第2話 いやお前俺の弟なのかよ
起き上がった俺はお付の侍女や小姓達に色んなことを聞いて回った
皆は疑問に思ったようだが
「連日の会議で少々疲れておってな…」
と言うと何とか理解して貰えたようだ
最初、「ここは出雲です」と聞いた時胸が高鳴った
やった!尼子家だ!俺の大好きな尼子家だ!
そんな気持ちを抑えて皆に聞いた情報をまとめてみることにした
・ここは出雲の国であること
・永正10年、つまり1513年であること
・桜井という家臣が謀反を起こしそれを倒す会議があると言うこと
それらを書いてるうちに私はある事に気づいた
1513年で桜井氏…つまりこれは阿用城の戦いの直前って事だ
つまり俺はその戦いに参戦する武将という事だ
問題は俺が誰なのか
もちろん「俺の名前はなんだ?」と周りに聞く事は出来ない
最悪ご乱心扱いされて切腹だろう
そう考え込んでいるとある男が入ってきた
「兄上、ご機嫌いかがですか?」
そう言うと明らかに俺より老けて見えるガタイのいい男が入ってきた
「…今起きたところだ…どうかしたか?」
そう答えると
「はっ。実は桜井氏討伐の総大将を某に譲っていただけないかと思い…」
「ほう…?」
「某も兄上のように手柄を立て父に認めてもらいたいのです…」
「…気持ちはわかった。父上に相談してみよう」
「ありがたき幸せ」
そう言うとそいつは出ていった
会話を終えると私はある事に気づく
「桜井氏討伐の大将を変わって欲しい」と言っていた事
俺はあのガタイのいい男の兄で父の命で桜井氏討伐の大将という事だ
そして気づいてしまう
自分が誰かを
「…俺はもしかして…尼子政久ということか?」
頭にかつてない衝撃が走った