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ep.19 魔剣

三人が洞窟内へと足を踏み入れると、すぐに異様な光景が広がっているのが見えた。

壁面には古代の文字が刻まれており、まるで何かを守るために結界が張られているかのように光を放っていた。


「気をつけろ…」グラーデが低く呟き、剣を構えた。

その瞬間、洞窟の奥から巨大な石像が動き出し、彼らに襲いかかってきた。


エリスが魔法を詠唱し、火の玉を放つが、石像は微動だにしなかった。


ヴァルノスは自らの力を解放し、ザラゴスから与えられた魔族としての力を駆使して石像に立ち向かった。魔力が彼の周囲に集中し、彼の剣に漆黒の炎が宿る。


「行くぞ!」ヴァルノスは一気に石像に突進し、剣を振り下ろした。


漆黒の炎が石像に焼き付き、ひび割れが生じる。

その隙を見て、エリスが魔法を再び放ち、グラーデが剣を振るってとどめを刺した。

石像は粉々に崩れ、静寂が戻った。


洞窟の奥へと進んでいくと、暗闇の中で一際異様な輝きを放つ剣が祭壇に横たわっているのが見えた。

その剣は異様なまでのオーラを纏い、ただ見るだけでその力の大きさを感じさせるものだった。


「これが…伝説の魔剣か…」


ヴァルノスはゆっくりとその剣に手を伸ばしたが、エリスが静かに彼を制した。


「待って!剣に触れる前に、何か代償が必要かもしれないわ。伝説の武具はその力と引き換えに、使用者に何かを求めることが多いの。」


彼は一瞬、ためらいを見せたが、やがて決意を固め、魔剣に手をかけた。


その瞬間、剣から圧倒的な力がヴァルノスの体に流れ込み、意識が遠のいていく感覚に襲われた。


彼の脳裏に魔剣の記憶が流れ込み、魔族と人間の戦いの歴史が映し出された。

剣に込められた悲しみや怒り、持ち主の過去が鮮明に映し出され、ヴァルノスはその力の重さを全身で受け止めた。


目を覚ましたヴァルノスは、剣が手に馴染んでいることを感じ取った。


彼の体からは、以前にはなかった力が湧き上がっているのを感じる。

その剣はただの武器ではなく、ヴァルノス自身の意志を強化し、戦闘力を引き上げる存在となっていた。


エリスがその様子を見て微笑んだ。

「その剣はあなたを選んだのね。」


グラーデが彼の肩を叩き、「これでますます強くなったな、ヴァルノス。だが、これからはその力をどう使うかが重要だ。」と励ました。


ヴァルノスはその強大な力を得たことを実感しながらも、自分に課せられた責任の重さも感じていた。


新たな力を手に入れた直後、洞窟の外から重い地響きが聞こえ、異様な雰囲気が立ち込め始めた。

三人は緊張感を抱えながら洞窟の外を見やると、森の彼方から巨大な影がこちらに向かって進んでくるのが見えた。


「まさか…!」


エリスが小声で呟いた。

「あれは、魔界の守護者じゃない?」


「この剣が守護されていた理由か…なるほど、奴らは剣を持ち出されるのを防ぐためにあの守護者を従えていたんだな。」グラーデが歯を食いしばりながら呟いた。


その影は、まさに地を揺るがすほどの巨体を持った異形の怪物だった。

無数の牙が輝く口からは熱気が漂い、体中を覆う漆黒の鱗が太陽の光を吸い込むかのように鈍く輝いている。


その眼光は冷たく鋭く、侵入者を無情に撃退する覚悟が宿っているのが明白だった。


「こいつと戦うしかないか…」

ヴァルノスは静かに剣を構えた。新たな力が体内に満ちているのを感じつつも、油断は一切なかった。


守護者が一歩を踏み出した瞬間、その場の空気が凍りつくような緊張感が漂った。

その姿は圧倒的で、ただ立ち向かうだけで命の危険を感じる存在だった。


しかし、ヴァルノスは恐れを振り払うように前進し、魔剣を構えた。


「行くぞ、エリス、グラーデ!」ヴァルノスは二人に声をかけた。


彼の声に触発されたように、エリスとグラーデも各々の武器を構え、守護者に立ち向かう決意を固めた。


エリスは魔力を解放し、炎と氷の力を交互に使いながら守護者の注意を引く。

彼女の魔法が守護者の巨大な体を包み込むと、グラーデがその隙をついて素早い一撃を放った。


しかし、守護者はその一撃をものともせず、さらに凄まじい反撃を繰り出してくる。

ヴァルノスは新たに手に入れた魔剣の力を解放し、暗黒の炎をまとう一撃を放つ。


剣から放たれる漆黒の炎が守護者に直撃し、鱗を焼き焦がしていく。

しかし守護者の再生力も並外れており、傷を負っても瞬く間に回復してしまう。


戦いが激しさを増す中、ヴァルノスは魔剣が自分の力と共鳴しているのを感じ取った。

魔剣はただの武器ではなく、彼の意志や感情に応える存在だった。


彼がより強い決意を持つほど、魔剣の力もさらに高まっていくのだ。

「俺は…こんなところで負けるわけにはいかない!」


ヴァルノスは心の奥底から湧き上がる闘志を解放し、魔剣に全身全霊を込めて一撃を繰り出した。

すると、剣の先から黒い炎が渦を巻き、守護者に襲いかかる。


その攻撃は守護者の再生力を上回り、ついにその巨体を崩壊させ始めた。

守護者は一瞬苦しげに呻き声を上げるが、やがてその姿は霧散し、大地に静寂が戻った。


「やったの…?」

エリスが息をつきながら呟いた。


彼女の表情には安堵と驚きが入り混じっている。

グラーデもまた、肩で息をしながらヴァルノスを見つめて微笑んだ。


「お前、すごい力を手に入れたな。まさに魔族の剣士だ。」


グラーデが賞賛の言葉をかけると、ヴァルノスは少し照れたように笑みを浮かべた。


「ありがとう、でもこれはみんなが一緒に戦ってくれたからこそだ。」

ヴァルノスは仲間たちに感謝の気持ちを伝えた。


三人は、魔剣を手にしたことで彼らの旅が新たな局面を迎えたことを感じながら、ゆっくりと洞窟を後にした。


彼らが再び外の世界へと戻ると、空は晴れ渡り、木々が優しく風に揺れているのが見えた。

ヴァルノスは改めて魔剣を握り締め、その冷たい感触に力を込めた。


彼がこれから進む道は、さらに多くの困難と試練が待ち受けているだろう。

しかし、今の彼には仲間と共に立ち向かう覚悟と、新たに手に入れた力があった。


「行こう、俺たちの道はまだ続いている。」

その言葉を合図に、三人は歩みを進めた。


彼らの未来には、どんな運命が待ち受けているのかはわからない。

しかし、彼らはそれぞれの力を信じ、共に進む決意を胸に抱いていた。


守護者を撃退し、魔剣を手に入れたヴァルノスたちは、ザラゴスのもとに戻るべく森の中を進んだ。


険しい道を進みながらも、三人の間には無言の信頼が漂っていた。

ヴァルノスは、自分が得た新たな力と魔剣の重みを感じながら、ザラゴスに対する報告の内容を頭の中でまとめていた。


数時間の道のりを経て、ようやくザラゴスが待つ隠れ家に到着した。


扉を開けて足を踏み入れると、ザラゴスはすでにその帰還を察知しているかのように、静かに待ち構えていた。



ーーーーーヴァルノスの追加スキルーーーーー

漆黒の炎(魔剣の力を使い、攻撃に暗黒属性を付与する)

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