5月2日 爆発
ある日、誰一人いない砂漠で爆発が起こった。とても大きな爆発だったので、その砂漠から比較的離れた地域にいる人々でもその爆発に気づくことができた。
「何だ?」
人々は遠くに見える砂漠の方を向いて、口をぽかんと開けて凝視している。
「一体、何が起きたんだ?」
警察や軍隊はただちに何が起こったのかを突き止めるために砂漠へ向かった。軍隊は一刻を争う事態となりかねないと判断し、戦闘機を使って急ぐ。
そのころ警察署では……。
「さっきの爆発は俺が起こした」
と言ってその男は何も悪びれた様子もなく出頭してきた。その言葉を聞いた警察官は――。
「何だと……」
ぽかんと口を開けて唖然としていた。そのような警察官をよそにその男は淡々と語りだす。
「そうだ。最近開発された非常に強い破壊力を持つ爆弾を使っての爆発だ。とんでもない破壊力だろ? まあ、俺は爆弾開発に関わった人間ではないから、そんなことはどうでもいいことだが」
「どうしてこんなことをしたんだ」
「どうしてって、じきに分かるだろう。そうだな……爆発の跡を上空から見てみろ」
警察官が出頭した男と話している間に戦闘機は砂漠の上空を飛行していた。すると乗っていた軍人は爆発の跡を見て思わず言葉が漏れる。
「美しい……」
なんとそこには見た者を魅了するほど美しい爆発の跡があったのだ。絵の具をまき散らしたような鮮やかな光景が広がっている。そこでは青、赤、緑などの色が混ざり合わさり、新たな色彩を生み出していた。
そして爆発を起こした男は刑務所に入れられ、その牢屋の中でひとりつぶやく。
「芸術爆発」
――と。
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