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ep.24 守護神 ダリア

その夜、三人は静かな場所で火を囲みながら、これからの試練について語り合った。


ティタニアとの戦いを乗り越えたことで、自信をつけた一方で、次なる迷宮の守護神への不安も浮かんでいた。


「次の守護神…一体どんなやつなんだろうな。」

グラーデが火を見つめながらぽつりと呟く。


「どんな相手が来ても、もう後戻りはできないわね。」

エリスは少し微笑みながら言ったが、その笑みには少しの不安が滲んでいた。


「俺たちが挑むのは、魔族としての誇りと使命だ。守護神たちとの戦いを通じて、俺たちは成長する必要がある。どんな試練が待っていても、俺たちはきっと乗り越えられる。」

ヴァルノスは自信を込めて言い放った。


火の揺らめきが彼らの決意を映し出し、その夜は新たな冒険への思いと共に更けていった。


次の日、三人はザラゴスに別れを告げ、深淵の迷宮への道を歩み始めた。

封印を守るため、そして魔族としての使命を果たすため、彼らの旅は続く。


そしてその先には、さらなる試練と、想像を超える力を持つ守護神が待ち構えているのだった。

深淵の迷宮に到着したヴァルノスたちは、その場の異様な雰囲気に思わず息を呑んだ。


迷宮の入口は暗く、凍てつくような冷気が漂っている。

光の届かない深淵に吸い込まれそうな暗闇が続いていたが、そこには何かしらの意志を感じさせる不気味な力が存在しているようだった。


「ここが次の試練の舞台か…」

グラーデがつぶやき、慎重に一歩を踏み出した。


エリスもそれに続き、緊張した表情を浮かべているが、恐怖に飲み込まれないよう自分を奮い立たせていた。


「気を引き締めろ、ここではどんな仕掛けや罠が待ち受けているかわからない。」

ヴァルノスが低い声で警告を発し、三人は隊列を整えて迷宮の奥へと進んでいった。


迷宮の中は次々と道が分かれ、まるで彼らの進行を阻むかのように複雑に入り組んでいた。

壁面には古代の魔法文字が刻まれており、その一部が淡く光って道しるべのように輝いている。


「この文字…何かのヒントなのかな?」エリスが壁を指さしながら小声で尋ねる。


「いや、むしろ罠の可能性が高い。深淵の迷宮は古代の魔族が守護のために作り上げた場所と聞く。俺たちのような侵入者を迷わせるための手段が仕込まれているはずだ」


ヴァルノスが警戒を強めつつ答えた。


それでも彼らは慎重に進み、やがて広間にたどり着いた。

部屋の中央には巨大な石像が立ち、威圧感を放っていた。


その像は、異形の翼を持ち、鋭い爪と牙を備えた恐ろしい姿をしており、まるで生きているかのように見える。


「これは…守護神か?」

グラーデが恐る恐る声を出した瞬間、石像の目が赤く光り、ゆっくりと動き始めた。


「我が名はダリア…侵入者よ、貴様らの覚悟を試させてもらおう…」

低く重々しい声が広間に響き渡ると同時に、石像が完全に目覚め、彼らに向けて牙を剥き出しにした。


ダリアが放つ冷たい風圧に、ヴァルノスたちは瞬時に戦闘体勢に入った。

巨大な石像が一歩一歩迫ってくるたび、地面が震え、恐怖と緊張が彼らを包み込む。


「気をつけろ、奴の一撃は容赦ないぞ!」

ヴァルノスが叫び、剣を抜いて構えた。


グラーデとエリスもそれぞれの武器を手に、全力で攻撃に集中する。


ダリアがその巨大な腕を振り下ろすと、ヴァルノスは素早く横へと回避し、間髪を入れずに斬りかかった。


だが、その刃は石像の硬い外殻に弾かれてしまい、浅い傷しかつけられない。


「なんて防御力だ…!」


ヴァルノスが歯を食いしばりながら、攻撃の手を緩めずに再度斬撃を繰り出したが、石像は全く動じずに冷笑のような視線を向けてくる。


「エリス、奴の動きを封じる術を使えるか?」

ヴァルノスが急いで指示を出すと、エリスは集中し、素早く魔法の詠唱を始めた。


彼女の指先から光の鎖が生まれ、ダリアの動きを封じ込めようとする。


「今だ、グラーデ!」

ヴァルノスが叫び、エリスの魔法によって動きが鈍った守護神に対して、グラーデが渾身の力を込めて突進した。


しかし、その瞬間、ダリアの目が不気味に光り、凄まじい衝撃波が放たれた。

エリスの魔法は打ち砕かれ、グラーデはその力に押し戻されてしまう。


「くっ、こんな力が…!」

グラーデが息を荒らげながら立ち上がると、ダリアはさらに攻撃を激しくし、鋭い爪を振りかざしながら突進してきた。


ヴァルノスは必死に防御し、衝撃に耐えたが、足元がふらつく。


「このままじゃ埒が明かない…!」

ヴァルノスは自分の力不足を痛感しながら、必死に考えを巡らせた。


そして、ふとザラゴスから授けられた魔族としての力を思い出した。


「そうか…ザラゴスの力が俺にはある。ここで使うしかない…!」


ヴァルノスが深く集中すると、体から黒いオーラが立ち上り、彼の全身に力が漲り始めた。

ザラゴスから与えられた力が解放され、魔族としての能力がさらに引き上げられていくのを感じた。


「行くぞ!!」

ヴァルノスは叫び、再び剣を構え直した。


その瞬間、剣の刃が闇の炎に包まれ、ダリアの石像に迫る。

ヴァルノスが渾身の一撃を放つと、今度は石像の硬い外殻がヒビ割れ、深い傷が刻まれた。


ダリアが一瞬怯んだ隙に、エリスとグラーデもそのチャンスを逃さず、続けて猛攻を仕掛けた。


「このまま押し切るわよ!」

エリスが叫び、再び光の鎖でダリアを縛りつける。


グラーデも力の限りを振り絞り、槍で鋭く突き刺した。

ダリアの動きが完全に鈍くなり、ついにその巨体が崩れ落ちると、地響きが迷宮中に響き渡った。


ダリアは石の塊と化し、二度と動くことはなかった。


三人は肩で息をしながらも、無事に勝利を収めたことに安堵の表情を浮かべた。

ダリアとの激闘を経て、彼らは確実に一歩、魔族としての力を自分のものとして成長していた。


「また…一つ乗り越えたな。」

ヴァルノスが微笑み、エリスとグラーデも頷いた。


「ザラゴスにこのことを報告しに行こう。」


守護神たちが試練を与える理由、それを知るまで、彼らの旅は続いていく。

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