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ep.15 仲間

ある日、鍛錬を終えた後、ザラゴスはエルノスに告げた。


「今日からお前に紹介したい者がいる。彼らもまた、我々の仲間としてこの地で共に戦う存在だ。」


エルノスは興味津々にザラゴスの後をついていき、広場のような開けた場所にたどり着いた。

そこには、二人の魔族が待っていた。


一人は鋭い目つきで、身のこなしが軽そうな若い女性、もう一人は体格の良い男性で、強靭な力を持っていそうな印象を受ける。


ザラゴスが彼らを紹介する。

「こいつはエリス、素早さと隠密行動に長けた忍びの魔族だ。そしてこっちがグラーデ、物理攻撃と防御に優れた戦士だ。お前たちもこれからエルノスと共に行動し、さらなる試練に挑むことになる。」


エリスがにやりと笑い、軽くヴァルノスに手を振った。


「よろしくね、エルノス。見たところ、まだ魔族の力に馴染んでいないようだけど、私がいろいろ教えてあげるわ。」


一方、グラーデは真剣な表情で手を差し出した。

「お前が新入りか。ザラゴス様が見込んだだけあって、目の奥に確かな闘志を感じる。共に戦うことを楽しみにしているぞ。」


エルノスは二人の手を握り返し、彼らとの新しい絆の始まりを感じていた。


その後、ザラゴスは三人を特訓のため、さらに険しい山岳地帯へと連れて行った。

そこにはこれまでに戦ってきた魔物よりも一段と強力な敵が潜んでおり、チームワークを駆使しなければ勝てない試練が待っていた。


エリスが前方を探り、グラーデが後方を警戒する形で進んでいると、突然、大地が揺れ、巨大な魔物が姿を現した。


鋭い牙を持ち、鋼鉄のような硬い鱗に覆われたドラゴンだ。エルノスはその威圧感に一瞬たじろいだが、すぐに仲間たちと連携する意識を持ち直した。


エリスが素早く動き、魔物の目を幻惑させる「影踏みの術」を発動。

魔物の視線が一瞬逸れた瞬間、グラーデがその隙を突いて、重い一撃を叩き込んだ。


しかし、魔物の鱗は硬く、致命的なダメージには至らない。


「エルノス、いけるか!」グラーデが叫び、合図を送った。


エルノスは深く息を吸い込み、両手に炎と氷の力を同時に宿らせた。

これまでの鍛錬で磨き上げた「炎霧氷陣」の技を使う時だ。


両手を広げると、灼熱の炎と凍てつく氷が魔物の周囲に広がり、凄まじい温度差で鱗を軋ませた。

エルノスはその隙に、最大の一撃を魔物の頭部に叩き込んだ。


轟音と共に魔物が倒れ込む。エルノス、エリス、グラーデは息を整えながらも、その勝利に歓声を上げた。


チームワークを通じての勝利――

それは彼らにとってかけがえのない達成感をもたらしていた。


ザラゴスが静かに近づき、満足そうに頷いた。

「見事な戦いだった。お前たち三人は、それぞれの力を活かし合い、敵を討つ術を確立したな。」


彼の言葉に、エルノスは新たな決意が湧き上がるのを感じた。

「これからさらに強くなり、どんな敵にも屈しない。」


エルノスは心の中でそう誓い、再び仲間と共に立ち上がった。


彼の目の奥に宿る力強い輝きが、未来への希望と決意を象徴していた。

その後、数週間、エルノスはエリスとグラーデとの共同訓練を通じてさらなる技術を身につけ、魔族としての力を磨いていった。


それぞれの強みと特性を理解し合い、戦術を練り、敵の出方に応じた戦い方を模索する日々が続いた。


ある日、ザラゴスは三人を更に険しい山奥に連れて行き、言った。


「ここから先は魔の結界が張られた場所だ。この結界の中では我々の力が抑制され、肉体と精神の限界が試される。ここで本当の力を見せられる者だけが、さらなる高みへと進むことができる。」


エルノスは少し緊張しつつも、内心ではこの試練を待ち望んでいた。

自分の力がどこまで通用するのかを確かめ、次へ進むための道を切り開く覚悟があった。


結界の中に入ると、途端に体が重くなり、魔力が周囲に拡散されていく感覚が襲ってきた。

エリスはすかさず姿を消し、影の中で身を潜め、敵の気配を探る。


グラーデは両腕に力を込め、盾のように構え、エルノスを守るための準備を整えた。

しばらく歩みを進めていると、結界の中央付近で突如、地面が揺れ始め、巨大な石像が姿を現した。


その身体は岩で構成されており、結界の影響を一切受けていないように見える。エルノスたちはその威圧的な存在に一瞬息を呑んだが、すぐに戦闘態勢に入った。


「この石像は物理的な攻撃に強く、魔力による直接攻撃も無効化する。だが、どこかに弱点があるはずだ!」


ザラゴスが冷静に状況を分析し、三人に指示を出した。


エリスが素早く動き、石像の背後に回り込むと、弱点を探るように鋭い目で観察した。


「背中に小さなひび割れがある!そこが唯一の弱点かも!」

エリスの報告にエルノスとグラーデは即座に反応し、石像の注意を引くために左右から攻撃を仕掛けた。


グラーデが力強い一撃を繰り出し、石像の正面でその動きを封じ込める間、エリスは軽やかに跳びながら背後に再度回り込んだ。


そして、エルノスは「炎霧氷陣」の技を使い、炎と氷を同時に操りながら弱点部分を狙った。

エリスが再びそのひび割れを正確に指差し、エルノスは全魔力を込めた一撃を放った。


炎と氷が一体となった攻撃が石像のひび割れに命中すると、轟音と共に崩れ落ち、その巨体が地面に倒れ込んだ。


結界の抑圧に打ち勝ち、三人の協力が生んだ勝利だった。


ザラゴスが満足げに微笑み、三人に歩み寄った。

「お前たちの成長は著しい。特にエルノス、お前の力はもはや単なる新人の域を超えた。お前たちには、次なる任務を任せる準備が整ったようだ。」


ザラゴスの言葉に、エルノスは嬉しさと誇りを感じつつも、内心ではさらなる挑戦への意欲が燃え上がっていた。


「次の任務?」

エルノスが尋ねると、ザラゴスは少しの間黙り込み、遠くを見据えたあとに語り始めた。


「我々の領地を脅かしている人間の王国がある。そこには強力な魔導師と軍が集まっており、魔族の力を奪う儀式を行っているとの報告が入っている。お前たちには、その王国へ潜入し、儀式を阻止し、敵の計画を打ち砕く任務を任せる。」


その言葉に、エリスとグラーデも気を引き締め、エルノスは次なる挑戦に心を燃やした。

魔族としての使命、仲間との絆、そして王国への潜入という大いなる試練が、彼らの運命をさらに複雑で厳しい道へと導いていくことになる。

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