表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!?  作者: さいとう みさき
第二章絶対にお兄ちゃんの高校じゃ無きゃ嫌、それは譲れないよ?
6/75

2-2まさかの奇襲!?

長澤由紀恵15歳(中学三年生)。

根っからのお兄ちゃん大好きっ子。

そんなお兄ちゃん大好きっ子が学校見学で兄の高校に行くと‥‥‥


「私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!」


ここから始まるラブコメディー。

さいとう みさき が送る初のラブコメ小説! 


おのれおっぱいめぇっ!!(由紀恵談)

 

 「ふう~」


 「どうしたの由紀恵ちゃん? さっきからため息ばかりついて?」


 私は教室の窓から外を見ながら又ため息をつく。


 「ふう~」


 「由紀恵ちゃんもしかして昨日終わっちゃったあのアニメがもう見れなくてがっかりしているの? 分かるよ! あのアニメは良かったもんねぇ」


 目を輝かせ紫乃は拳を胸の前に持ってきて握りうんうんと唸っている。


 いや、私が悩んでいるのは終わっちゃったアニメの事じゃなくてお兄ちゃんの置かれている環境についてなんだけどね。


 ‥‥‥確かにあのアニメが終わちゃったのは少し残念だけど。

 まあ、噂では第二期が制作されるだろうって話だから気長に待つしかないわよね?



 って、そうじゃ無い!

 お兄ちゃんの事よ、お兄ちゃんの!!



 「完全にノーマークだったわ。まさか同級生以外に部活の後輩までいたとは‥‥‥ ああ、こんなとしているうちにまた余計な虫がお兄ちゃんに付くんじゃないか心配だわ!!」


 「友ちゃんに虫が付くの? ムシキ〇グ?」


 紫乃はまた訳の分からない事言っている。

 結局親友その一からは大した情報は引き出せなかった。


 

 お兄ちゃんは高校ではすごく普通だと言う事でクラスでも男女分け隔てなく対応しているという事らしい。

 そして特定の女子と仲が良いという事はなさそうだ。



 でも私は知っている。

 お兄ちゃんは優しい。

 だからそこにきゅんと来る女子がいてもおかしくはない。


 「はぁ、やっぱり何が何でも桜東に行かなきゃだよね。お兄ちゃんの貞操の危機だわ」


 「え? 友ちゃんRPGゲームなんかやっていたっけ? いつもアクションゲームやってたと思っていたけど? 低層のモンスターってたまに強いの出るよねぇ~」


 「紫乃、後で期末テスト向けの苦手教科特訓ね!」


 「ええっ!? 何でぇ~??」


 ピーピーわめく紫乃をよそに私は今後どうしたら良いか考えるのであった。



 * * * * *



 「長澤、貴様桜川東高校が希望だというのか? 貴様将来しがない公務員になって平凡な日常を過ごすつもりだな!? 何故だ!? 貴様はもっと高みを目指すのではなかったのか!?」


 新田生徒会長は今日も平常運転で私に突っ掛かってくる。


 毎回毎回飽きない人だなぁ。


 「それで、運動部三年生の応援会も無事終わりましたけど、今度は夏休み中の学校使用案内ですか?」


 「そうだ、夏休みとは言え学校では部活や補習、無料で三年生向けに夏期講習もある。特に夏期講習は各高校の受験時の過去問題の提示もあるらしいからこれは非常に有意義だ! なので我々生徒会は夏休みの間の学校使用案内の作成手伝いを任されたのだ!」


 腕組みして机の上に片足のせてふんぞり返っている。


 「会長ステキ‥‥‥」


 陽子ちゃんも平常運転ね。


 しかし各高校の過去問題かぁ。

 桜川東の受験問題も有るのかな?

 私は問題無いけど紫乃の事を考えるとこれは確かに有意義ね。


 「でも夏休み中は運動部で熱中症とか緊急時の連絡方法とかもありますから保健室とかの使用方法も聞いておかなきゃですね。後、使わなくなった部屋の冷房の消し忘れに注意とかも」


 吉野君がいくつか気になる点をホワイトボードに書き始めた。


 一応学校側からも注意点の書かれたものが提示されているけどそれらをまとめて配布できる資料を作らなきゃならない。

 本当はこれは先生たちの仕事じゃないかと考えちゃう。


 でもこの学校は伝統的に生徒の行事の案内書や企画がある場合は生徒会が主体となって行っているので仕方がない。


 早い所こう言った仕事は終わりにしてお兄ちゃんにつく虫の駆除方法を考えなくては。

  

 私はパソコンにどんどんと案内書を作る為の文章を打ち込むのだった。



 * * * * *



 「へっ?」


 自宅に戻ってくると玄関に見慣れない靴がいくつかある。

 それ自体はいい。

 問題はその中に女性ものの靴が有ると言う事だ。

 そしてお兄ちゃんの靴もある。


 と言う事は‥‥‥


 私は慌てて二階に上がる。

 そしてお兄ちゃんお部屋をノックする。


 「お兄ちゃん?」


 「ああ、由紀恵か。お帰り。今日はうちで勉強会なんだ」


 「由紀恵ちゃん、こんにちわ。お邪魔してます」


 「こんにちわ。由紀恵ちゃん」


 見れば高橋静恵と友人その一がお兄ちゃんとテーブルを囲んで勉強会をしている。

 

 「そう言う訳で悪いが今日は静かにしていてくれな」


 お兄ちゃんはそう言って片手をあげてくる。


 勉強会は好いけど問題は何故このおっぱいがここにいるのよ!?

