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不死のクリストフ  作者: 世界
1/16

プロローグ

長すぎるのと読み辛いと報告を頂いたので、連載として加筆の上、分割して再投稿します。

改めてよろしくお願いします。

 ―闇に紛れて、争う二つの影があった。

 一つは、人の形に似ているが、人とは比べ物にならないほど大きな体躯に巨大な角と翼を持ち、筋骨隆々としたその剛腕には、鉄をも容易く切り裂いてみせる、太く鋭い爪を生やした悪魔(デーモン)だ。

 対するもう一つの影は、黒い法衣を身に纏い、手にした十字架状の斧を振るいながら、目にも止まらぬスピードで、悪魔を翻弄する若い神父だった。

 まず、神父は悪魔の翼を切り裂いた。

 そのまま悪魔の攻撃を巧みに躱しながら、両腕、胴体と、次々に斬り付けてダメージを蓄積させていく。

 たまらず空へ逃げようにも、すでに悪魔の翼は無惨な姿に変えられていて、飛ぶことは叶わず、逃げ場はない。悪魔は身の毛もよだつ声を荒げて、苛立ちを叫んだ。


「ナゼダ!ナゼ身体ガ再生シナイ!?」


「…生憎だが、お前達悪魔を滅ぼす為に、俺は毎朝毎晩、年がら年中祈りを捧げて、聖水を作ってるんだ。力任せに暴れるしか能の無い下位の悪魔如きが、抗えると思うなよ」


 神父が持つ斧の刃、その中心にはキラキラと光る宝石が嵌め込まれており、斧を振るう度にそこから溝を伝い刃先全体に少量ずつ、宝石内部に蓄えられた手製の聖水が流れ込んでいく。

 悪魔や怪物達は、斬り裂かれる度に傷口へ聖水を流し込まれるようなものだから、溜まったものではない。

 現に、眼前の悪魔の傷口は、斬り付けられた直後からどんどんと焼け爛れて、それらは再生もできずに積み重なっている。元から醜悪だった悪魔の身体は、よりグロテスクな形に変わっていた。

 その間にも悪魔への攻撃は続き、遂には左腕を切り落とし、悪魔は蹲って、傷口を抑えて唸り声をあげるだけになった。


「悪魔が相手とて、甚振る趣味はない…これで終わりだ」


 悪魔にとどめを刺すべく、神父が近づいた瞬間、突如として悪魔は顔をあげ、咆哮と共に猛烈な火炎を吐き出し、神父は業火に巻かれてその動きを止めた。


「カカカカッ、バカメ!!!死ネッ!!」


 悪魔は残った右腕を、動きの止まった神父に向けて振り抜き、その鋭い爪は、神父の腹から右胸にかけてを抉り貫いていた。

 ニヤリと恐ろしい笑みを浮かべる悪魔、しかし…致命傷を負ったはずの神父もまた笑みを浮かべ、より深く抉られていく傷など物ともせずに、自ら悪魔の目前へ肉迫し、聖句を叫ぶ。


「I swear to the living God!(生きている神に誓って言え!)」


 その途端、手にした斧は太陽のように眩いほど光り輝き、それをもって、悪魔は頭から全身を一刀両断され、塵一つ残さずに消滅した。

 次の瞬間には、神父の身体からは何事も無かったかのように傷が癒えて消え去っている。すると、物陰から様子を伺っていた男が現れ、拍手をしながら神父に祝福する言葉をかけた。


「よくやった。さすがは不死身の男と呼ばれるだけのことはあるな、クリストフ」


「誰が言ってるんだか知らないが、そんなに良いものじゃないさ。…しかし、また法衣の替えを申請しなきゃならない、司教様に怒られそうだ」


 黒焦げて穴だらけになった法衣を手で押さえつつ、今月でもう5回目になる新しい法衣の申請を考えると、クリストフと呼ばれた神父は頭を抱え、天を仰いだ。


 見上げた夜空には、大きな満月が鮮やかな黄金色を放ち、静かに浮かんでいた。


お読みいただきありがとうございました。

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