6.私の選択は正しかった!!
ゴブリン。
醜悪な顔をした小柄な人型の魔物だ。
数は2体。
ソロだったら厳しかったかもしれないが、今のリオにはノエミがいた。
「じゃよろしく後輩ちゃん」
「え? リオ先輩は……」
「あ、私は〈盗む〉から」
「そうですよね。盗賊ですもんね」
そうして戦闘が始まる。
一応短剣を抜いておき、素早く接近して〈盗む〉。
幸いなことに一発で成功したので、もう片方のゴブリンからも……と思ったら後輩ちゃんが既に真っ二つにしていた。
仕方ないので短剣で盗み終えたゴブリンと対峙する。
リオは素早くゴブリンの首を斬りつけた。
人間なら頸動脈のある辺りだ。
ダメージの文字が派手に飛び出してゴブリンが一発で死んだ。
「ああ、急所を狙うとちゃんとクリティカルするんだ」
「一発でしたね、リオ先輩も」
「うん。ていうか胴体を真っ二つにしてたね後輩ちゃん。どんだけ火力あるの」
「攻撃力ばっか上げてますからね。このくらいは余裕ですよ!」
別にリオは褒めたわけではないのだが、ノエミが嬉しそうなので水を差すのは止めた。
「お、ドロップアイテムは薬草か。3つあるってことは〈盗む〉でも薬草が入手できるってことね」
「貴重な回復リソースですね」
「ほんとだよ。無一文だしヒーラーなしだし。ゴブリンは序盤の救済策かな?」
その後も何度かゴブリンと戦闘を重ねる。
大抵は2体だが、稀に3体のときもあった。
モリモリと溜まる薬草。
VRゲームに慣れているふたりは最序盤の雑魚で被弾することはないから、回復アイテムである薬草は溜まる一方だった。
「あ、レア盗んだかも。〈盗む〉の成功エフェクトが違った」
「ホントですか?」
「ほら、共有インベントリに化石が増えてる」
「化石……」
確かに化石というアイテムが増えていた。
「何に使うんでしょう」
「換金アイテムかもね」
「回復できる薬草の方がマシだったりして」
「…………」
否定のできないリオであった。
さてゴブリンばかり出てきた海岸沿いから平原に移ると、ホーンラビットという角の生えたウサギが出現するようになった。
ゴブリンより的が小さく、かつ素早いホーンラビットは難敵だった。
もっとも苦戦したのは得物の大きなノエミの方で、取り回しの良い短剣によるリオの首狩り戦法は有効だった。
もちろん倒すのは〈盗む〉の後なので、倒す時間自体は変わらないのだが。
「ええとホーンラビットのドロップはウサギ肉のようですね」
「〈盗む〉の結果も分かりやすいね。化石だ」
「リオ先輩が盗賊で良かったですよ。アイテムがモリモリ溜まるので」
「でしょう? 私の選択は正しかった!!」
リオは自慢げに胸を張った。
草原では他にもジャイアントイーグルやワイルドドッグも出現する。
そのうちジャイアントイーグルは空中からのヒットアンドアウェイ戦法を取ってくる上にHPが減ってくると逃げ去るため、倒すことはできなかった。
ただし地上に降りてきた隙をついてリオが〈盗む〉を敢行していたので、アイテムは奪っているのだが。
地道な移動と戦闘を繰り返し、遂にふたりは入江の洞窟に辿り着いた。