第4話 兄弟三人で…
ー桜井氏討伐会議ー
「それでは軍議をはじ…」
そう言いかけたところで家臣の一人が声を上げる
「若様、なぜ弟君のお二人がいらっしゃるので?」
するとほかの家臣も
「若様が総大将と聞いていましたが…」
予定と違い弟二人がいることに動揺しているらしい
「実はな…桜井氏との戦に二人も連れていくことになった」
そう言うと皆ビックリしたように
「何故でございますか?」
「桜井氏の背後には南条宗勝が裏で操っている。それにここで時間をかけては我らに従ってくれてるほかの国衆にも顔向けが出来ぬし離反も相次ぐ可能性がある」
「なるほど…」
「また、総大将は私であるが国久と興久は前線の指揮官として名を挙げてもらい尼子の力と結束を示したいのだ」
嫡男の余裕からなのか、弟達の事も気にかける政久の行動に関心を示している家臣達を目にし国久が声を上げる
「某は此度の戦の先陣を承った。兄上のような政略は疎いが前線での戦いなら任せて欲しい」
ガタイが良く力強い発言の国久に家臣達も感心していると興久が続く
「某は兄者を支えつつ、兄上国久の手に余るようなら支援するつもりだ」
こうして弟二人が発言を終えると家臣達は安心し戦の案を練ることになった
~~~~~~~~~~
遡ること数時間前
会議の前に弟二人を呼び出していた
そこである事を知る
「国久まいりました」
「…え?」
朝屋敷にやってきたガタイのいい男は興久だとばかり思っていたが次男の国久だったようだ
どおりで俺より老けて見え…じゃない貫禄があった訳だ
目の前に戦国時代の推しがいて推しがモーニングコールしに来ていた事実に震えかけていると
「兄者、興久入ります」
遅れて興久がやってきた
どちらにせよ俺よりガタイいいじゃねぇか…とか思いながら話を始める
「二人を呼んだのは…桜井氏討伐の戦に二人にも参陣してもらいたいのだ」
そういうと国久が声を出す
「今朝の件ですか?」
「うむ。実は国久に頼まれて父上に相談したのだが総大将を変えるつもりは無いと言われてな」
「なるほど」
「だが私は尼子の為に二人にも参陣してもらい手柄を立て力を見せつける事が大事だとおもっておる」
「なるほど」
「兄者の我々への気遣い、痛み入ります」
「先陣を国久に頼む。だが状況によっては興久の軍も合流して貰うことになるかもしれん。そのつもりでいて欲しい」
「はっ」
「わかりました」
こうして桜井氏討伐の準備は進められた