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私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!?  作者: さいとう みさき
第七章クリスマスは家族で一緒にいなきゃいけないよ?
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7-7紫乃の家

長澤由紀恵15歳(中学三年生)。

根っからのお兄ちゃん大好きっ子。

そんなお兄ちゃん大好きっ子が学校見学で兄の高校に行くと‥‥‥


「私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!」


ここから始まるラブコメディー。

さいとう みさき が送る初のラブコメ小説!


料理多いわね!(由紀恵談)


 「お待たせ、って、何で先に紫乃ちゃん家に入らないの?」



 お兄ちゃんは紫乃の家の前でたむろしている高橋静恵や矢島紗江、泉かなめたちに首をかしげる。



 「あ、長澤君。良かった。ねえ、ここ本当に紫乃ちゃんの家?」


 「なんかセキュリティー会社のシールとか貼ってありますけど‥‥‥」


 「豪邸‥‥‥」



 みんな何度もスマホの地図ナビとこの家の門を見比べる。


 私たちは慣れているので気になっていなかったけど、初めての人には確かに驚く家かもしれない。


 だって紫乃の家って資産家でこの界隈で一番大きな家なのだから。


 「こんな所にいたら不審者扱いで通報されるよ。ほら、ベル鳴らすよ」


 お兄ちゃんは当たり前に門のベルを鳴らす。

 すると直ぐにインターホンから返事の声がする。


 『はいはいぃ~、あ、友ちゃん~いらっしゃい~。すぐ鍵開けるね~』


 声と同時にインターホンに取り付けられている小さな画面に紫乃の顔が映る。

 この家に来るのも久しぶりね。


 紫乃は画面の向こうで何かやっていると門が自動で空き始めた。


 『ほい、これで良しっと。みんな入って来てね~』


 唖然とする高橋静恵たちを他所に私とお兄ちゃんは門をくぐる。

 勿論その後を慌てて三人は追ってくる。



 「しかし驚いた、紫乃ちゃん家ってお金持ちだったんだね」


 「うわ、門から中庭通って玄関まであんなに距離がある!」


 「‥‥‥監視カメラもいっぱい」



 なんか後ろで騒いでいるけど私とお兄ちゃんは玄関にたどり着きベルを鳴らす。



 ぴんぽーん!



 インターホンの音とは違いなんか安っぽい音だけど昔から変わらない。


 「はいはいぃ~、いらっしゃい~! みんな上がって、上がって~」


 普段着の紫乃はそう言ってニコニコとして私たちを家にあげてくれる。


 

 「ほい、紫乃ちゃんケーキ」


 「やったぁ! 友ちゃんのバイト先のケーキって美味しいんだよねぇ~」



 ケーキの箱を受け取って紫乃はにこにこしながら部屋に案内する。


 しかし、この家いつ来ても広いなぁ。

 廊下から広間に行くまでにまだかかるのだもの。



 「お、お邪魔します」


 「えっと、靴はそろえてっと‥‥‥」


 「‥‥‥あの絵画美術の教科書で見たことある」



 きょろきょろと家の中を見ながら高橋静恵と矢島紗江、泉かなめはついてくる。


 そして私たちはほどなく広間に着く。



 「うわっ!」


 「すごっ!」


 「‥‥‥まさしくパーティー会場」



 見れば広場はクリスマスパーティー場として飾り付けられていた。


 「またずいぶんと飾ったわね?」


 「うん、お父さんに言ったら業者の人呼んで楽しみなさいって準備してくれた~」


 立食パーティーまで出来るようになっている。


 「なんかこれじゃケーキ持ってこなくてもよかったかな?」


 「ううぅん、そんな事無いよ。友ちゃんとこのケーキほんと美味しいから!」



 紫乃はにこにこしながらケーキを出して豪華な料理の真ん中、一段高くなっている台の上に乗せた。



 ちんまりとした可愛らしいケーキはあれでも買えばゆうに三千円を超える。

 しかしこの料理の中に有るとその小ささが際立つ。



 「なんか申し訳ないな‥‥‥」


 「いつもの事よ、気にしちゃダメお兄ちゃん」



 まあ紫乃の家に遊び来るといつもこんな感じなので私はもう慣れていたけど。



 「んじゃ、早速始めようよ!」




 紫乃はそう言ってにっこりと笑うのだった。

 



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