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私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!?  作者: さいとう みさき
第二章絶対にお兄ちゃんの高校じゃ無きゃ嫌、それは譲れないよ?
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2-3何が何でもお兄ちゃんの高校じゃなきゃだめです!

長澤由紀恵15歳(中学三年生)。

根っからのお兄ちゃん大好きっ子。

そんなお兄ちゃん大好きっ子が学校見学で兄の高校に行くと‥‥‥


「私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!」


ここから始まるラブコメディー。

さいとう みさき が送る初のラブコメ小説! 


まさかまた他の女性!?(由紀恵談)


 「という訳でお兄ちゃんに差し入れする為に協力してもらいます」


 「はぁ、それは分かるんだけどなんで?」



 親友その一は校門で待ち合わせしていた私にそう言われ首をかしげる。

 どうもこの人頭のめぐりがあまりよろしくないみたい。


 「私はまだ部外者ですから勝手に高校に入れないじゃないですか。それにお兄ちゃんの日常的な状況は知りたくてもどうしようもない。だからあなたに協力してもらわなきゃいけないんです!」


 「兄妹なのに面倒くさいなぁ‥‥‥ って、いえ、なんでもありません! 喜んで協力させていただきます!!」


 たわごとを言う親友その一を視線だけで殺せそうな目で見下すと慌てて協力を申し出てきた。

 最初から素直にそうすればいいものを。


 「では早速部活で汗を流すお兄ちゃんの姿を心に焼き付ける為に体育館に連れてってください」


 私は気を取り直してにっこりとして親友その一に言う。



 * * *



 体育館にはお兄ちゃんたちがコートの半分を使ってバスケの練習をしていた。

 部外者の私でも引率であれば入れるようでしかも家族なので用事があるのならば問題はほとんどないらしい。

 

 本当は学校の先生とかにお願いした方が良いらしいけどこれでも問題無いらしいから親友その一を使う方が便利だ。


 練習中のお兄ちゃんを探すとちょうどゴールを決めている所だった。



 ああっ!

 今のかっこいいっ!!


 

 きらめく汗にさわやかなフェイス、スリーポイントの距離から華麗にシュートするフォルムも決まっていてゆるい部活とか言いながらかなり様になっている。



 思わずその姿にきゅんと来ちゃうのは仕方ないわよね?



 「かっこいい‥‥‥」


 「そう、お兄ちゃんはかっこいいのよ‥‥‥」



 ん?

 声のした方を見ると熱い視線でお兄ちゃんを見る矢島紗江の姿が!?



 「はぁ、先輩やっぱりかっこいいなぁ‥‥‥」


 「なっ!?」



 独り言が聞こえているのに気付かない矢島紗江は熱い視線をお兄ちゃんに送っている。



 「よーし、休憩に入るぞ。五分間休憩な!」


 バスケ部のリーダーのような人が休憩を知らせる。

 お兄ちゃんたちはこちらに来て汗を拭くためにタオルを取ったり水分補給しようとする。



 「お兄ちゃん!」



 私は先手を取る為にお兄ちゃんに声をかける。

 

 「あれ? 由紀恵じゃないか。なんで由紀恵が?」


 「はえっ? あ、由紀恵ちゃん? 何時の間に!?」


 声をかけられたお兄ちゃんは私にすぐ気づきこちらに来る。

 私はにっこりとしてお兄ちゃんにタオルを渡し飲み物を取り出す。


 「差し入れだよ。どうぞ」


 「ん、ありがとな。でもなんでわざわざ? それにどうやって入って来たんだ?」


 「あのぉ~、友也、もしかして俺って見えてない?」


 私とお兄ちゃんの会話に入り込む親友その一、邪魔よ!


 「剛志、いたのか?」


 「ひどっ!」


 お兄ちゃんは私が渡したタオルで汗を拭きながら私が渡した飲み物を飲む。

 向こうで矢島紗江がタオルを握りしめたままで固まっている。


 ふっ、これではお兄ちゃんに余計なアピールは出来ないでしょう。

 

 今後時間がありさえすればこうやって親友その一を使いお兄ちゃんの様子を見に来るわよ!


