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ep.14 新たな試練

数日後、ザラゴスはエルノスに新たな試練を与えることを告げた。


それは、実際の戦闘を通じて彼の力を試すものであった。

ザラゴスはエルノスを連れて、魔族の拠点の外へと出かけることにした。


目指すは、遠くの山脈にある魔物の巣窟だ。

エルノスにとって初の対魔物との実戦となる舞台だった。


ザラゴスは言った。

「魔物たちとの戦闘を通じて、お前の魔族としての可能性が試される。」


エルノスはその言葉に、覚悟を決めた。


エルノスはザラゴスと共に、山脈の中にある巣窟へと足を踏み入れた。

途中、いくつかの魔物の痕跡を見つけたが、すぐには遭遇しなかった。


しかし、薄暗い洞窟の中に足を踏み入れると、エルノスの感覚が鋭くなり、周囲に気配を感じ取った。


「来るぞ。」ザラゴスが冷静に言った。


その言葉が響くと同時に、洞窟の奥から低いうなり声が響き渡った。


次の瞬間、巨大な影が彼らの前に現れた。

それは、強靭な皮膚と鋭い牙を持つ、非常に凶暴な魔物だった。


エルノスの心拍が一瞬高まったが、すぐに彼は冷静さを取り戻した。

魔物に対する恐怖はあったものの、彼は自分の成長した力を試す時だと感じていた。


「さあ、やってみろ。」ザラゴスは静かに言った。


エルノスは一瞬、足を踏みしめると、魔物に向かって駆け出した。

彼の手には、魔法の力を集中させた火炎の弾が生まれ、そのまま魔物に向かって放たれる。


その火炎は、魔物の硬い皮膚に直撃し、爆発を起こした。

しかし、魔物は驚くほど硬く、その一撃では倒れなかった。


「お前の魔法は強力だ。しかし、それだけでは十分ではない。」ザラゴスの声が冷静に響く。


エルノスは瞬時に判断し、近くの岩を利用して素早く身をかわし、再び魔法を準備した。

今度は火炎ではなく、氷霧を発動させ、魔物の動きを封じ込めることを試みた。


冷たい霧が魔物を包み込み、その動きは一瞬鈍くなった。

その隙を突いて、ヴァルノスは魔物の急所に向けて一気に突進し、皮膚を切り裂いた。


魔物は悲鳴を上げ、ついに倒れ込んだ。

エルノスはその姿を見届けてから、深く息をついた。


手のひらに伝わる魔力の疲れを感じながらも、彼は確かに戦ったことを実感していた。

「よくやった。」ザラゴスは静かに言った。


彼の目には、ほんの少しの満足げな光が宿っていた。


「だが、これは始まりにすぎない。次の試練に備えろ。」


エルノスは初めての実戦を終え、確かな手ごたえを感じた。

しかし、魔物との戦闘中に一瞬でも油断すれば、命を失う可能性があるという緊張感が残っている。


ザラゴスは、エルノスの戦いぶりを冷静に観察していた。

彼の目には、エルノスがどれだけ戦闘に適応できたか、そしてどこが課題として残っているかがはっきりと映っていたようだ。


ザラゴスは、彼の成長を見守りながら、徐々に彼が魔族としての真価を発揮できるよう導くつもりだった。


その晩、エルノスとザラゴスは洞窟の外にある簡易のキャンプ地で夜を過ごすことにした。

夜空には星が輝き、静寂が広がる中で、二人の間に沈黙が流れていた。

それは不思議と言葉を交わさずとも分かり合えた気がした。


夜が更け、エルノスは焚き火のそばで静かに目を閉じ、自分の内なる魔力を感じ取ろうとした。

ザラゴスの言葉が頭の中で反響している――


「お前の成長はまだ始まったばかりだ」


力を手にしたばかりの今、自分がどこまで進化できるのか、その可能性を信じたくなっていた。


すると、ザラゴスが低く呟く声が聞こえた。


明朝、ザラゴスは暗い森の奥にエルノスを導いた。

彼が選んだ場所は、かつて幾多の魔族が鍛錬を積んだとされる「霧の谷」だった。


ここでは、自然の中で生きる凶暴な魔物たちが闇に潜んでいるという。

「ここでは、お前の新たなスキルを試す機会があるだろう。」ザラゴスは静かに告げた。


その言葉を聞いたエルノスは、全身に緊張が走るのを感じた。

霧の谷は視界が悪く、周囲が見えづらい。

だが、その闇の中で魔物の気配を感じるたびに、彼の闘志がかき立てられた。


しばらく歩くと、彼の前に巨大な魔物が姿を現した。

その魔物は真っ黒な体毛に覆われ、赤く光る瞳でエルノスを睨みつけている。

唸り声をあげながら前足を構え、いつでも襲いかかる構えを見せていた。


エルノスは自分の手を見つめ、炎霧を発動させる準備を整えた。

彼が集中すると、彼の手のひらに赤い炎が立ち上り、それが霧のように周囲に広がっていった。


霧は魔物を包み込み、その一瞬の隙にヴァルノスは氷結のスキルを発動し、冷たい空気が霧の中に混じり込んでいく。


炎と氷が交錯する中で、魔物の動きが一瞬鈍る。

その瞬間を見逃さず、ヴァルノスは素早く間合いを詰め、渾身の一撃を繰り出した。

攻撃が魔物の胴体に命中し、魔物は一瞬ひるむように後ずさった。


「まだだ、エルノス。」ザラゴスが背後から冷静に指摘した。


「炎霧と氷結は、その場で終わるものではない。お前は、これらをより巧みに操ることで、持続的に相手を封じ込める手段を学ばねばならない。」


ザラゴスの言葉を胸に、エルノスはさらに集中を高めた。

今度は炎霧をさらに強力に広げ、氷結をも重ね合わせてゆくことで、炎と氷が同時に魔物を包み込む形を作り出した。


炎霧で視界を奪い、氷結で魔物の動きを鈍らせる――

二つの力が融合したこの戦術は、魔物にとって致命的な罠となった。


魔物が身動きできなくなった瞬間、エルノスは全力で駆け寄り、決定的な一撃を放った。

その攻撃が魔物の首元に直撃し、魔物は地面に倒れこんで動かなくなった。


静寂が戻った森の中で、エルノスはその場に立ち尽くし、深く息をついた。

彼の体は汗でびっしょりで、全身に疲労が走っていたが、その心には確かな達成感があった。


ザラゴスは少し微笑みながら、エルノスの肩に手を置いた。

「よくやった、。この戦いを通じて、お前は技の融合を身に付けた。道は険しいが続ける限り、さらに大きな力が手に入るだろう。」


その言葉を聞いたエルノスは、初めてザラゴスの中に見え隠れする優しさを感じた。

厳しいだけでなく、彼は自分の成長を見守り、導いてくれているのだ。

師匠としてのザラゴスの存在が、今やエルノスにとってかけがえのないものとなりつつあった。


こうして、エルノスは新たな力と技を身に付け、魔族としての道を歩み始める。

次なる試練が待ち受ける未来に向けて、彼の決意は一層強固なものとなっていた。


霧の谷での戦いから数日が経ち、エルノスの魔族としての力はさらに強化されていた。

ザラゴスは毎日のように鍛錬を続けさせ、彼の技と体力を限界まで引き出そうとする。


日々に新たな魔物との戦いを重ね、そのたびに新しいスキルを試し、技の融合をより高度に練り上げていった。

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