ep.32 攻略
ヴァルノスたちは新たな仲間リヴィアンと共に、聖光の祭壇へ向かう道を進んでいた。
祭壇の位置は光と闇の力が交錯する場所にあり、空間そのものが不安定で奇妙な感覚を覚えさせる。
「この道、ただの一本道じゃないみたいだな。」
グラーデが険しい顔で周囲を見回した。空気は重く、視界も歪んでいる。
リヴィアンは道を観察しながら答える。
「これは祭壇を守る結界だ。単純に歩いているように見えて、実際には異空間を通過している。この結界を超えるには、特定の魔力の波動を感じ取り、それに従う必要がある。」
「じゃあ、あなたが案内役ってことね。」
エリスは冷静に言ったが、その目はリヴィアンを疑いの目で見ていた。
リヴィアンは頷きつつ、軽く笑った。
「そのためにここにいる。祭壇の結界は私の一族に伝わる秘術がなければ越えられない。」
ヴァルノスは剣を握りしめながら、リヴィアンに目をやった。
「お前を信じているわけじゃない。だが、今は協力する。」
リヴィアンはその言葉に小さく頷いた。
「それでいいさ。」
一行が結界の中を進むうち、突然、辺りに黒い霧が漂い始めた。
「これ…敵の気配だ!」ヴァルノスがすぐに剣を構える。
黒い霧から現れたのは、闇に包まれた影の兵士たちだった。
その姿は人間にも魔族にも似ておらず、不気味な歪みを持っていた。
「これは…儀式の力が作り出した守護者だ!」
リヴィアンが叫ぶ。
「奴らは結界を超える侵入者を排除するために生まれた存在だ!」
グラーデが斧を振りかざし、一気に影の兵士たちに突っ込んでいく。
「なら、ぶっ倒すだけだ!」
しかし、影の兵士たちは簡単には倒れなかった。
斧が振り下ろされるたびに、その体は霧のように分散し、再び形を成す。
「再生してる…!」エリスが呆然とする。
「彼らを倒すには中心部の魔力核を破壊しないといけない!」リヴィアンが説明する。
「ただの物理攻撃では意味がない!」
ヴァルノスは冷静に周囲を観察し、剣を闇の兵士の胸に突き刺した。
しかし、その感触はまるで空を切ったようで、兵士は再び形を成した。
「どこが核なんだ!?」グラーデが叫ぶ。
リヴィアンは目を閉じ、魔力を集中させた。
「中央の霧の中心に何かが…そこが核だ!私が道を切り開く!」
彼は手のひらを掲げ、青白い魔法陣を展開した。
すると、霧の一部が裂け、核のような赤い光が現れた。
「そこだ!」エリスが叫ぶと同時に、ヴァルノスは一気にその光に向かって突進した。
ヴァルノスの剣が赤い核を貫いた瞬間、霧が一気に晴れ、影の兵士たちは消滅した。
しかし、戦いの疲労は明らかで、グラーデは肩で息をしていた。
「思ったより厄介だったな…」グラーデが息をつきながら言う。
「でも、これで進めるはず。」エリスが微笑みながら答える。
リヴィアンは静かに頷いた。
「儀式の中心地に近づくほど、こういった障害が増えるだろう。私たちの連携が試される。」
ヴァルノスは剣を収め、リヴィアンをじっと見た。
「お前がいなければ、ここを越えるのは不可能だったかもしれない。だが、油断はするな。」
リヴィアンは微笑を浮かべた。
「安心してくれ。私は裏切る気はない。」
影の守護者を倒し、一行は再び聖光の祭壇を目指して進み始めた。
しかし、彼らの背後には、どこか不吉な気配が漂っていた。
それは、儀式の真相に近づくほどに、彼らが直面する新たな試練を予感させるものであった。
「ここを越えれば、いよいよ祭壇だ。」ヴァルノスが呟く。
しかし、彼の胸には、リヴィアンへの不安と儀式に隠されたさらなる謎が渦巻いていた…。
