表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
173/189

6月22日 告白

 放課後、突如として校舎裏に呼び出された。約束の時間よりも十分も早く訪れたのだけれど、もう既に彼女の姿はそこにはあった。

「話って何?」

 恐る恐る問いかける。すると彼女は一度ゆっくりと頷いてから口を開いた。

「私と……」

 そこまで言葉が出たところですぐ引っ込めてしまった。やはりそうか。まさかとは思っていたけれどもようやくか。

 彼女と僕とはなかなか良い感じの関係になっていたところだ。去年のクラスの席替えをきっかけに彼女と話す回数が次第に増えていったのだった。好きな映画の話、好きな本の話、学校近くに新たにできたカフェの話、そんな他愛のない話を時折しては楽しんだ。最近では学校の休みの日でも何度か二人で遊園地や水族館などに行く仲でもある。

 僕と彼女との関係を問われれば何なのだろう。友達以上恋人未満といった感じだろうか。お互いの関係を直接的に口にしたことなどこれまでなかったから何とも言えないものだ。

 ここは僕が状況を察して告白すべきなのだろうか。そんなことを思い始めたところで彼女は再び口を開いたのだった。

「私と……友達になってください」

「え……」

 どうもこれまでは友達ではなかったようだ。先ほど告白しようかと思っていた自分が恥ずかしい。

「ダメかなあ?」

 不安そうに上目づかいで訊ねて来る彼女。こちらの動揺を見せることのないよう、いたって平然と答える。

「うん、もちろん。いいよ。よろしく」

「良かったー。断られたらどうしようかと思ったよ。これから私たち友達だね」

 そっと胸をなでおろして安堵の表情を浮かべていた。

「あ、うん。そうだね。友達……」

 やれやれまだまだ長い道のりになりそうだ。


お読みいただきありがとうございます。


少しでも面白いと思っていただけたら、ブックマーク登録あるいは広告の下にある【☆☆☆☆☆】を押して評価していただけると幸いです。「いいね」を押していたけると作者のモチベーションアップになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