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ep.29 契約書

三人は激しい戦いの末にようやく勝利を収めたが、体には深い疲労が残っていた。

しかし、その疲れの中にも、仲間とともに困難を乗り越えた達成感があった。


ヴァルノスは剣を鞘に収め、静かに言った。


「これで、儀式を止めるための最後の壁は超えたはずだ。あとは、儀式の場へと向かうだけだ。」


エリスとグラーデもそれに頷き、気を引き締めた。


「この先には、さらに強大な敵が待ち構えているかもしれない。でも、私たちなら…きっと乗り越えられるはず。」


三人は互いの健闘を称え合い、再び歩き出した。


彼らの前に待ち受ける人間界での儀式阻止という最後の使命に向けて、心を一つにしたのだった。


三人は深い疲労を感じながらも、その一歩一歩に強い決意を込めて歩き出した。

ザラゴスのもとに戻り、全ての守人を打ち破ったことを報告するためである。


彼らがザラゴスのもとに到着したとき、その広間にはすでに暗雲が垂れ込めるような緊張感が漂っていた。


ザラゴスは玉座に腰を下ろし、三人の帰還を見届けると、重々しい声で迎えた。


「よくぞ戻った。我が配下たちよ、守護神を倒し、最も困難な試練を乗り越えたことを称賛する。」


ヴァルノスが一歩前に出て、軽く頭を下げる。

「ザラゴス、全ての守人を打ち破り、儀式を阻止するための道を切り開らいた。しかし、その道のりで感じた不安は消え去ることはない。儀式は、俺たちの想像を超えた力で守られているかもしれない。」


ザラゴスは深い沈黙の後、ゆっくりと口を開いた。


「お前たちが挑む儀式は、ただの儀式ではない。その中心にいる者は、長年この世界に混沌をもたらそうと暗躍してきた存在であり、その者が操る魔力は、我ら魔族でさえも容易には対抗できないほど強大なものだ。」


エリスは不安げに眉をひそめた。

「それほどの存在がいるということは…何か、別の力や策を講じなければ、ただ挑むだけでは危険なんじゃ…」


ザラゴスはゆっくりと立ち上がり、三人に近づいた。

そして、彼の目に暗い光が宿る。


「実は、ここに封じられている『古き魔族の契約書』を解放し、その力をお前たちに授けることを考えていた。しかし、この力には大きな代償が伴う…すなわち、魔力の暴走を引き起こし、我を忘れる可能性がある。」


グラーデはその言葉に目を見開き、緊張した面持ちでザラゴスを見つめた。


「それでも、その力が儀式を阻止するために必要であるなら、私たちは覚悟を決めなければなりません。」


ザラゴスは三人の決意を確かめるように見つめ、その目にはどこか憂いの色が浮かんでいた。


「お前たちの覚悟は見届けた。この力を授けることで、私自身もまた多くを失うかもしれないが、世界の混沌を防ぐためには選択の余地はない。」


ザラゴスは重厚な扉の向こうにある奥の部屋へと三人を案内した。

そこには古びた石台があり、その上に一冊の黒い書が横たわっていた。


書の表面には不気味な光が宿り、まるで意志を持つかのように微かな脈動を感じさせていた。


ザラゴスは慎重に手をかざし、暗唱しながら契約書を開いた。


「汝ら三人、ここに古き契約を交わすことで、力を授けよう。その代わり、我が一族に誓いを立てよ。その力が過ちに使われることなきように。」


ヴァルノス、エリス、グラーデはそれぞれ決意を胸に誓いの言葉を口にし、契約を交わした。


すると、契約書から黒い光が解き放たれ、三人の体に吸い込まれていった。

光が彼らの体内を巡り、まるで新たな魔力が染み込むように力が増していくのを感じた。


エリスが微かに息を飲み、拳を握りしめた。

「…これが、古き魔族の力…」


ヴァルノスも自分の中で沸き上がる新たな力に驚きつつ、強く頷いた。

「これなら、儀式を阻止するための切り札になるはずだ。」


グラーデもその力を確かめるように深く息を吐いた。

「我々が使命を果たすためには、この力が不可欠だと…よく分かった。」


ザラゴスは三人の様子を確認しながら、満足げに微笑んだ。


「今のお前たちならば、儀式の場へと向かい、混沌の扉を閉じることができるだろう。ただし…その力は強大であるがゆえ、制御を誤れば自らを滅ぼすことになる。決して過信せず、慎重に使え。」


三人は一層の決意を胸に、ザラゴスに深く礼をした。


そして、人間界の儀式を阻止するための旅立ちに向けて準備を整えるため、一旦広間を後にした。


準備を終えた三人がザラゴスの城を出ようとしたその時、遠方から黒煙が上がり、爆発音が響き渡った。


三人は驚き、周囲を見渡した。


「…なんだ?この方向は…儀式の場か?」

ヴァルノスが険しい顔で言った。


エリスも険しい表情で頷き

「儀式が何らかの形で動き出したのかもしれない。急いで確認しに行きましょう。」


彼らが駆け出そうとした瞬間、空間が歪み、黒い影が彼らの前に現れた。

それは、守護者たちをさらに強化したような精鋭の部隊であり、その先頭には新たなリーダー格の男が立っていた。


「俺たちが来ることを予期していた…?」

グラーデが息を呑む。


新たなリーダー格の男は冷酷な笑みを浮かべ

「我々はお前たちがここへ来るのを待っていた。ザラゴスの配下よ、ここで討ち取ることで、儀式は完成に近づく…」


その言葉に、三人の目には再び緊張が走った。

今までとは異なる強敵の登場により、彼らは新たな試練に直面することとなった。


「私たちの力が試される時が来たようだな。」

ヴァルノスが冷静に構えを取り、三人は再び決死の覚悟で闘いの構えを見せた。


彼らの行く手には、想像を超えた敵と儀式阻止のための最後の戦いが待ち受けているのだった。

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