6-9届かないもの
長澤由紀恵15歳(中学三年生)。
根っからのお兄ちゃん大好きっ子。
そんなお兄ちゃん大好きっ子が学校見学で兄の高校に行くと‥‥‥
「私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!」
ここから始まるラブコメディー。
さいとう みさき が送る初のラブコメ小説!
お兄ちゃんのバカぁっ!!!!(由紀恵談)
「お兄ちゃん、私はね‥‥‥」
思わずお兄ちゃんの顔を見上げながら私はうるんだ瞳でそして少し赤くなって息もとぎれとぎれ話始める。
「私にはずっと好きな人がいるの‥‥‥ その人はとてもやさしくて、そしていつも私を守ってくれる人‥‥‥」
私はお兄ちゃんの瞳から目を離さず続ける。
「小さな頃からずっと好きだったんだよ? ねえ、お兄ちゃん‥‥‥」
思わず本心を言ってしまう私。
息も荒くなってきてお兄ちゃんに更に近づく。
もう止まらない。
私の中のお兄ちゃんへの思いが今にも爆発しそうだ。
私はお兄ちゃんの唇を見る。
あ‥‥‥
吸い寄せられるように更にお兄ちゃんに近づく。
キスしたい。
あの唇にキスしたい!!
私の心が叫んでいる!!
「由紀恵、お前まさか‥‥‥」
「そうだよお兄ちゃん、やっとわかってくれたの?」
お兄ちゃんは私の両の腕をガシッとつかむ。
あっ!
私はとうとうお兄ちゃんと‥‥‥
「由紀恵‥‥‥」
「お兄ちゃん!」
そしてお兄ちゃんは私の腕をつかんだまま引き寄せて‥‥‥
いきなり激しくゆすぶって来たぁ!?
「由紀恵、考えなおせ! いくら好きでも紫乃ちゃんは女の子だぞ!? そんな不毛な事は考え直すんだ!」
おいこらっ!
そうじゃないでしょ、そうじゃっ!!
お兄ちゃんは真剣な表情で私を見る。
「いいか由紀恵、紫乃ちゃんは確かに可愛らしい所もある、昔からお前や俺とずっと仲良くしてくれた。しかし、相手は女の子だぞ!?」
「お、お兄ちゃんのぉっ! ぶぅぁあああぁぁぁくぅぁぁああああぁぁぁぁぁっ!!!!」
私は思わず近くに有ったお兄ちゃんの枕を顔にたたきつける。
「ぶっ!」
「そうじゃないっ! 違うでしょぅっ!! ああっ! もうっ!!」
私は真っ赤になり涙目でぷんぷん怒りながらお兄ちゃんの部屋を出て行く。
「ゆ、由紀恵?」
後ろでお兄ちゃんが私の名前を呼ぶけど怒り心頭の私は乱暴に扉を閉じて自分の部屋に帰る。
「もう、お兄ちゃんのバカぁっ!!!!」
私は涙に枕を濡らすのだった‥‥‥
* * * * *
「と言う事があって、困っているのよ‥‥‥」
「へぇ~、会長がねぇ~。で、由紀恵ちゃん的にはどうするの?」
「そりゃぁ、勿論断るわよ。私は何が何でも桜川東に行って今後お兄ちゃんと楽しい高校生ライフを過ごし、地元の国立大学に一緒に行って夢のキャンパスライフを満喫するのだもの!」
私はキラキラとした目で遠い未来を夢見る。
ああ、受験勉強で大変だろうけど青春の高校生生活。
そして後を追うように大学に行き、キャンパスで並んで歩く‥‥‥
それはそれは素晴らしい未来だ!
私がそう夢見る乙女をしていると紫乃が私の袖を引っ張てくる。
もう、何よ?
せっかく人が楽しいキャンパスライフの予定を立てていると言うのに。
「由紀恵ちゃん、あれ‥‥‥」
「ん?」
見れば校門の所に新田泉一郎生徒会長様がたたずんでいる。
こんな朝から何しているのだろう?
会長は私に気付くと襟元をただし、咳払いなんかしている。
「おはようございます、会長」
「うむ、おはよう。‥‥‥と、ところで長澤、あの手紙読んでもらえただろうか?」
なにそれ?
昨日の今日でいきなり読んだかどうかの確認って!?
しかもこんな朝から校門の所でみんなが見ていると言うのに!?
「ええと、一応読みましたが‥‥‥」
「おお、そうかっ! それは良かった!!」
それだけ言って会長は意気揚々と校舎に向かって歩いて行った。
「え~とね、早い所ケリ付けた方が良いって言ってるよ、きっとすごい誤解されてるからって」
紫乃はスマホの画面になにか入力してしばらくしてからそう言ってきた。
また高橋静恵か‥‥‥
予想通り私のスマホにもSNSのメッセージ着信音がするのだった。
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