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1話  1人目

 皇紀2024年9月12日


 雲一つない快晴の日。

 俺は、生まれた。


「あぎゃああああああああぁぁぁ!」


(なんだ、ここ。

 暗くて何も見えない。何も聞こえない。

 どうなってる。

 目が開かない。

 本当にどうなってんだ。今、俺はどこにいる。)


「おぎゃああああああああああ!!」


 声を出している感覚はあるのに、喋れない。


(くそっ、なんなんだ一体。状況が一切分からない。

 ……なんだか、疲れてきた。意識が、遠のいて……。)


****


 おはよう諸君。

 意識が遠のいた後、どのくらい時間が経ったか分からないが、意識が戻って色々、この真っ暗な部屋で現状について考えて見たのだが。

 俺はあるひとつの結論に辿り着いだぞ。

 俺が思うに、今俺は赤子なのではなかろうか。

 どこかで聞いたことがあるのだが、赤子は生まれて暫くは、目や耳は聞こえないらしい。

 その他の五感がどうなのかは知らないが、一応、今は触感はある。

 触った感じ、ふわふわした毛布のような物の上に、俺は寝かせられている。

 時折、胸の当たりを優しく撫でられるように触られることもある。

 きっと、俺は今保護者に大切に扱われているのだろう。

 というか、大切にされていないと困る。

 雑に扱われて何も分からないまま死ぬなんてことになったら、死んでも死にきれない。

 まぁとりあえず、今は何も分からないので、しばらく様子を見ることにする。


****


体内時計1日目


 相変わらず何も分からない。

 たまに、なにか液体(母乳と思われる)を飲まされているのだが、味はよく分からない。

 まだ、味覚も鈍感なのだろうか。

 引き続き、様子を見ることにする。


****


体内時計1ヶ月目


 なんか見える世界が明るくなってきた。

 耳もなんか音が聞こえる気がする。

 母乳の味はまだよく分からない。

 引き続き、様子を見ることにする。


****


体内時計6ヶ月目


 だいぶ世界が鮮明に見えるようになった。

 耳も音を聞き分けられるくらいにはなった。

 母乳は美味くも不味くもないなんとも言えない味がする。

 引き続き、様子を見ることにする。


****


体内時計12ヶ月目


 めっちゃ見える。

 めっちゃ聞こえる。

 母乳はよく考えると美味しい気がしてきた。

 状況が把握できるくらいになったので、今日で、様子見を終了する。


****


 1年くらい経って、だいぶ五感が発達したので、状況を整理しようと思う。

 俺は今、赤子の部屋にしてはどデカい、めちゃくちゃ豪華な装飾品が所々に置かれた子供部屋にいる。

 部屋の中央にあるベビーベッドと思われる布団の上に俺は転がされている。

 これまためちゃくちゃ豪華なベビーベッドでして、布団はふわふわ、おもちゃはジャラジャラ。

 赤子に最適なベッドになっていて、

天気も良いので元々良い寝心地が更に良くなっている。

 窓の外の太陽の位置を見る限り、多分今は昼頃だろう。


(空は快晴だ。気持ちがいいほど快晴だ。

 こんな日は外に出て、母乳でも飲みながら景色でも描いていたいね。)


 あ、いや、今はそんなことどうでもいいな。

 話を戻そう。


 俺がずっと気になっていた、赤子説だが、やはり当たっていたらしい。

 俺の手足は小さく、力もない。

 尿も糞も漏らすし、母乳も飲む。

 そう、母乳を飲むのだ。

 では、その母乳はどこから来ると思う?

 察しの通り、お母様だ!

と、言いたいところだけれど、どうやら俺は、結構金持ちの家に産まれたようで、母乳をあげに来るのは、メイド服を着た乳母だ。

 これまた乳母メイドが可愛い子で、最初は目が見えないので、億劫に思っていた母乳タイムも、目が見える今では、日々の楽しみだ。

 可愛い子に貰う母乳は美味い。

 

 と、状況整理していると部屋をノックする音が聞こえた。

 今俺がいる部屋は俺と俺の世話係のメイドと2人だけなので、動けない俺ではなく、世話係のメイドがドアを開けた。

 入ってきたのは、メイドのエリーちゃんだった。

 エリーちゃんは俺の乳母だ。

 年齢は21歳位で、すごく可愛いのに、メイドで、母乳もでるという特典付き。

 最高だろう?

 それにエリーちゃんは母乳が出るので、もちろん子供がいる。

 エリーちゃんこんなに若くて可愛いのに、母乳が出る上、子供がいるだなんて……。


(ご馳走様です。)


エリーは俺に話しかけながら近づいてきた。


「アーサー様、ご飯の時間です」


「あーうー」


エリーの呼び掛けに、喋れないなりに頑張って返事をした。


 あ、ちなみに俺の名前は今聞いた通り、『アーサー』だ。

 本名『アーサー・ケープ・ぺイン』。

 アーサーが名、ケープが国名、ペインは初代皇帝の名だそうだ。


 そう、俺は皇族だ。

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