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6月16日 スーパーシール貼りすぎ

「四三〇円が一点」

 店員さんはトイレットペーパーを会計済みのカゴへと入れる。

「こちらシール貼らせていただきますねー」

 すると手慣れた動作でトイレットペーパーにシールを貼った。

「一九八円が一点」

 菓子パンをカゴへと移す。

「こちらシール貼らせていただきますねー」

 菓子パンのパッケージにシールを貼った。

「百円が二点」

 ペットボトルのお茶をカゴへと入れていく。

「こちらシール貼らせていただきますねー」

 これもまた素早い動きでペタペタとシールを貼っていく。

「三八〇円が一点」

 生ハムをカゴへと移していく。

「こちらシール貼らせていただきますねー」

「えっ、ちょっとシール多ない?」

 さすがに私はツッコミを入れた。すると店員さんは恐る恐る訊いてくる。

「ええと……シール、嫌でした?」

「いや、別にいいんですけれど。全部の商品にシール貼るお店初めてだったので」

「そうだったんですね。当店は基本的にお買い上げ商品には全てシールを貼ることになっておりまして」

「ああ、そうなんですか?」

 変な店だ。率直に思った。シールを貼るか貼らないかという問題は私にとってさほど重要なことではないけれど。

「シール貼るのやめておきますか?」

「ええと……」

 そんな上目づかいで訊かれたら女性の私でも自然とドキリと感じてしまうではないか。

「シール、かわいいですよ?」

 なんだ? 「シール、かわいいですよ?」って。

 私は改めて商品に貼られたシールを凝視する。トイレットペーパーには猫のゆるキャラが描かれたシール、菓子パンにはつぶらな瞳をした熊のマスコットキャラクターのシール、ペットボトルのお茶には茶目っ気のある柴犬のイラストが描かれたシール(しかも二本それぞれ微妙にデザインが違う)、生ハムには柔らかな笑みを浮かべている兎が描かれたホログラムのシールが貼られているではないか。

 確かに――かわいい。

「じゃんじゃんシール貼っちゃってください」

「はい。かしこまりました」

 そう言ってまた店員さんはシールを貼っていく。


お読みいただきありがとうございます。


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