。決して油断してはならない。」


エルノスはその言葉にしっかりと頷き、再び手のひらを見つめた。

新たに宿った力をどれだけ使いこなせるか、それがこれからの試練。


しかし、彼はその力を無駄にするつもりはなかった。

そして、ザラゴスの教えを受けながら、少しずつ魔族としての道を歩んでいく覚悟を決めた。


エルノスは日々の修行を続け、次第にその力を使いこなす感覚を掴み始めていた。

ザラゴスの指導の下、彼の魔力のコントロールは着実に向上していった。


最初は小さな魔力の塊を作り出すことすら難しかったが、今ではその魔力を自在に操り、時には雷のような衝撃を放つこともできるようになっていた。


だが、修行を重ねる中でエルノスは、魔族としての力だけではなく、魔族の世界で生き抜くための知恵も必要だと痛感し始めていた。


ザラゴスは彼に戦闘訓練を施し、魔族の文化や歴史、さらには他の種族との関係性についても教えてくれた。魔族はその力強さだけでなく、巧妙さや冷徹さを持つ種族であり、無駄な戦闘は避けるべきだという教訓を学び取った。

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