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ep.26 禁忌の地

「さあ、報告に戻ろう。」

三人は迷宮を後にしてザラゴスのもとへ帰還するため、歩き出した。


三人が戻ると、ザラゴスは冷ややかな眼差しを向け、彼らの報告を待っているかのように微笑を浮かべていた。


「すべての守護神を倒し封印に成功しました。」

ヴァルノスが報告した。エリスとグラーデも共に膝をつき、任務完了の証としてそれぞれの武器を差し出した。


「よくやった、お前たち。これで古代の遺跡に封じられていた守護の力がすべて解放された。」

ザラゴスはゆっくりと頷き、静かに口を開いた。


「次は、例の儀式の阻止に向かうのでしょうか?」エリスが訪ねた。


ザラゴスは一瞬沈黙した後、鋭い視線をヴァルノスに向けた。


「そうだ、次は儀式の阻止だ。しかし、その前に…」

と、ザラゴスの声がいつになく重苦しいものへと変わった。


「予想外の問題が発生した。転移魔方陣の次元に裂け目に何者かが干渉しているようだ。」

ヴァルノスと仲間たちは顔を見合わせ、驚愕の表情を浮かべた。


「干渉ですか? それほどの力を持つ者が…」と、エリスが眉をひそめて尋ねた。


ザラゴスは静かに頷き、続けた。


「そうだ。どうやら我らの動きを察知している者がいるようだ。それも並大抵の術者ではない。その力は極めて強大であり、我が手でさえ容易に破壊することはできない。」


ヴァルノスはその言葉に焦りを感じた。このままでは、儀式を阻止するどころか…


「では、どうすれば?」グラーデが問いかける。


ザラゴスは少しの間考え込み、やがて答えた。


「『虚無の書』と呼ばれる古代の魔道書が必要だ。その書には、術者の封印を解く術が秘められていると伝えられている。だが…その書は、魔界のさらに奥深く、禁忌の地に封印されている」


禁忌の地――それは魔族の中でも誰もが恐れる、危険に満ちた場所だった。

虚無の書を守るための数多くの罠や異形の魔獣が棲みつき、たとえ魔族であっても生きて帰れる者は限られていると噂されていた。


「禁忌の地…!」エリスが小さく息を呑む。


「お前たちならば、その地を突破し、虚無の書を手にすることができるかもしれぬ。だが、覚悟はしておけ。あの場所は、これまで経験してきた試練をはるかに超える危険が待ち受けている。」


ヴァルノスは深く頷き、目に決意を宿らせた。


「わかりました。必ず虚無の書を手に入れ帰ってくる。」


ザラゴスは満足げに微笑み、彼らを見送るように手を振った。


「必ずや虚無の書を手に入れここに戻るがよい。お前たちが成し遂げるべき使命は、まだ終わってはおらぬ。」


こうして、ヴァルノスたちは次なる任務に向けて準備を整え、禁忌の地へと足を踏み入れる覚悟を固めた。


ザラゴスから次の使命を託されたヴァルノス、エリス、そしてグラーデは、魔界の奥深くに位置する「禁忌の地」へと向かうこととなった。


虚無の書は、古代の知識と魔力が封印された書であり、最も危険な場所に隠されている。

だが、彼らはザラゴスの信頼を受け、儀式を阻止するためにもその書を手に入れる覚悟を固めた。


禁忌の地へと向かう道中、周囲の空気が次第に重くなり、暗闇が深まるのを三人は感じ取った。


道は岩や荒れ果てた土地で覆われており、魔力の流れが歪んでいるような不安定な場所だ。

その異様な雰囲気が、三人の精神をもじわじわと圧迫してくる。


「ここは普通の魔族であっても近寄りたがらない場所だって噂だよね…」

エリスがかすかな不安を口にする。


「恐れるな、エリス。俺たちにはザラゴスから受けた力がある。それに、俺たちがここを乗り越えない限り、儀式を止めることはできない」

ヴァルノスはその言葉に力を込め、仲間を鼓舞した。


しばらく進むと、遠くに巨大な門が見えてきた。

その門は漆黒の石で作られており、奇妙な紋様が刻まれている。


門の周囲には霧が立ち込め、異様なほど静寂が支配していた。

グラーデはその門を見つめ、静かに言葉を発した。


「これが禁忌の地への入り口か…なんという不吉な気配だ」


門をくぐると、空間が歪んだような感覚に襲われ、一瞬の眩暈が彼らを襲った。

しかしすぐに視界が安定し、彼らは禁忌の地の内部に足を踏み入れた。


禁忌の地は異次元のような空間で、周囲には見たこともない生物や魔獣がうごめいていた。


足元からは黒い靄が立ち昇り、耳元には低いうなり声が響く。

三人は息を詰め、周囲を警戒しながら歩を進めた。


最初に現れたのは、巨大な甲殻を持つ魔獣だった。

その姿は岩のように硬そうで、目には赤い光が宿っている。


魔獣は三人を見つけるや否や、鋭い牙を剥き出しにして襲いかかってきた。


ヴァルノスは素早く剣を抜き、魔獣の攻撃をかわしながら反撃の機会を狙った。

だが、その甲殻は思った以上に硬く、剣が跳ね返されてしまった。


「なんて硬さだ…!」ヴァルノスは驚き、少し後退した。


グラーデがそれを見て、自身の手に炎の魔法を集中させる。


「俺がやってみる…!」

彼の手から放たれた炎が魔獣を包み込むが、魔獣はほとんどダメージを受けていないようだった。


むしろ、その目がさらに赤く輝き、激しい怒りを感じさせるように咆哮した。


「炎も効かないわ…このままじゃまずい!」エリスが焦りを露わにしながら叫ぶ。


そのとき、ヴァルノスが冷静に魔獣の動きを観察していた。

彼はある一瞬に気づいた――魔獣の動きにはわずかな隙があるのだ。


ヴァルノスは深く息を吸い込み、仲間に指示を出した。


「エリス、右側から動きを封じてくれ!グラーデ、左から炎を強く放って視界を奪うんだ!」


二人は即座に動き、エリスは魔力を用いて地面から蔦を伸ばし、魔獣の動きを封じた。

グラーデの炎が魔獣の顔を覆うと、その隙をついてヴァルノスは一直線に甲殻の隙間を狙い、剣を突き立てた。


剣は深々と魔獣の体に刺さり、その体から黒い血が吹き出した。

魔獣は激しく体を揺らし、最後の力を振り絞って抵抗したが、やがて力尽き、地面に崩れ落ちた。


「…なんとか倒せたか」ヴァルノスが剣を引き抜き、深いため息をついた。


「この調子で進もう…まだ始まったばかりだが、この地にはきっともっと恐ろしいものが潜んでいるだろう」


グラーデも冷や汗をぬぐいながら応じた。

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