 神聖なお兄ちゃんお部屋に私以外の女の子が入るなんて!!


 むう、高橋静恵。

 やっぱりこいつは要注意だ!!


 「わ、分かったわ。じゃ、じゃあお兄ちゃん達勉強頑張ってね」


 仕方なしに私は一旦ここを引きさがる。

 そして隣の自分お部屋に行って着替えてリビングに行き飲み物を準備する。

 早速お兄ちゃんの部屋にそれを持って行って扉をノックする。


 「お兄ちゃん、飲み物持ってきたよ」


 にこやかにそう言って部屋に入る。


 「おお、サンキュ。助かる」


 そう言って私はわざとお兄ちゃんと高橋静恵の間に入り飲み物もこの二人の間において距離を取らせる。


 「やった、由紀恵ちゃんに飲み物入れてもらえた! 来たかいがあったぜ、なあ友也!」


 「えーと親友その‥‥‥じゃなくて、太田さん、後で話があります」


 私はにっこりと親友その一に笑顔を見せる。

 とたんに親友その一は背筋を伸ばし額に汗をびっしりとかく。



 「はぁ、疲れたわね。由紀恵ちゃんありがとう」


 そう言って高橋静恵はさりげなくあのおっぱいをテーブルの上に乗せる。

 そしていかにも「肩こってま~す」をアピールするかのように肩を自分でたたく。

 

 私は慌ててお兄ちゃんを見るとどこか別の場所を見て少し顔が赤くなっている?

 友人その一は鼻の下を伸ばしまくっていた。



 くっ!

 胸か?

 やっぱり胸かぁっ!!!?



 ひきつる微笑みを顔に張り付かせ私はお兄ちゃんお部屋を出る。


 そしてその後十五分毎に飲み物の追加やお菓子の差し入れを繰り返す。



 * * *



 「なあ、由紀恵。いろいろしてくれるのはありがたいんだけど‥‥‥」


 「お兄ちゃん、疲れた脳には糖分補給よ! はい、チョコレート!! あーんして!」


 差し入れで持ってきた一口サイズのチョコレートをお皿から一つ取って包みを開けお兄ちゃんの腕をつかみ私はそのチョコを口に入れようとする。



 「ふふっ、由紀恵ちゃんは本当にお兄さんが大好きなのね?」


 高橋静恵はテーブルに腕をのせその上にあのおっぱいを載せ更におっぱいアピールをしながら口にチョコレートを放り込んでいる。



 お、おのれぇ!!

 このおっぱい女めぇっ!



 「由紀恵、自分で食えるから」


 お兄ちゃんは私を押しのけ私の指からチョコを取り去り自分の口に放り込む。


 「あっ」


 「ところで長澤君、大体予定の所は終わったし今日の勉強会は終わりにしない? 由紀恵ちゃんも大好きなお兄ちゃんと遊びたがっているように見えるしね」


 そう言って高橋静恵はノートや問題集を閉じる。


 「ん、まあそうだけど。由紀恵お前そんなに遊びたかったのか?」


 「お兄ちゃんとならいつでもよ!」


 私はぱっと明るい笑顔になって言う。


 「仕方ないな。そうだ、ゲームでもやるか? ちょうどこないだ買ったばかりの対戦ゲームが有ったっけ」


 ごそごそとお兄ちゃんはゲーム機を取り出しテレビのスイッチを入れる。

 そして立ち上がった画面を見るとパズルゲームの様だ。


 「これなら由紀恵もやれるだろ? 高橋も剛志もこれでいいかな?」


 お兄ちゃんは振り返りながらそう言う。


 「ええ、勿論いいよ。そうだ、由紀恵ちゃん一緒に対戦してみない?」


 「望むところです!!」


 お兄ちゃんからコントローラーを受け取り私は高橋静恵とパズルゲームの対戦を始めるのであった。



 * * *



 「今日は楽しかったわ。由紀恵ちゃん、また遊ぼうね!」


 「いいでしょう。今度こそ決着をつけてあげます!」


 気付けば結構な時間になっていた。

 私は高橋静恵を懲らしめるつもりが終わってみればゲームの勝敗は引き分け。

 

 「まさか由紀恵たちがこんなにゲームに夢中になるとはね。んじゃまたな」


 「うん、また来るね、由紀恵ちゃん」


 「くっ、夜道は気をつけて帰った方が良いですよ、高橋静恵さん」


 私と高橋静恵はお互いの目から火花を散らして居た。



 この女、またうちに来るつもりか?


 させない!

 お兄ちゃんの貞操は私が守る!



 玄関の扉を出て行く高橋静恵を呪い殺すような視線で私は見送る。



 「あのぉ~、じゃあ俺も帰るんで」


 「親友そのい‥‥‥じゃなくて、太田さん。あとでお話がありますから大人しく携帯のアドレス交換しましょう」

 

 にっこりと笑って私はスマホを差し出す。





 親友その一は脂汗をかきながらスマホを取り出すのであった。


    

評価、ブックマーク、ご意見、ご感想いただけますと励みになります。

誤字、脱字ありましたらご指摘いただけますようお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