 私はお兄ちゃんの貞操を守るためにそう誓うのだった。



 * * * * *



 「それで親友その一、教室でのお兄ちゃんお様子はどうなの?」


 「いや、俺には太田剛志って名前があるんですけど‥‥‥」


 親友その一を捕まえて自販機の前でジュースをおごりながら部活以外の事でお兄ちゃんお様子を聞き出す。


 「高橋静恵さんはどうなんです? まさか私の目が届かないからと言って教室でふしだらなことしていないでしょうね?」


 「あの、由紀恵ちゃん、教室でそんなことしたら退学ものだよ?」


 「わかりませんよ、あのおっぱい女絶対にあのおっぱいでお兄ちゃんを誘惑しているんだ!!」



 何故か親友その一は私の胸に視線を向けてからため息をつく。



 「‥‥‥何か?」


 「い、いやっ! なんでもないです!! ま、まあ高橋は誰にでもスキンシップが強めだから自然とボディータッチしてくるんでみんなも慣れているからな。ただ友也にだけは確かにボディータッチが強めだな、そう考えると」



 「やっぱり! で、胸ですか!? あの凶器押し付けたりしているんですか!!!?」



 思わず親友その一の胸ぐら掴んでゆすってしまう。


 「わわっ、由紀恵ちゃん落ち着いて! 流石に高橋もそんな事はしないよ。もしそんなことしたらクラス中の男どもから友也は制裁を食らう羽目になるからな。高橋はクラスの中でも人気あるからな」


 む?

 確かにあの人は私の目から見ても奇麗な人と思うし、あの凶器を備えた女。

 普通の男子高校生なら興味を持つのは道理か。



 そうすると‥‥‥



 「では高橋静恵さんは誰かと付き合っているとか無いのですか?」


 「残念ながら誰ともね」


 「ではあなたが告白して彼女をゲットしてください! そうすればお兄ちゃんにくっつく害虫が減ります!」


 「いや、無茶言うなよ! 俺みたいなモブが告ったって玉砕確定じゃないか!!」

 

 「ちっ、使えないですね」


 「ひどっ!」


 親友その一はその場に崩れてハンカチをかみしめ「よよよっ」と女々しく涙している。

 私はそんなのを放っておいてそろそろ下校して出てくるお兄ちゃんを待つ事にする。


 

 あ、ちなみにこの集合場所兼井戸端会議場の自販機は校門のすぐそばにある。



 見ればお兄ちゃんがちょうど校門から出てきたところだった。


 

 「お兄ちゃん!」



 「あれ? 由紀恵じゃないか。どうしたんだ?」


 「ちょっと用事があってね。一緒に帰ろう!」


 「あ、じゃあ先輩また明日」


 「おう、またな矢島」


 「矢島さんさようなら!」


 校門に一緒に出てきた矢島紗江は私の姿を見ると仕方ないかのように反対方向に向かって下校していった。


 うん、家の方向が逆なのは調べ済み。

 ここで私がお兄ちゃんを待ち構えれば矢島紗江もこれ以上お兄ちゃんに付きまとえなくなるわ!


 「なあ、友也もしかしてまた俺の存在忘れてる?」

 

 「あれ、剛志いたのか?」


 「兄妹そろってほんと酷いぞお前ら!!」


 本気で涙目の親友その一だったけど私はそいつの肘を引いて聞いてみる。


 「ところで親友その一、ずっと気になっているのだけどあの電信柱の影にたたずんでいる人って誰? 体育館でも柱の陰にずっといたし、時たま家の近くの電信柱の影でも見るのだけど? ずいぶんと奇麗な人だけど存在感が薄いというかなんというか」


 「はぁ? どこ?」


 私はそちらを向き指をさす。

 すると電信柱の物陰に隠れていたその女は慌てて向こうに逃げて行った。


 「あれ? あれは泉かなめじゃないか? 去年の裏方美少女選抜断トツ一位の」


 「なんですかそれ? しかも裏方って。まさかそんな事勝手にやっているんですか? 最低ですね」


 「うわっ、俺じゃないのに! でもなんでだろ?」


 むう、まさかあの人もお兄ちゃんを?

 しかも裏方の選抜一位って、あの高橋静恵より人気があったって事?


 ちょっと待って、そんなのがしょっちゅうお兄ちゃんの周りをうろついていたって事?



 私は愕然とする。



 ちょっと知らない間に何人もの女性がお兄ちゃんに近づいていた何て!!

 だめ、これは早急に何とかしなければ!

 


 「何がなんでも桜川東に私は入る!」




 私はそう頑なにもう一度誓うのだった。

    

 

 

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