4月27日 彼女
公園を歩いていると、彼女は僕の後についてきたんだ。少し休憩しようと思い、ベンチに腰かけると、彼女も腰かける。
「いい天気だね」
と声をかけてみたけれど、返事はない。
すると突然、彼女は僕に近寄ってきたんだ。一体どうしたのだろう。こんなに密着するほど小さなベンチではないのに、どうしてこんなにもくっつくんだ。このベンチにはきっとあと大人三人くらいは座れるに違いないよ。僕たちはこんなにも大きなベンチにも関わらず、片側に偏って腰かけているんだ。この光景は傍から見れば、何とも滑稽に映るだろうね。
そんなことを考えていると、さらに彼女は思い切った行動に移した。なんと僕の膝の上に座りだしたんだ。しかも、お互いに顔が向き合うように乗っている。あまりにも素早い動作だったため、驚くことを忘れてしまったよ。
緩やかな風が吹き、少し肌寒さを感じた。彼女が座り始めてから何分が経過したんだろう。もう随分と長く座っているように思うのだけれど……。
そして、彼女は僕の体に寄りかかって眠ってしまったんだ。
「困ったなあ。こんなところで寝られては……」
僕もそろそろ帰ろうと思ったから、彼女には申し上げないが、仕方なく起こすことにしたんだ。
「おーい、起きろー。風邪ひくぞ」
彼女のふさふさの毛をツンツンとつついて起こす。
まだ眠気は冷めていないようで、あくびをしながら、
「ニャー」
とその三毛猫は鳴いたんだ。
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