4月28日 一兎を追う者は一兎をも得ず
昔々あるところに二羽の兎を同時に捕まえようとしたが、失敗して一羽も捕まえられなかった男がいた。その男は欲張って二羽も捕まえようとしたことに十分反省し、この反省を次に生かそうと決めたのだった。
次の日のこと。男はまたも同じ場面に出くわした。昨日と同じく兎が二羽、男の前に現れたのだ。男は忍び足で近づいて捕まえようとするが、二羽の兎は男に気づいて逃げ始める。
「仕方がない。もう一羽は惜しいが、片方のみを追うことにしよう。そうすればきっと一羽は確実に捕まえられるだろうから」
男は欲張りたい気持ちを捨て、一羽のみをひたすら追うが、やがては見失ってしまい、
「またも逃がしてしまった……」
というように己の技術のなさを実感し、しばらくの間、うなだれていたのだった。
いっとをおうものはいっとをもえず【一兎を追う者は一兎をも得ず】
二羽いる兎の一羽を諦め、もう一羽の兎だけを捕えようとしても、結局は一羽も得られないという意から、同時に二つのことをするのをやめて、一つのことをしようとしても、その片方のことすら成功しないこと。転じて、技能のないものは一つのこともろくにできないこと。
二兎を追う者は一兎をも得ず、そして一兎を追う者もまた一兎をも得ず。
どうやら、まだ辞書に載る日はこないようである。
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