5月13日 タイムマシンで過去へ
とある研究所ではタイムマシンの開発が行われていた。
「もう少しで完成だ。だが、その前に少し休憩を入れるとするか」
博士は疲れたように言った。この博士は数々の発明をこれまでしており、有名な発明家だった。今度はタイムマシンの開発に精を出していた。
博士はトイレに行ってくると言い、研究室を出て行った。研究室は助手の男一人のみになった。
博士に助手が多くいないことには理由があった。それは博士が助手をあまり欲しがらなかったからだ。博士は自分以外の人間は信用していなかった。常に人を疑っている博士にとって、助手はいない方がよかったのだ。しかし、今回のタイムマシンの開発は一人で開発するのは大変であり、やむを得ず助手を一人採用したのだ。
タイムマシンの開発も博士と助手の二人だけで行っていた。博士を待っている間、助手はようやく完成するタイムマシンを見て、本当にタイムトラベルができるのか試したくなった。
「少しだけ使ってみようか」
助手はタイムマシンに乗りレバーを『過去』と書かれている方向に動かし、過去へ行ってみた。
「ここが百年前の研究所か」
そこに建物はなかった。更地だったのだ。百年前、この場所に研究所はなかったようだ。助手はタイムマシンの性能を確認することが目的だったため、すぐにもといた時代に戻ろうと思った。
助手がタイムマシンのレバーを『未来』と書かれている方向に動かしたが、タイムマシンは何も反応しなかった。
「あれ、これはどういうことだ……」
助手は嫌な予感がした。
博士がトイレから戻ってくると、タイムマシンがなくなっていることに気づいた。慌てて助手にこのことを知らせようと探すが見つからない。ここで初めて博士は何が起こったのか、ようやく気付いたのだった。
「もしや、助手がタイムマシンを使ったのか。あのタイムマシンには未来へ行ける機能はまだ搭載していないのに」
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