表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/40

ep.33 咆哮

祭壇の崩壊と共に、空に不気味な黒い雲が集まり始めた。

それはまるで封印された力が新たな形で解き放たれようとしているかのようだった。


「これが封印の崩壊の代償か…!」リヴィアンが呟く。


ヴァルノスは剣を収め、険しい表情で空を見上げた。

「儀式を阻止するには急がなければならない。だが、この異変が何を意味するのかも調べる必要がある。」


一行はさらなる覚悟を胸に、人間界での決戦に向けて動き出した。

しかし、その道のりには、予想以上の困難と犠牲が待ち受けていることを、まだ誰も知らなかった…。


守護者の撃破と祭壇の崩壊により、一行はその地を後にした。

ヴァルノスたちは急ぎ魔界の拠点へ戻り、ザラゴスへの報告を済ませることにした。


しかし、帰還の道中で空の黒雲はますます広がり、不穏な気配が魔界全域を包み込んでいく。


「これ以上、時間はない。」ヴァルノスが険しい顔で呟く。


リヴィアンが同調する。

「この黒雲は封印が崩壊した影響だろうけど、何かが目覚めようとしている…それが儀式とどう関係するのかを探る必要がある。」


エリスも口を開いた。

「魔界の異変にも対処しなきゃならないってことね。」


帰還すると、ザラゴスは既に彼らを待っていた。

高位の魔族たちが集まる玉座の間は異様な緊張感に包まれ、ザラゴスの冷たい視線が一行を迎えた。


「よくやった。」ザラゴスの低い声が響いた。


「祭壇の守護者を倒し、封印を崩壊させたことで、計画は大幅に遅れるはずだ。」

ヴァルノスは簡潔に報告した。


「しかし、封印の崩壊が引き起こした異変がある。魔界全体に広がる黒雲と気配が、それを物語っています。」


ザラゴスは一瞬考え込み、次の命令を下した。

「黒雲は封印の力が世界に影響を及ぼしているか…。よし、お前たちは即刻、人間界に向かい、儀式が行われる場所を制圧せよ。」


リヴィアンが尋ねた。

「儀式の場所に目星はついていますか?」


ザラゴスは頷き、手を振った。

空間に地図が浮かび上がり、その中心に赤い印が灯る。


「人間界の中央部に位置する大聖堂だ。かつて神の恩寵を受けた地だが、今や闇の力に染まっている。そこが儀式の中心地である可能性が高い。」


「しかし注意しろ。」ザラゴスの目が鋭くなる。


「封印が崩壊したことで、儀式を行う者たちは新たな力を得る可能性がある。そしてもう一つ、黒雲の中から何者かが目覚めようとしている。」


「目覚める…とは?」エリスが困惑した表情を浮かべた。


ザラゴスは重々しく告げる。

「封印された力そのものだ。私たち魔族ですら完全には理解していないが、それは世界を根底から揺るがす存在だ。もし儀式の力と融合すれば、すべてが終わる。」


ヴァルノスは拳を握り締めた。

「どちらも阻止する。黒雲の異変も、儀式も、全てを止めてみせる。」


ザラゴスは微かに笑みを浮かべた。

「よかろう。お前たちにはその力があるはずだ。だが、準備を怠るな。人間界には既に強力な守護者が配置されているだろう。」


準備を整えた一行は、魔界のゲートを通じて人間界へ向かった。

ゲートを抜けた先は、異様な雰囲気に包まれた森だった。


森の中には瘴気が漂い、動物や植物までもが禍々しい姿に変わっていた。


「これが儀式の影響か…。」

リヴィアンが周囲を警戒しながら言った。


「ここを抜けて大聖堂に向かうぞ。」

ヴァルノスが進行方向を指し示した。


しかし、一行が歩を進めようとしたその時、突然森の奥から低い唸り声が響き渡った。

瘴気の中から現れたのは、巨大な獣のような姿をした存在だった。


全身を黒い炎に包まれ、その瞳には憎悪の光が宿っている。


「どうやら歓迎されているようだな。」

グラーデが斧を構えながら言った。


ヴァルノスが剣を抜き、戦闘態勢に入る。

「こいつを倒して進むしかない!」


獣は咆哮を上げると同時に、黒い炎を放ち、一行を包み込もうとした。

リヴィアンが防御の魔法を発動し、炎を弾くが、その力は尋常ではなかった。


「この炎、普通の魔力じゃない!」

リヴィアンが警告する。


「そんなことは関係ない!」

ヴァルノスが突進し、獣の胸を目掛けて剣を振り下ろした。


しかし、その剣撃ですら獣の黒炎を完全には貫けず、弾かれてしまう。


「厄介ね…」エリスが弓を引き、矢を放つ。


その矢は魔力を込められており、獣の片目をかすめることに成功した。


獣が怯んだ隙に、グラーデが突撃。

「今だ、決めるぞ!」


ヴァルノスは仲間たちの連携を見て微笑みながら、剣を構え直した。

「これで終わりだ!」


全員の力を合わせた一撃が獣を貫き、黒炎の獣は地面に崩れ落ちた。

しかし、その直後、一行は遠くから新たな咆哮を聞いた。


それは獣のものとは異なり、より深く、恐怖を感じさせるものだった。


「これは…儀式が始まろうとしている合図だ。」リヴィアンが静かに呟いた。


「急ごう。」ヴァルノスが一行を促し、森の奥へと歩を進めた。


儀式を阻止するための決戦の幕が、今まさに開けようとしていた。


黒炎の獣を退けた一行は、瘴気に覆われた森を抜け、ついに大聖堂の前へと到達した。

その建物はかつて神聖な祈りが捧げられていた場所とは思えないほど、闇の力に染まりきっていた。


大聖堂を覆う暗黒の結界が、周囲を拒絶しようとする圧力を放っている。


「間違いない、この場所だ。」


リヴィアンが結界を分析しながら言った。

「儀式の中心はここにある。」


「でも、結界をどうやって破るの?」エリスが問いかけた。


ヴァルノスが剣を握りしめた。

「俺たちの力を合わせれば、突破できるはずだ。」


グラーデが笑みを浮かべた。

「よし、力技なら任せろ!」


一行はそれぞれの力を集中させ、結界に一撃を放つ準備を整えた。

リヴィアンが結界を弱める魔法を唱え、エリスが矢に込めた魔力を放つ。


その隙をついて、グラーデとヴァルノスが力を合わせて斬撃を繰り出した。

結界はひび割れ、やがて破裂するように崩壊した。


大聖堂の内部が姿を現し、そこから強烈な闇のエネルギーが噴き出してきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