第5話 阿用城の戦い
永正10年
現代では島根県雲南市にある阿用城
それを4000の兵で取り囲んでいた
史実では堅城ゆえ攻めあぐね兵糧攻めに切りかえた所、厭戦気分が高まり酒宴を開くようになり、その最中余興で笛吹いてた所殺された政久
その運命を変えるために本来参陣しなかった弟二人も連れてきた
しかし兵が多いということはそれだけ米や銭はかかるし何より手薄になった各地を南条宗勝を初めとする敵対するもの達に攻められる可能性もある
故に早急に落とす必要がある
史実で手こずった堅城と名高い阿用城を短期で落とせるのか?
そのため「少々」工夫をこらすことにした
初日、国久率いる先陣が攻撃を仕掛けた
さすが国久だ。上手いこと攻めてくれる
しかし史実でもなかなか落ちなかった阿用城…さすがに一日では落ちない
「初日はこれまでのようだな」
そう言うとある策を実行に移すことにした
「興久、準備はいいか」
「はっ」
そう言うと興久は前もって準備していた兵達に指示を出した
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「敵襲だー!」
もう何度目か分からない
阿用の兵達は混乱していた
夜間になってから数十人の尼子兵が火矢放って騒いでは逃げていく
それを数十分置きに繰り返す
元々兵は数百しかいない阿用の兵達はほとんど寝れない状態になっていた
これを一日繰り返されればさすがに桜井側も堪えていた
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翌朝、日の出と共に夜襲擬きの兵を辞めさせると再度攻撃を仕掛けた
耐える阿用城であったがさすがにほとんど寝れなかったらしく抵抗力は弱まっていた
「上出来だな。国久」
「はっ」
そう合図するとまだ日のあるうちに尼子軍は攻撃を辞めた
そして国久には酒宴を開かせた
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酒宴を開く尼子軍をみて桜井軍は安心していた
尼子軍は油断している、今のうちに休んでおこうと
こうして桜井軍は昨晩休めなかった分休む事にした
しかしその時だった
「敵襲!城門を破られました!」
その報を聞いた桜井氏の当主・宗的は驚いた
「奴らは酒宴を開いていたのではなかったのか!?」
目の前で間違いなく酒宴をしているのは尼子軍だ。
それなのに城門を破壊される?一体どういうことか桜井宗的は分からなかった
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「上手くいったな国久、興久」
「そのようですな兄上」
本丸目前に迫る部隊をみてそう話す
「兄者の作戦通りでしたな」
「うむ」
「しかし驚きました…まさか某に酒宴を開けなどと」
「相手を欺いてこそだからな。」
俺の作戦はこうだ
初日に国久に苛烈なほど攻撃を仕掛けさせる
しかしそれでも阿用が落ちないことは分かりきっていた
故に興久に10人1組で構成された夜襲擬きの部隊を10組ほど編成
彼らにはローテーションで敵の門や城壁に火矢や石を投げてちょっかいを出させた
それだけではあるが守側の桜井軍は相当神経を使った事だろう
そこに二日目朝からの総攻撃
と思ったら目の前で酒宴を開く
そんな油断を見せれば桜井軍の中でも緩みが出るのは当然
しかし奴らがみていたのは「尼子国久軍」であり「塩谷興久軍」は見ていなかった
昼間のうちに阿用城の森に潜ませた興久の軍に寝静まった夜に総攻撃
前夜の事があるからゆっくり休めれると安心しきっている所を攻め落とす
そういうことだった
簡単に見えるがバレたら長期戦確定の一か八かでもあった
とはいえ史実で長期戦となった阿用城を二日で落とすことが出来たのは多い
「今日は月が綺麗だな」
そう言うと笛を吹く
「兄上笛下手になりましたか?」
「腕が落ちたかもな」
笛を吹いて殺された因縁の地に勝利の笛の音が鳴り響いた
多少の誤差や調べ不足はあるかもしれませんが大目に見て頂けると幸いです
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