ヴァルノスたちは影の守護者を退け、ついに聖光の祭壇があるとされる地へとたどり着いた。
その場所は異様な静けさに包まれ、空気は重く、まるで何かに見張られているような感覚を覚えた。
祭壇は、巨大な光の柱に囲まれた広場の中央に位置していた。
その光は明るいはずなのに、どこか冷たく、不気味な雰囲気を醸し出している。
「これが聖光の祭壇…か。」グラーデが低い声で呟いた。
エリスは慎重に周囲を見回しながら答えた。
「何かがおかしい。ただの祭壇じゃない…気をつけて。」
リヴィアンは目を閉じ、魔力の流れを感じ取ろうとした。
「…祭壇の下に何かが眠っている。この場所自体が、封印を守る役割を果たしているのかもしれない。」
ヴァルノスは剣を握り直し、一行を見回した。
「ここで儀式が行われるのか?」
リヴィアンは頷きながら答えた。
「そうだ。そしてその封印を解けば、この地に眠る膨大な力が解放される。恐らく、それを利用して闇の儀式を完成させるつもりだ。」
次の瞬間、祭壇の光が揺らめき、周囲の空間が不安定に歪み始めた。
地面が震え、低い轟音が辺りに響き渡る。
「来るぞ!」ヴァルノスが叫んだ。
祭壇の中心から現れたのは、巨大な鎧に身を包んだ人型の存在だった。
その姿はまるでかつての英雄が亡霊となり、守護者として甦ったかのようだ。
鎧の隙間からは純白の光が漏れ出しており、その目には冷徹な輝きが宿っていた。
「これが…祭壇の守護者か。」エリスが息を呑む。
リヴィアンはその姿を見て言った。
「これはただの守護者じゃない。この地に封印された力そのものが具現化した存在だ。」
巨大な守護者は無言でヴァルノスたちを見下ろし、剣を振り上げた。
その動きは重厚でありながら、驚くほど速い。
ヴァルノスが咄嗟に盾で防御するが、その一撃は圧倒的で、彼の体が地面に叩きつけられた。
「くそっ…強すぎる!」
グラーデが斧を振り上げて突進するが、守護者の光の剣が一閃し、彼の攻撃は弾かれた。
「このままじゃ勝てない!」エリスが叫ぶ。
リヴィアンは冷静に指示を出した。
「この守護者の力の源は祭壇そのものだ!祭壇のエネルギーを断ち切らないと、奴は無敵だ!」
ヴァルノスは立ち上がり、剣を構え直した。
「なら、時間を稼ぐ。お前たちは祭壇を破壊する方法を探せ!」
グラーデとエリスが頷き、それぞれ別の方向へ走り出す。
一方、ヴァルノスは守護者の注意を引き付けるため、全力で攻撃を仕掛けた。
「この程度で俺を倒せると思うな!」ヴァルノスの叫びが響く。
守護者の剣とヴァルノスの剣が交錯し、激しい火花を散らす。
守護者の力は圧倒的だが、ヴァルノスはその重い一撃を受け流しながら、必死に耐え続けた。
その間にエリスは祭壇の周囲を調べていた。
「この光の柱…これが守護者にエネルギーを送っているのね!」
リヴィアンが彼女に近づき、指示を出す。
「柱を破壊するには、魔力を逆流させる必要がある。私がその手助けをする!」
エリスとリヴィアンは協力して魔法陣を描き始めた。
グラーデも合流し、斧を振り上げて柱を攻撃するタイミングを狙う。
ついに柱の一つが崩壊すると、守護者の動きが一瞬鈍った。
「今だ!全力で攻撃を仕掛けるんだ!」リヴィアンが叫ぶ。
ヴァルノスは最後の力を振り絞り、守護者に突進した。
「これで終わりだ!」
剣が守護者の胸部を貫くと、光が激しく揺らめき、守護者の体が徐々に崩れていった。
同時に、祭壇全体が崩壊し始める。
「急いでここを離れるわよ!」
エリスが叫び、一行は急いでその場を離れた。




