優しい色の欠片
作者は神話に詳しくないです。多少実際の内容と異なる部分があると思いますが、ご了承下さい。
これは、あの優しい色の欠片
「君はさ、神様って居ると思うかい?」
君とあって少しした頃、僕はこう聞いたね。
「神様?君、神様を信じてるの?」
「いや、信じてる訳じゃないけれど、居たら面白いだろうなとは思うよ」
「へぇ。ねぇ、君は神様にも詳しいの?」
「少しね」
「じゃあさ、今度何か教えてよ」
君にこんな質問したのは、特に意味があった訳ではなかったのだけれど、こんなに食い付いてくれるのならいいかなと思ったり。
少しでも君の気を引きたくて
それは君の"笑顔"の為に
「神話には種類があってね」
あの次にあった日、僕はこう話し出した。
「国だったり、地域だったり、それぞれに色んな話がある」
「君はどこの神話が好きなの?」
「僕?そうだね、やっぱりギリシャ神話も面白いけど、エジプト神話が好きだな」
「エジプト神話かぁ。今度さ、面白い話、教えてよ」
君が予想以上に僕の話に興味があるらしいことに、柄にもなくはしゃいでしまって。
でも、少しでも君が僕を知ってくれたような気がして、嬉しかった。
君が"笑って"くれるなら
僕は何でも出来るだろう
「エジプト神話にはこんな話があるんだ」
君にあんなこと言われてしまったから、あう度に自分の好きな話をしていって。
この話をした時は、確かあれから7回目だったと思う。
「"ウアジェトの目"っていうのがあるんだ」
「うあじぇと?なぁに、それ」
「エジプトの女神でね、左目のことを言うんだ。修復と再生の象徴なんだ」
「修復と再生か...。素敵だね」
何でこの話にしたのか、話してから後悔した覚えがある。
君の"自嘲った"姿が
頭から離れない
「何故なんだ」
君の骸をみて、慟哭するとともにそう思った。
何故、君が。何故、勝手に。何故、何も言わなかったの。
なにより、何故、咲っているの。
そして、君との思い出を、思い返していたら、解ったんだ。
嗚呼、なんだ。全部僕が悪いのじゃないか。彼女に嘘を吐いたのも、彼女に叶わぬ希望を持たせたことも、彼女に愛を伝えたことも、彼女を地獄に堕としたのも、全て、全て。
そう理解した途端、僕の世界から急速にイロが失われていった。
何が神だ。何が再生だ。
彼女はもう戻って来ないのに。
それなら、こんなもの、いらない。
もう、いらないんだ。
"神"なんて信じない
ただひたすらに、アイに溺れる