第13話 因幡出征前夜
1518年
美作方面を経久、備後方面を国久、安芸は毛利元就に任せた政久はこの日ついにある決断を下す
「山名氏と戦う」
家臣達はついに来たかと思っていたようだ
山名氏の提案を拒否し大内義興を認めた以上この日が来るのは想像しやすかった
桜井宗的が声を上げる
「ついに因幡への侵攻ですね」
塩冶興久が続く
「準備してきた甲斐がありました。兄者、先鋒は私に!」
沸き立つ家中
統一後、美作・備後・安芸の国境では小競り合いをしていたが大きな戦はなかった
みな我が手柄を立てるんだと荒ぶっている
「先鋒は興久、頼むぞ?」
「はっ!ありがたき幸せ!」
興久の塩冶衆を中心に南条宗勝、亀井秀綱を副将に付けた
また三刀屋、赤穴、三沢、牛尾らにも手柄をたてさねべならぬゆえ彼らにも役を命じた
総勢1万を超える軍勢に沸き立つ家中
そんな会議の中で一人だけ浮かない顔をしている男がいた
桜井宗的である
俺は会議の中で桜井宗的の名前を呼ばなかった
会議が終わると桜井宗的が俺の元へきた
「殿!なぜ私を外したのですか!?謀反から信用されてないので!?」
そういう桜井宗的に
「そうだ。と言ったらどうする?」
と返す
すると桜井宗的は
「…信じて貰えぬならこの宗的ここで自害し桜井氏の忠誠を示します!」
と脇差を持ち始めたので止めた
「実はそなたの忠誠を試していたのだ。済まない」
そう言うと桜井宗的は
「試していた…とおっしゃいますと?」
「実は此度の戦でそなたには重要な役目を与えたいのだ。しかし我が家中に山名の者が紛れているやもしれん。故にあの場ではそなたを外したのだ」
「なるほど…敵を欺くには味方からと申しますからな」
納得した桜井宗的に
「任したい事とはな…」
俺は桜井宗的に耳打ちしある事を命じた
「…なんと…これは難しい役目…しかしこの宗的、命救われてから我が命は殿の物。死してもやり遂げてみせます」
「うむ。期待しているぞ桜井宗的」
「はっ!」
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山名氏との戦いの前に美作で調略を行っている父・経久を訪ねた
「政久、山名氏との戦いを決めたそうだな」
「はっ!時期尚早でしたでしょうか?」
「そんなことは無い。今山名を倒し中国地方に尼子の力を示すのは儂は賛成だ」
父のありがたい言葉も得られたところで
「美作の方はどうでしょう?」
「三浦氏など恐るるに足りぬわ!そなたが山名氏と戦いを終える頃には掌握しておいてやる」
「さすが父上…ありがたき幸せ」
こうして山名氏との戦いの準備をしていくのだった
桜井宗的の忠誠は自己満足な気がするな