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私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!?  作者: さいとう みさき
第七章クリスマスは家族で一緒にいなきゃいけないよ?
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7-9祭りの後

長澤由紀恵15歳(中学三年生)。

根っからのお兄ちゃん大好きっ子。

そんなお兄ちゃん大好きっ子が学校見学で兄の高校に行くと‥‥‥


「私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!」


ここから始まるラブコメディー。

さいとう みさき が送る初のラブコメ小説!


えへへへへぇ~

お兄ちゃんだ~い好き♡(由紀恵談)


 「うん?」


 「起きたか由紀恵?」


 気付くと私はお兄ちゃんに背負われていた。


 「あ、あれ?」


 「流石に時間が時間なんでな。もうパーティーもお開きになったんだ」


 お兄ちゃんはそう言って黙々と歩いている。


 「あ、お兄ちゃん降りるよ、ごめん重かったでしょ?」


 「いや、大丈夫だよ? それよりもう大丈夫か?」


 うれしいけど流石に気恥ずかしくて私はやっぱりお兄ちゃんの背から降りる。

 この寒い中お兄ちゃんはうっすらと額に汗をかいていた。



 あ~、最近ちょっと太ったからなぁ‥‥‥


 

 「本当に大丈夫か?」


 「うん、それよりあの後私はどうなったの?」


 「うん、それはな‥‥‥」



 そう言ってあの後のパーティー事を教えてくれる。



 あの後結局パーティーは続けるのが困難になってしまった。

 奇跡的にウイスキーボンボンを食べなかった紫乃がみんなが持ち寄った交換用のプレゼントをあみだくじで割当、しばらく意識を失っていた泉かなめも目を覚ました頃にもう外も真っ暗、時間も遅くなってきたのでお開きになったそうだ。


 でも私だけなかなか目を覚まさず仕方なしにお兄ちゃんが家まで背負って帰る事になり今に至る。



 親友その一め‥‥‥

 後で死刑ね!!



 「まさか由紀恵もあそこまでお酒に弱いとは思わなかったよ。本当に大丈夫か?」


 「うん、なんか寝て起きたら逆に頭すっきりしているよ。あっ!」



 私はそれに気づいた。

 夜の空から白いつぶが降って来た。


 「道理で冷える訳だ。雪が降るとはね」


 見上げれば深々と雪が雪が降り始めた。


 

 うわっ!

 奇麗!!



 「へへっ、パーティーはダメだったけどホワイトクリスマスだねお兄ちゃん!」

 

 「おっと、そうだ。はい、これ」


 渡されたのは交換用のプレゼントだった。

 

 「俺は誰だろうな、こんなのだった」


 袋から出されたそれは小さなオルゴールだった。

 うーん、誰だろうね?


 わたしは自分のを開けてみる。



 そして中から出てきたのは‥‥‥



 「これって絶対紫乃よね?」


 「何が入っていたんだ?」


 引っ張り出すとサンタの帽子に斧が突き刺さったハロウィンパーティーで使うようなものだった。


 きっとド〇キで買い物した時に特価コーナーで売れ残っていたパーティーグッズだわ!



 「ははっ、紫乃ちゃんらしい。っと、由紀恵、メリークリスマス」



 お兄ちゃんはそう言って細長い小さな包みを私に渡してきた。


 「え? お兄ちゃんこれって?」


 「由紀恵にクリスマスプレゼントだよ。何とかバイト代が出て間に合ったんだけどな」


 渡されたそのプレゼントを私は持ったままその場で立ち止まってしまった。



 「由紀恵?」



 「あ、ありがとうお兄ちゃん! あ、開けても良いかな?」


 「ああ、勿論」


 お兄ちゃんはそう言ってほほ笑んでいる。

 そして私は焦る気持ちを押さえて包みを開ける。


 そして‥‥‥



 「お、お兄ちゃんこれって!」



 「うん、こないだ由紀恵が雑誌を見ながらため息ついていたろ? 凄く欲しがっていたみたいだったからな」


 「だって、これって高いよ!? ゲーム機買うんじゃなかったの!?」


 「ああ、それはそのうちにまたな」


 そう言ってまた笑ってくれる。

 私はそれを箱から引き出し目の前に持ってくる。



 小さなハート型の輪っかが二個付いたペンダント。



 クリスマスプレゼントで彼氏からもらいたいプレゼント堂々の第一位。

 中学生の私なんかには絶対に手の届かないような金額。


 そしてそれを彼氏からもらうなんて夢のような話‥‥‥



 それをまさかお兄ちゃんにもらえるなんて!!



 「う、うれしいっ! お兄ちゃん大好きっ!!」


 私はうれし涙をにじませながらお兄ちゃんに抱き着く。


 「おいおい、由紀恵危ないぞ?」


 「いいのっ! もう、お兄ちゃん大好きっ!!」



 クリスマスパーティーはあのバカのせいで最後散々だったけど静かに降る雪の中大好きなお兄ちゃんからこんな素敵なプレゼントもらえるなんて!





 私は最高の気分でお兄ちゃんの腕に抱き着きながら家に帰るのだった。 


  

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